文/Webikeスタッフ:アキヒト

【スズキ Vストローム1050XT】
ディテール&試乗インプレッション

先代のVストローム1000からモデルチェンジで登場した「Vストローム1050/XT」。Vストロームシリーズ伝統ともいえる「クチバシ」はそのままに、往年のパリ・ダカールラリーで活躍した「DR」を彷彿とさせるデザインへと生まれ変わりました。

今回は装備満載の上位グレード「Vストローム1050XT」の試乗と共に、弟分ともいえるVストローム650に乗るウェビックスタッフが試乗の末にVストローム1050XTに乗り換えたリアルなインプレをお届けしたいと思います!

現代に復活したDR

【全長/全幅/全高】

2,265mm/940mm/1,465mm

【車両重量】

247kg

その姿が初めて公開されたのは2019年秋のEICMA(ミラノショー)でした。スズキのアドベンチャーモデルの伝統的なスタイリングとも言える「クチバシ」デザインはさらにアグレッシブさと力強さに磨きがかかり、カラーリングは「ファラオの怪鳥」とも呼ばれたパリ・ダカールラリーで活躍した「DR」を彷彿とさせるデザインとなりました。ここまでデザインが変わるとVストローム1000の後継モデルと言うより、ネオクラシックモデルとして現代に復活したDRと言っても過言ではありませんね。

ライダーの好みや状況に合わせてステップのゴムが取り外し可能となっています。
ちなみにセンタースタンドやエンジン周辺のアンダーカバーやアクセサリーバーはXTのみ標準装備となり、武骨さがより際立っています。

足つき

【シート高】

850mm

【足つき】

シート高850mmは先代のVストローム1000と同じ高さとなります。これは海外アドベンチャーモデルよりも低く、新型アフリカツイン(Sタイプではない)よりも高いといったシート高です。
身長173cmだと両足つま先立ちの状態ですが、160cm代だと両足は着きませんでした。身長150cm代だと片足だけで支えるのも厳しい感じです。

▲身長:173cmで足裏は1/3程度つきました
▲身長150cm代は片足でも支えるのは厳しいです

Vストローム650に乗るスタッフが実際に乗ってみた

2019年秋のEICMA(ミラノショー)で新型Vストローム1050が発表された時、現行のVストローム650オーナーである自分は、自分には関係ないモデルとして捉えていました(往年のDRをモチーフとしたデザインは、四輪のジムニーにもつながるギア感があって、カッコいいな、とは思ってましたが)。
と、いうのも先代であるVストローム1000に試乗した際、身長170cmの自分にはだいぶ厳しいと感じたポジションと、フロント回りの剛性感のバランスになじめず、楽しくバイクに乗れなかった印象が残っていたからです。
その一方で、Vストローム650のジャストサイズ感たるや、これぞまさに日本人向けのツーリングバイクだ!!!!!と感動して、結局そのまま新車を購入。ロングツーリングを中心に、Vストローム650で2年間あちこち走り回りました。

そんな気持ちで乗ってみたVストローム1050XTですが、跨った瞬間、これは良いかも!と感じるほど、ポジションがコンパクトになった印象を受けました。シート幅がスリムになり、足つき性も明らかに良くなっています。両足の足裏が1/3ぐらいは着地するので、さほど不安はありません。
そろそろと走り出してみると、低速での扱いやすさにこれまた驚きました。ツインエンジンとは思えないほどギクシャク感がなくスムーズで、切り返しやブレーキングでの挙動も実にしなやか。先代のイメージが強かっただけに、そのギャップに驚きました。フレームやサスペンションの構成は先代と同じなので、ポジションとセッティングが変わるとここまでバイクの印象が変わるのか、と単純に驚いてしまいました。

街中をリードするペースで走ると、Vストローム650にはない力強さとスピードの乗りが気持ちよく、リッターバイクの醍醐味を味わえます。かなり強めにハードブレーキをしても、足が長いモデルにありがちな、ちょっと前につんのめるような印象もあまり感じないぐらいスムーズな乗り心地です。
高速道路での巡行快適性も申し分なく、何よりも新型にはクルーズコントロールが装備されたのが嬉しいポイント(XTのみ)。タンデムでのテスト走行も試してみましたが、低速での扱いやすさと、しなやかな足回りのおかげで、実に快適でした。
また、クラッチが軽いのも嬉しいポイント。大型バイクの油圧クラッチとは思えないほど握りやすいので、ロングツーリングでの疲労軽減に効きそうです。ローRPMアシスト機能と合わせて、とてもユーザーフレンドリーです。

総評すると、今回の新型Vストローム1050は、現行のVストローム650と先代の1000の中間のようなサイズ感で、乗りやすさは今まで以上、といった印象。ポジションも大柄なアドベンチャーバイク感がないので、初めてビックアドベンチャーに乗る方でも、違和感なく乗ることができると思います。
私も含め、Vストローム650に乗って、もうちょっとパワーが欲しい、クルーズコントロールなどの装備が欲しい、と思っている方は、ぜひ一度試乗されることをおススメします。Vストローム650の優しさ、気軽さも捨てがたいですが、きっと新型1050の魅力を感じてもらえると思います。サイズ感、パワー感、そして乗り味のしなやかさ。Vストローム1050は実に日本的ともいえる、優しく魅力的なアドベンチャーバイクです。
※で、試乗後にVストローム1050XTを注文しました(笑)

■走ってみたまとめ

良かった部分
・コンパクトになったポジション、改善された足つき性
・緻密なエンジンマネジメントによる扱いやすさ
・しなやかな乗り味
・車重を感じさせないヒラヒラ感
・電子制御切り替え時のスイッチのシンプルな操作感
・クラッチの軽さ
イマイチな部分
・エンジンからの発熱量
・取り回しでの重量感
・ハイオクガソリン仕様なこと
・センタースタンドが重い

XTは灯火類が全てLED

【ヘッドライト】

ヘッドライトはこれまでのひし形状から、角型のLEDヘッドライトへと変わりました。DRのヘッドライトも角型だったこともあり、デザインやカラーリングとも相まってさらにDRっぽさを際立たせています。
新デザインのウィンドシールドは工具なしで11段階の高さ調整が可能となり、ライダーの好みや走行シーンに応じて調整ができます。ちなみにこれはXTのみの装備となり、ノーマルグレードでは3段階調整(工具が必要)となります。

【テールライト】

スタイリッシュになったテールライトはXTのみクリアレンズを採用。ウィンカーもXTには標準でLEDを採用するなど、デザインだけでなく優れた視認性に貢献しています。

ネガポジ反転式の多機能メーター

多機能フル液晶メーターはVストローム1050の背景が白に対し、XTはネガポジ反転となります。メーターは画面左半分にタコメーターとシフトインジケーター、水温系、タコメーター右下には各電子制御のモードを表示。右半分にスピードメーター、燃料計、時計、温度計、切り替え式で瞬間燃費計、トリップメーター、平均燃費計、電圧計、オドメーター、航続可能距離計を表示。さらにXTには専用装備となるクルーズコントロール、ヒルホールド、ABSモードも表示されます。

また、メーター横にはUSBソケットを標準装備。ソケットの後付けなしでスマートフォンなど電子機器の充電もできます。
また、ウィンドスクリーン後部にはスマートフォンのマウントに便利なバーも装備しているので、すぐさまロングツーリングに出発できますね。

制御の切り替えがシンプルなハンドル周り

ハンドルバーは幅広なテーパータイプを装備。さらにXTにはアドベンチャー感を刺激するハンドガードも標準装備となります。他にもバイクから降りた時に便利なヘルメットロックもハンドルに備わっています。

6軸センサーを搭載したVストローム1050XTに新採用となった電子制御システム「S.I.R.S.(スズキインテリジェントライドシステム)」の内、スズキドライブモードセレクター(SDMS)のモード選択や、ABSおよびトラクションコントロールの制御の切り替えは全て左ハンドルスイッチ1つで操作します。
さらにXTにはライダーがスロットル操作をしなくても設定した速度を維持して走ることができるクルーズコントロールを搭載。高速道路を使った長距離移動などの疲労を軽減する便利なアイテムです。クルーズコントロールの速度設定は50km/h以上から可能となります。

ワイヤースポークと電子制御が際立つ足回り

【ホイール】

Vストローム1050のホイールは10本スポークのアルミキャストホイールに対し、XTはチューブレスタイプのワイヤースポークホイールを採用しています。
タイヤには専用設計されたブリヂストン製BATTLAX Adventure A41を採用。軽快なハンドリングと高いグリップ力に貢献しています。

【ブレーキ】

油圧式ディスクブレーキは申し分のない制動力を発揮しますが、「S.I.R.S.」によりブレーキ関連の電子制御もパワーアップしました。
前後の車速センサーと6軸センサーによりABSの介入を制御する「モーショントラックブレーキシステム」をはじめ、上り坂でブレーキを放してもリアブレーキを自動で作動させる「ヒルホールドコントロールシステム」、下り坂でのブレーキング時に車体の姿勢からリアが浮かないようにABSの作動を最適化する「スロープディペンデントコントロールシステム」、タンデムや積載時など車両の荷重状態に応じて1人乗り時の制動性能に近づけるようにブレーキングを補正する「ロードディペンデントコントロールシステム」の4つのブレーキシステムを搭載しています。ちなみにこれら4つの電子制御はXT専用となります。

【サスペンション】

サスペンションは前後にKYB製サスペンションを採用。フロントフォークはダンピングとプリロードを調整できるアジャスターを装備。リアショックは伸び側減衰調整と工具なしでプリロードの調整が可能なアジャスターを採用し、タンデムや積載状況に合わせて即座にセッティングの変更が可能となります。

熟成されたVツインエンジン

最高出力:106PS/8,500rpm
最大トルク:99N・m/6,000rpm

車両名に「1050」と入っていますが、水冷DOHC1036ccVツインエンジンは先代のVストローム1000と同じになります。燃料マップの見直しと共にカムプロフィール、カムタイミングを最適化したことで、エンジンは同じながらパワーを7PSほど向上しています。よりパワフルな走りを体感できますが、SDMSの設定1つで状況に応じてパワーを制御できるなどライダーへのフレンドリーさも兼ね備えています。

クラッチには「スズキクラッチアシストシステム」を採用することで、軽いクラッチワークと急なシフトダウン時に発生するリアのスライドやホッピングを抑える働きを担っています。長距離移動を得意とするアドベンチャーモデルにとって、クラッチワークの疲労軽減はありがたいですね。

アドベンチャーらしい大容量タンク

タンク容量:20L

タンク容量は先代と同じく20Lとなります。WMTCモード値による燃費は20.3km/Lとのことなので、単純計算で400kmの巡航が可能となります。

高さ調整が可能なシート

シートは長距離走行にもライダーが十分耐えられるようにクッション性が高くなっていました。XTのみタンデムシートに格納されているカラーと交換することで、さらに20mmシートを高くできます。また、タンデムシートしたスペースには12VのDCソケットを装備。
シート後方にはグラブバー兼ねたキャリアを装備し、トップケースの装備など積載量を増やすのに貢献しています。

気になる販売価格は!?

メーカー希望小売価格(消費税10%込み)

Vストローム1050XT:1,518,000円(税込)
Vストローム1050:1,430,000円(税込)

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購入するならXTが断然オトク!

実際にVストローム1050XTを購入したウェビックスタッフのインプレと共にディテールの紹介をしましたが、XTのコスパの高さには皆さんお気づきかと思います。デザインや機能的な装備はもちろんのこと、走りをより良くする電子制御が満載のXTは、ノーマルグレードから+8万円(税抜)で購入できます。正直後からこれだけの装備を揃えようと思っても8万円じゃ足りないかもしれません。違いを体感したい方は、試乗車で乗り比べてみても良いですね。

撮影協力:株式会社スズキ二輪

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