脅威のベースポテンシャルでまだ上も狙える

“出力580ps、トルク40㎏-m”という、とてもバイクとは思えない脅威の数値。それを叩き出しているのが、このエスパーによる、ヤマハVMAXカスタムだ。さぞかしすごいことがされているのだろう……と思いきや、製作者にしてエスパー代表の小宮さんの回答は、とてもシンプルだ。

「エンジン内部で換えてあるのは、キャリロコンロッドやターボ用ローコンプピストン、オリジナル製作したヘッドガスケットにポート研磨。あとは内部パーツ全部にWPC処理をしているのと、車フィトからチェーンドライブ化したこと。でも、それくらいなんですよ。

ですから580psというのは、メカチューンでなく、ターボの追加だけで出してるんです。そうそう、NOS(ナイトロオキサイドシステム=亜酸化窒素による瞬間的な過給)は使ってなくて、NOS用のボトルはエアシフター用。あとタービンの付いた右側と、それがない左側との重量バランスも取ってます」

そうは言ってもこのパワー。ほかはなし、本当にターボのみ。しかも市販のハイオクガソリンで…。VMAXノーマルは151(国内仕様。輸出仕様は200)psだから、200psを元にしても約3倍。小宮さんの長年のノウハウここに極まれりなのだ。

YAMAHA VMAX

「実際にはどのタービンユニットを使うのか、配管や補機をどう取り回すのかが大変でしたけど、いろんな人の協力も得られてできました。それにしても驚いたのは、エンジンの耐久性だったんです。ノーマル比3倍もパワーを出したのに、壊れない。スタッドボルトも伸びてないし、右後ろ気筒のガスケットが抜けただけ。それで作ることになったんですけどね。フレームもシリンダーヘッド部など、エンジンをがっちり囲んでいるので、そのおかげもあったんでしょう。パワー自体はこれ以上出せる(!)んですが、それにも耐えられそうです」

超余裕のトルクはシャシーダイナモ上でタイヤがホイールからずれてしまうほどだそうだが、コントロールそのものは可能。車体はスイングアームでロング化された以外ほぼノーマルで、いずれは公道走行仕様にするという。

「大黒PAでスーパーカーの横に乗り付けると面白いでしょ。“同じパワーだよ”なんて言って」。そう笑う小宮さん。確かにそれは見てみたい。

Detailed Description 詳細説明

よく見るとビキニカウルが追加されたことが目立つ程度で、外観も後期型(2008~2017年、1700cc版)VMAXのノーマルだと分かる。



コクピットまわりもノーマルベースで、中央のノーマルメーター左に見えるのはトラスト製ブーストコントローラー、Profecだ。



左右のマスターシリンダーはブレンボラジアル、フラットなハンドルバーの左にはステアリングダンパーが追加されている。



タンクカバーはノーマル+ブルーペイント、フレームもノーマルのまま。エアスクープ部にはインタークーラーにつながる配管が見える。



シートやサイドカバー、テールカウルもノーマル。ウインカーはリヤフェンダー部からテールカウルサイドに移設されている。



65度挟角のDOHC4バルブ1679ccエンジンは排気量をそのままに、過給に合わせたローコンプピストン(過給で実圧縮が高まるので、調整)と強度を増したキャリロコンロッドを採用した以外は内部の可動パーツすべてにWPC処理を施した。クランクやバルブ/バルブスプリング、カムシャフト等もノーマル+WPC。ヘッドガスケットのみ本文のような吹き抜け対策で強化品をエスパーで製作したが、対策前でも抜けたのは右後ろ気筒のみだった。過給に合わせたインジェクター調整も行われ、ロックアップクラッチも装備する。



過給された吸気を冷やして充填効率を高める左右のインタークーラーは配管が小径のため上限580ps。大径化によってさらに“出せる”という。



ドラッグレースでの定番、エアシフター(ピンゲル製)を装着。リヤ左のNOSボトルはドラッグレース時にはこの駆動用に使っているもの。



車体は17インチの前後ホイールを6本スポークのアルミ化(3.50-17/6.00-17サイズ)。フロントはBrock'sのローダウンキットでドラッグレース用に車高を下げられるようにしている。ブレーキまわりは6ピストンキャリパーはノーマル、ディスクはプラスμに変更済み。



スイングアームは流用加工でロング化し、駆動もシャフトからチェーン(530サイズを使用)に変更するが、無理なく収められている。



通常ならサイレンサーがある位置に大きめのタービンユニットが置かれる。この排気量と狙うパワーに最適なユニットを見つけ、それがきちんと機能しての580ps(ブーストは2kg/cm2)だ。ここで新規が過給され前方左右のインタークーラーに回ってエンジンへ向かう。過給に使われた排気はタービンユニット下から排出されるがエネルギーは減衰されて静か。リヤキャリパーはベルリンガーをチョイスする。


主なカスタム内容(ヤマハVMAX)

エンジン
*エンジンカバー類含む
ESRER オリジナルローコンプピストン
CARRILLO スペシャルコンロッド
PINGEL エレクトリックシフターキット
フレームスイングアーム ESRER ワンオフスイングアーム
ブレーキ周り
*マスター含む
フロント
BREMBO RCSラジアルブレーキマスター
ホイール周り
フロント
Brock's performance ローダウンキット
ドライブシステム駆動系
*スプロケット、カバー含む
ESPER オリジナルチェーンドライブ加工
ハンドル周りステアリング
*ステダン、ミラー含む
BREMBO RCSラジアルクラッチマスター
OHLINS ステアリングダンパー(ESPERワンオフマウント)
TRUST GReddy Profec ブーストコントローラー
外装 NAPS BLUSTERⅡビキニカウル



エスパーVMAX(ヤマハVMAX)
取材協力:エスパー TEL044-422-5066 〒211-0012神奈川県川崎市中原区中丸子431
URL:http://esper.jp
2020年 12月 09日

情報提供元 [ ヘリテイジ&レジェンズ ]

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