
タイガー1200シリーズの中で最もハイエンドと言える「ラリーエクスプローラー」。フロント21インチでブロックタイヤを履いた「ラリー」のタンク容量を10L増やし、さらにブラインドスポットディテクターを装着した上級版だ。タイガー1200試乗3連発の3台め。
見つけた見つけた、オフロード
ラリーPROの時点で巨大な乗り物だが、30Lタンクを備えるこのラリーエクスプローラーは(意外やルックスはそんなに変わらないものの)重量も増え「圧」は確かに増している。パワーもあり、オフロードもこなす確かな足周りと電子制御は備えるものの、大きくて重いのは事実である。間違って細い林道などに入ってしまっては危ないが、今回は乗用車も通れるようなフラットな砂利ダートを見つけ、走行することができた。
こんな場面に来ると、「ラリー」がもつオフロード性能をちゃんと感じることができる。舗装路からライディングモードをそのままロードモードで進入するとトラコンが介入しまくってマトモに車両を前に薦めるのも難しいのだが、オフロードモードに切り替えるとトラコンが最小限になりリアはABSもオフに。加えて電子制御サスも自動的にオフロードモードに変更されるため、大きな車体がハンモックに吊るされたかのようにしなやかになる。「あ、この感じならイケるな」なんていう自信がフツフツと沸き上がり、アクセル開度も大きめに。Tプレーンクランクのツインかのようなトルク感とブロックタイヤで路面をバオッ!バオッ!と掻きながら巨体が前に飛び出していく感覚は得も言われぬ快感だ。
150馬力もあるエンジンゆえにオフロードでは持て余しそうなものだが、常用域のトルク感が優秀でそんな感覚はない。また車体の姿勢を立て直すため、もしくは向き変えするためにリアを振り出すのは思い通りにできるのに、流れ過ぎることはないというのはトラコンが絶妙にサポートしてくれているからだろう。大きくてパワーのあるバイクが「どこ行っちゃうかわからない!」という怖さはなく、ブレーキ性能が高いこともあって今回のような見通しの良い、比較的フラットな、そしてある程度スピードも出せるようなダート環境では本当に楽しめ、巨大なバイクをオフロードで楽しむという非日常を味わえた。
ラリーPROの方の原稿にも書いたが、このタイガーシリーズに限らずビッグオフは走るオフロード環境を誤らないのが大切だ。ラリーという名の通り、砂漠や荒野といった広い直線路、もしくはある程度締まった砂利ダート路やクローズドコースが最も楽しめるフィールドであり、21インチの前輪とブロックタイヤがついているからと言って細かな林道に迷い込んでしまっては、本領が発揮できないだけでなく難しい状況に陥ってしまう。今回は幸い良い路面・環境に出会うことができ、タイガーのもつオフ性能の片鱗に触れることができ幸せだった。
情報提供元 [ モーターファンバイクス ]
この記事にいいねする