
2ストロークエンジンの競技用車両、ヤマハYZ125Xが2023年型でモデルチェンジ。昨年、刷新されたYZ125をベースとしながら、クロスカントリーやエンデューロレースに合わせたさまざまなモディファイをしてきた。新型の走りを詳しくレポート。
文:濱矢文夫/写真:関野 温手を抜かないこだわりがこの楽しさを生んだ
昨年、もう進化なんてしないと思っていた2ストロークエンジンを刷新して、新型となったYZ125を登場させ驚かせたヤマハ。今度はそれをベースにしてエンデューロモデルのYZ125Xも新型にしてきた。人工のモトクロスコースでスプリントレースをするモトクロスと違い、エンデューロレースは自然の地形を利用した耐久レースのようなもの。さまざまな地形、石ころがあったり、倒木があったり、草があったり、モトクロスより上り下りの傾斜があったり、土質もいろいろだ。速さだけでなく、走破する能力も高くないといけず、フレキシビリティが重要となる。
単純にモトクロッサーのリヤ19インチホイールをエンデューロ向けの18インチホイールに変更しただけではなく、燃焼室の変更をしてYPVSのバルブ形状も変えてきた。点火タイミングも専用のものにして、新型YZ125でストレート吸気でケーヒンPWKになったキャブレターも設定を変更。YZ125Xに対する力の入れ具合がひしひしと伝わる。乗ってみるとパワフルになっただけでなく、極低回転域でも粘って止まらず、そこからスロットルを開けただけでトルクがついてくるから、乗りやすくてどこでも困らない。それでいて高回転いっぱいに回すと元気で、回しきってもトルクが急に落ち込むようなことがない。
日本専用にセッティングしたという前後サスペンションは低速でも柔らかく動きながら、ある程度の速度を出してのギャップでも、追いつかずに挙動を乱す動きが小さくてスムーズ。いろんな状況や速度で路面に追従してエンジンのパワーを逃しにくく、前に進ませる力を感じた。YZ125で手に入れたスリムさを維持していることもあって、同じ2ストローク単気筒エンジンの兄貴分であるYZ250Xと比べると軽くて、手の内にあるような感覚でコントロールができる。狭いウッズでは細かい動作ができて、連続する凸凹も尻込みせずに突っ込んでいける許容範囲の広さ。この思うように動かせる感覚は大きな魅力だ。手に余らずに使い切れる感じ。怖さがない。
情報提供元 [ タンデムスタイル ]
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