報道によるとホンダは東京青山にあるホンダ本社ビルの建て替えを決定した模様だ。工事は2025年からとし、現在の17階から20階建て以上に高層化される計画だ。

1985年の竣工から40年で青山のシンボルが次世代へ

青山一丁目の交差点に建つホンダ青山本社ビルは、1階がホンダウエルカムプラザ青山になっており、一般の人でも入れるスペースになっているのが特徴だ。バイクやクルマの展示の他、物販やカフェスペースもあり、都心の憩いの場所としても機能している。

これは、「本社1Fのショールームは、誰でも自由に出入りできる皆の広場である」という本田宗一郎氏の考えを反映したもので、ステージではトークショーなどのイベントも定期的に行われており、ASIMOの現役当時は来場者向けにデモンストレーションも実施されていた。

同時に青山本社ビルは地域の防災拠点として使われることが想定されており、地下3階には水や食料が蓄えられている。飲料水は、カナダ産ヒバの大樽で貯水することでカルキ臭を排しており、1階カフェではこの「宗一郎の水」を使って入れたオリジナルコーヒーを提供している。

そして、青山本社ビルで最も有名な逸話は安全に対する企業理念の具現化だ。震災時の被害を憂慮しガラス張りの当初案を本田宗一郎氏が却下し、現在のバルコニー付きの構造に変更したというものだ。この出典は不明ながらホンダ社内で現在でも語り継がれている。

このビルが竣工から40周年の2025年から建て替えられ、新社屋は2020年代後半に完成予定となる。宗一郎氏のこだわりをどう受け継いでいくのかも注目だ。

なお、ウエルカムプラザ青山開業時の賑わいについては、元ホンダ広報高山氏の手記に詳しいので、ぜひご覧いただきたい。

ホンダ青山ビルは1985年8月に竣工。震災でガラスが割れても歩道に落下するのを防ぐためにバルコニーが設けられている。宗一郎氏の安全に対する想いがビルの外観に表れている。

ウエルカムプラザ青山のエントランス。立地が交差点の角にあるため、交通の視界を妨げないように角を落とした形状になっている。これも宗一郎氏のこだわりと言われている。

2020年1月にリニューアルしたウエルカムプラザ青山にオープンしたマイルズ ホンダ カフェ。「宗一郎の水」を使ったコーヒーやサンドイッチなどの軽食も用意している。

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コメント一覧
  1. 匿名 より:

    このビルも本田宗一郎が生み出した製品ですね。某家電メーカーは創業者の名を排した後はパっとしませんが、
    ホンダが次のビルに本田宗一郎の思いをどれだけ引き継がすかでホンダの将来が決まるような気がします。

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