「やっぱりパワーがあるバイクがイチバン!」なんて思ってみても、例えば200馬力マシンともなれば、新車価格は200万円オーバーが当たり前です。そこでちょっと視点を変えて、「1馬力あたりの価格」に注目。国内4メーカーの現行モデル(2023年3月現在)をすべてチェックして、馬1頭を手に入れるのにもっともリーズナブルなバイクを考えました。
目次
最初に結論。ヤマハ・MT-09が馬力コスパ最強!
速さを求めるライダーたちにとって、200馬力クラスのマシンは憧れの存在。ひと昔前のレーサーと同じような馬力を備えたバイクが、現代なら一般市販されています。でも、このレベルに達するバイクは排気量も大きく、最先端技術もふんだんに使われていることが多いため、どうしても新車価格が高くなりがち。
そこでもう少し現実的な視点で、「馬力をリーズナブルに獲得できたと納得できる方法」を考えてみました。そしてたどり着いたのが、「1馬力あたりの価格」。パワーを安く手に入れられるバイクを計算してみました。
国内4メーカーが2023年3月中旬現在に発売または発表している現行モデルを、1馬力あたりの価格が安い順に並べてみると、トップになったのはヤマハのMT-09。最高出力は120馬力ですが、888cc水冷並列3気筒エンジンということもあり車両価格が安く、これが大きく効いています。
また、総合2位には125馬力のカワサキ・Z900、3位には150馬力のスズキ・GSX-S1000、4位にはMT-09が開発ベースのXSR900、5位にはホンダ・CB650Rと、1馬力あたりの価格では200馬力前後よりもかなりアンダーパワーなバイクのほうが、ランクインしやすい傾向ということがわかりました。200馬力級のバイクとして総合トップ10には唯一、218馬力を誇るホンダのCBR1000RR-Rファイアーブレードが9位にランクインしています。
小排気量帯はどうしても割高感が出やすい
【総合クラス】
車名 | 最高出力(馬力) | 価格(円) | 1馬力あたりの価格(円) |
---|---|---|---|
MT-09 | 120 | 1,100,000 | 9,167 |
Z900 | 125 | 1,166,000 | 9,328 |
GSX-S1000 | 150 | 1,430,000 | 9,533 |
XSR900 | 120 | 1,210,000 | 10,083 |
CB650R | 95 | 1,001,000 | 10,537 |
【400㏄クラス】
車名 | 最高出力(馬力) | 価格(円) | 1馬力あたりの価格(円) |
---|---|---|---|
Z400 | 48 | 704,000 | 14,667 |
Ninja 400 | 48 | 759,000 | 15,813 |
MT-03 | 42 | 687,500 | 16,369 |
【250㏄クラス】
車名 | 最高出力(馬力) | 価格(円) | 1馬力あたりの価格(円) |
---|---|---|---|
MT-25 | 35 | 632,500 | 18,071 |
Z250 | 35 | 638,000 | 18,229 |
ジクサー250 | 26 | 481,800 | 18,531 |
400ccクラスや250ccクラスは、1馬力あたりの価格ということではどうしても不利。というのも、モーターサイクルの生産や物流や販売にかかるコストは、排気量が半分だからといって半減できるわけではないので、排気量あたりの価格はリッタークラスに対して小排気量クラスのほうが高めになりがちだから。
しかも、現代の小排気量帯は超高性能化を追求した車種が皆無に近く、そもそも高出力化に有利なマルチエンジンを搭載した車種は、カワサキしか製造していません。
そのような背景もあり、総合トップのMT-09は1馬力あたりの価格が約9167円なのに対して、400ccクラストップのカワサキ・Z400は約1万4667円、250ccクラストップのヤマハ・MT-25は1万8071円と、排気量が小さくなるにつれて1馬力あたりの価格は上昇傾向にあります。
クラス別「1馬力あたりの価格」に優れたバイクはコチラ!
【総合クラス1位】プラットフォームの役割も担うコスパ最強のMT-09
1馬力当たりの価格がもっとも低い国内4メーカーモデルに選出されたのは、ヤマハのMT-09。アルミ製フレームに888cc水冷並列3気筒エンジンを搭載し、IMUを活用した電子制御システムも充実されたモデルですが、他車の開発ベースとしての役割も担うことやカウルレスであることなどから、車両価格が比較的抑えられています。
それでいて、最高出力は120馬力。3気筒ならではの中回転域トルクも備えていて、4気筒200馬力モデルとはまた異なる“力強さ”も感じられる馬力価格の優等生です。
【総合クラス2位】Z900RSの開発ベースにもなったZ900もリーズナブル
948cc水冷並列4気筒エンジンをスチール製フレームに搭載するカワサキ・Z900は、発売以来約5年間も大人気を誇るZ900RSシリーズの開発ベースともなったモデル。
トラクションコントロールやスマホ連携機能付きの4.3インチカラーメーターは装備していますが、電子制御が比較的シンプルで、4気筒エンジンながら価格はMT-09と6万6000円差に抑えられています。それでいて、最高出力はMT-09を5馬力上回る125馬力。1馬力あたりのリーズナブルさはMT-09と同等です。
【総合クラス3位】レジェンドエンジンで150馬力も価格は控えめなGSX-S1000
名機とうたわれた2005~2006年型GSX-R1000の998cc水冷並列4気筒エンジンに仕様変更を加えて、アルミ製フレームに採用するネイキッドスポーツのGSX-S1000。リッタークラスの4気筒エンジンを搭載していて、ドライブモードセレクターや上下双方向シフターや5段階+オフのトラクションコントロールシステムも装備しています。
それでも車両価格は143万円で、ユーロ5適合のリッタークラス4気筒としてはリーズナブルです。150馬力という、トップ2を上回る数字も魅力でしょう。
【400ccクラス】馬力に勝るカワサキ勢が強し
400ccクラスでは、398cc水冷パラレルツインエンジンを搭載したフルカウルのニンジャ400およびバーハンドルネイキッドのZ400が、現行モデルとしては比較的抑えられた価格設定。
一方、最高出力は48馬力で並列2気筒勢では最高レベルにあり、これにより1馬力あたりの価格はZ400がもっともリーズナブルで、ニンジャ400がそれに続きます。3位はヤマハのMT-03。こちらは排気量320ccで42馬力ですが、そのぶん価格も抑えられていることが効いています。
【250㏄クラス】接戦を僅差で制したのはMT-25
250ccクラスは、水冷パラレルツインエンジンを搭載して同じ35馬力のヤマハ・MT-25とカワサキ・Z250、油冷単気筒エンジンで最高出力は26馬力と低いものの車両価格も低いスズキ・ジクサー250という、バーハンドルスポーツネイキッド系による僅差の争いでした。いずれも1馬力あたりの価格は1万8000円台。
ちなみに、クラス最高出力を誇るのはカワサキのニンジャZX-25Rシリーズですが、こちらは48馬力の最高出力に対して価格が96万2000円となっていて、1馬力あたり価格は2万41円でした。
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排気量コスパ、馬力コスパと来たらトルクコスパも気になります。
GSX-S1000は両方にランクインしてて良いですね。
パワーウエイトレシオコスパの方が気になります。
250ccクラスだと当時88’NSR250Rは57.9万円で60馬力くらい出てる..なんて情報もあるから、レーサーレプリカ時代は安くて速いバイクが多かったイメージだよね