
ヤマハYZF-R15がモーターサイクルショーに市販予定車として出品されることが発表された。そこで気になるのは同じ普通免許かつ軽2輪クラスのYZF-R25との棲み分けだろう。日本仕様の概要とともに紹介したい。
目次
YZF-R15のシャーシはYZF-R25よりも豪華
ヤマハYZF-R15は、2008年からインドなど海外市場で発売されてきたモデルで、これがついに日本でも正規ラインナップとして導入されることになった。予想発売時期は7月以降で、今年から車検不要の250ccクラスでYZF-R25とYZF-R15の2台が選べるようになるのだ。
まず、この2台の大きな違いはエンジンが並列2気筒249ccと単気筒155ccと異なっており、気筒数と約100ccの排気量差があること。最高出力はR25の35PSに対しR15は18.4~19.3PSのスペックになることから15PS以上の差があり、走行性能には大きな開きがあるだろう。
一方、シャーシはYZF-R25の鋼管フレームに対し、YZF-R15はツインチューブのスチール製デルタボックスと豪華。また、スイングアームもR25のスチール製に対してR15は軽量なアルミ製で、R25にはないリンクも装備してるので場面によっては有利に働くだろう。
足まわりは共に径37mm倒立フォークを採用し、ブレーキはアキシャルマウント2ポットキャリパー+シングルディスクで互角の装備。ディスク径はR25が径298mm、R15は径282mmなので、制動力はR25の方が高そう。リアはともに径220mmディスクだ。

YZF-R15インド仕様 [YAMAHA] 2021年9月に発表された4世代目で現地ではバージョン4.0と車名に入れられている。インドネシアやタイ仕様も存在するが、日本向けの生産国は不明。

YZF-R25国内仕様 [YAMAHA] 2月に発売された2023年モデルはカラーチェンジのみ。2019年以来の2眼ヘッドライトを踏襲した。この2車の最大の違いはそのスタイルにあるだろう。

YZF-R15のエンジンは125ccモデルでも使われる水冷単気筒SOHC4バルブユニットを採用している。吸気系はFIで2017年から可変バルブのVVA機構を装備している。

YZF-R15インドネシア仕様のVVAは7400rpmで作動する。低速用カムと高速用カムを切り替えて1つのエンジンで2つの出力特性を両立する。

YZF-R25のエンジンは320ccモデルでも使われる水冷並列2気筒DOHC4バルブユニットを採用している。最新型は国内の令和2年排出ガス規制に対応している。

YZF-R15のシャーシはヤマハ伝統のデルタボックスフレームを採用する。スチール製なので軽量化には貢献しないが、レーシーな装備になる。

YZF-R25は鋼管ダイヤモンドフレームを採用する。タイヤはフロントはR15が幅100mmに対しR25が110mmとわずかに太く、リアは共に幅140mmでサイズは同一だ。
YZF-R15のメーターはインドネシア仕様と同一、YZF-R125の装備は?
YZF-R15のプラットフォームは欧州のYZF-R125でも使われており、足まわりは欧州のR125系がフロントに径41mmフォークやラジアルマウントキャリパーを装備しておりより豪華だ。ただし、日本仕様のYZF-R125はYZF-R15同じ通常の足まわりを採用している。
また、メーターは各仕向け地で異なっているが、日本仕様はその形状がインドネシア仕様と一致していることから、欧州のYZF-R125などが新採用したTFTカラーメーターは採用しないだろう。また、スマートフォンとの接続などの詳細は正式発表時に判明するだろう。
その他、トラクションコントロールやクイックシフターの装備が日本仕様に導入されるかどうかも注目すべきポイント。日本仕様のYZF-R125とYZF-R15はシャーシや足まわりが同一なのが分かるので、電子制御なども同じ装備になると思われるが果たして!? 続報が入り次第お伝えしたい。

YZF-R15国内仕様 [YAMAHA] ヤマハが公開した写真にはアジア地域でラインナップされている上級グレードのYZF-R15Mは存在していない。カラバリは青と黒が確認できる。

YZF-R125国内仕様(左) [YAMAHA] 欧州YZF-R125と異なりR15と同じ足まわりを採用。写真からアクラポビッチ製のマフラーやフェンダーレスキット、エンジンガードも用意されそうだ。

YZF-R15国内仕様のメーターは、動画からYZF-R15インドネシア仕様と同じ形状なのが分かる。YZF-R15Mはより大型で、欧州YZF-R125はTFTカラーメーターを採用している。

こちらはYZF-R15インドネシア仕様の液晶メーター。バーグラフタコメーターやギアポジション表示だけでなく、スマホと接続して着信状況も表示する。アプリとも連携可能だ。

後輪のスリップを検知すると駆動力をカットし、グリップを回復させるトラクションコントロールは、2022年型のYZF-R15から採用されている。日本仕様への導入も期待。

アクセルを開けたままクラッチを使わずにシフトアップできるクイックシフターは上級版YZF-R15Mで標準装備された。通常版R15は非装備、欧州版R125ではオプション設定となる。
2022年型YZF-R15インド仕様主要諸元(参考)
・全長×全幅×全高:1990×725×1135mm
・ホイールベース:1325mm
・シート高:815mm
・車重:141【137】kg
・エジンン:水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ 155【155.9】cc
・最高出力:18.4【19.3】PS/10000rpm
・最大トルク:1.4【1.49】㎏-m/7500【8500】rpm
・燃料タンク容量:11L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=100/80-17、R=140/70R17【140/70-17】
※【 】はインドネシア仕様
2023年型YZF-R25国内仕様主要諸元
・全長×全幅×全高:2090×730×1140mm
・ホイールベース:1380mm
・シート高:780mm
・車重:169kg
・エジンン:水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ 249cc
・最高出力:35PS/12000rpm
・最大トルク:2.3㎏-m/10000rpm
・燃料タンク容量:14L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=110/70-17、R=140/70-17
・価格:69万800円
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