2022年11月にホンダがミラノショーで発表したXL750トランザルプの国内予想発売時期と予想価格を新たにお届けしたい。また、新開発並列2気筒エンジンには注目の新メカニズムが導入されることが判明した。

低振動2気筒エンジンはクラス最高の91PSを発揮

国内では約20年ぶりの発売になるトランザルプシリーズは、新開発の並列2気筒754ccエンジンを搭載している。基本設計はアフリカツインと同じSOHCユニカムヘッドに実質90度Vツインと同じ爆発間隔になる270度位相クランクを採用している。

クランクシャフトは高周波の2次振動をキャンセルできる構造になっており、さらに2軸バランサーの配置を最適化することで低周波の1次振動と偶力振動も打ち消す構造としている。この低振動化でDOHCのライバル勢より高回転型でパワフルになっているのだ。

また、吸気系では特許取得済みの渦ダクトが吸気の流速を高めることで、低中速域の充填効率を向上させてトルクフィーリングが向上。さらにエアクリーナーボックスには、左右のダクト以外にも底面に3つ目の開口部を用意してアクセル急開時のレスポンスを向上させている。

他にも電子制御スロットルによるライディングモードの採用で様々な路面状況に対応できるようにしている。トランザルプならではのグラベルモードも用意されており、フラットダートでも安心して走行できるようにセッティングできるのはありがたい装備だ。

XL750トランザルプ欧州仕様 [HONDA] 2008年を最後に進化が途絶えていたデュアルパーパスツアラーが復活。日本では写真のロスホワイト1色で、5月下旬に126万5000円で発売されるだろう。

新開発並列2気筒754ccエンジンを搭載。ボア87mm×ストローク63.5mmで圧縮比は11.0。同クラスの国産並列2気筒では最高の91PS/9500rpmを発揮する。CB750ホーネットと共通ユニットだ。

SOHCユニカムヘッド[3]は、カムを吸気側に置くことでバルブ挟み角を小さくして直線的な吸気ポートにできる。充填効率がアップするので出力向上に寄与するのだ。

エアダクトには特許を取得した新採用の渦ダクト(Vortex Air Flow Duct)[6※左]を採用し流速を高めている。エアボックスには第3の穴[6※右]を開けてアクセル急開時に対応。

燃料供給は450kPaの高燃圧燃料ポンプと微粒化インジェクターで3000~8000rpmのスロットルレスポンスが向上。また、7000rpm以上の吹け上がりとパルス感のある吸排気音はトランザルプの見せ場となる。

エンジンは2軸バランサーを採用しているが1バランサーに1ウエイトとしてコンパクト化[2]。プライマリーギアで上下のバランサーを駆動するのでコンパクト化に貢献している[1]。

摩擦材を斜めに配置した「FCCリーニングセグメント[9]」はクラッチ切れが向上することで給油量を増やすことができるので、耐久性向上にも寄与する。アシスト&スリッパークラッチ[8]も採用。

トランザルプには電子制御も盛り込まれており、5種類のライディングモードを選択可能。オンロードで使うスポーツ、STD、レイン以外にもオフロード用のグラベルモードがある。

車重は208kgで排気量688ccのテネレ並みに軽量

シャーシはリアフレーム一体型のダイヤモンドフレームでスチール製ながらメインパイプやリアフレームの薄肉化などで単体重量18.3kg(CB500X:20.3kg、NC750X:22.2kg)に抑えられている。車重は208kgと発表されており、ヤマハ・テネレ700の205kgとわずか3kg差しかない。

足まわりは、フロントにSHOWAのカートリッジ式フォークのSFF-CAを採用。アルミ鍛造ボトムブリッジと200mmのストローク量でダート走行にも対応する。リアは、ストローク190mmに軽量なアルミ製ハイブリッドスイングアームでバネ下重量を軽減している。

メーターは5インチのTFTフルカラーディスプレイに多彩な情報を表示。表示テーマもアナログタコメーターなど4タイプから選ぶことができる上、白バック、黒バックが選択できるのでよりオーナーの好みに合わせられるだろう。左側のジョイスティック状のセレクトスイッチで操作が可能だ。

その他、旋回時の前後輪の回転差を検知するオートキャンセルウインカーや急制動時にハザードランプが高速点滅するエマージェンシーストップシグナルを採用。また、ヘルメットにインカムを用意することでスマートフォンボイスコントロールシステム(HSVCS)を使うことができる。

スチールダイヤモンドフレームは補強材の薄肉化[1]、メイン/ダウンパイプの薄肉化[2]、クッションマウントレイアウトの最適化[3]、ピボット形状の最適化[4]、シートレールの薄肉化[5]などで軽量化。

前後ホイールはオフロード走行も考慮したフロント21インチ、リア18インチを採用。ブレーキはフロントに径310mmのWディスク、リアは径256mmディスクでオンロードでも不安はない。

アドベンチャーツアラーらしく上体が起きた快適なライディングポジションを実現。シート高は850mmあるので、足着き性は良好ではないだろう。

TFTディスプレイにしたことでメーターの表示内容は超多彩になっている。日本仕様ならではのETCのインジケーターは右上に表示される。

表示モードはこの4タイプ。好みや天候、気分によって選んでもいいだろう。

オートキャンセルウインカーは車線変更時や右左折後に自動でウインカーの作動を止めるホンダ独自のシステム。前後の車輪速差を検知してウインカーを停止させる。

HSVCSは専用のアプリをダウンロードし車両とスマホを接続することで、走行中にハンドルから手を離すことなく通話、ナビ、音楽、メッセージ送受信ができるようになる機能だ。

XL750トランザルプ国内仕様主要諸元(予想)

・全長×全幅×全高:2325×840×1450mm
・ホイールベース:1560mm
・シート高:850mm
・車重:208kg
・エンジン:水冷4ストローク並列2筒SOHC4バルブ 754cc
・最高出力:91PS/9500rpm
・最大トルク:7.6kg-m/7250rpm
・燃料タンク容量:16L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=Wディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=90/90R21、R=150/70R18
・予想価格:126万5000円

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コメント一覧
  1. 匿名 より:

    高いあらない

  2. 匿名 より:

    欲しいなぁ。
    でも、パニアケース とかガード類などオプション付けると150万オーバーくらいになるのかな??
    だとすると、ちょっと手が届かんなぁ…。

  3. 匿名 より:

    オフロード前提じゃないのかな?
    走破性は低そう

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