
新たな排ガス規制やABS装着義務化などへの対応、部材調達や物流などのコスト増など、さまざまな理由によりバイクの新車価格は上昇傾向。さらに、ガソリン価格は高い状態のまま、タイヤなどの消耗部品も値上がり続き……と、バイク遊びには以前よりもかなり多くのお金が必要な時代になりました。だからこそ見直したいのが、原付二種クラスのファンバイクたち!
原付二種クラスは基本的にリーズナブル
排気量50cc超125cc以下の原付二種は、より大排気量のクラスと比べて、基本的には新車価格が抑えられている傾向。排気量50cc以下の原付一種はほぼ日本限定のクラスで、国内販売台数が低迷する現在は新車ラインアップが激減していますが、100~125ccはグローバルクラスということもあり、国内メーカーも多くの車種を日本で正規販売しています。
原付二種クラスのメリットとしては、新車本体価格だけでなく購入時の諸費用やその後のランニングコストが低いことも挙げられます。例えば諸費用では、排気量125cc超250cc以下の軽二輪クラスでも新車登録時に4900円がかかる重量税が不要。自賠責保険も、12ヵ月で比べると軽二輪の7540円に対して原付二種は7070円と、わずかながら保険料が下がります。
また、ショップによっては登録費用や納車整備費も、原付二種のほうが低めの設定。某店舗では、両方の合計金額で原付二種のほうが軽二輪と比べて1万5000円ほど安い計算でした。任意保険は、某ネット保険で調べたところ車種と条件によっては原付二種のほうが高くなる逆転現象も起きるのですが、クルマや他のバイク(軽二輪以上)を所有している人なら、原付二種の任意保険は主契約にファミリーバイク特約を追加することでも対応できます(こちらもどちらが得かは条件次第)。
さらに原付二種クラスは、より大きなバイクと比べたら、エンジンオイルやタイヤなどの消耗部品交換代金を低めに抑えられる傾向にあります。
パワーはないけど、操る楽しさが満喫できる!
コストに関してはいいことが多めな原付二種クラスですが、当然ながらデメリットもあります。例えば、原付二種クラスは高速道路や自動車専用道路を走ることができません。遠くまでツーリングに行きたい人にとって、これはマイナスポイントでしょう。ただしカーフェリーを使うときは、原付二種だと代金が抑えられるなんてメリットも生まれます。
小排気量なので、当然ながら大きなバイクと比べたら非力。タンデムや荷物満載で走行すると、動力性能にあまり余裕がありません。車体設計は比較的シンプルで、現代的な多数の電子制御デバイスやフルカラーメーターなどを搭載している車種もほとんどないので、最新テクノロジーを好む人にも不向きです。
このようなデメリットもあるのですが、逆に考えれば原付二種クラスでなおかつマニュアルクラッチ変速のバイクなら、バイクという乗り物を“素”の状態で味わえ、非力であるがゆえに正確なクラッチミートやシフトチェンジにより「操る楽しさ」を満喫できるということでもあります。そこで今回は、2023年2月現在に国内正規モデルとして新車が購入できる国内メーカー製のマニュアルクラッチ原付二種を、一挙に紹介します。
おすすめのマニュアルクラッチ原付二種はこれだ!
1 ホンダ・CB125R
本格装備満載のネオスポーツカフェ
前後17インチ径のフルサイズホイールにラジアルタイヤを履き、ショーワ製SFF-BPタイプの倒立フロントフォークにはニッシン製の対向4ポッドキャリパーを装着。前後輪ともに備わるABSは、急制動時の後輪浮き上がりを効果的に抑制するIMU(慣性計測装置)を用いた制御とするなど、原付二種クラスとしては上級な装備が多数あります。
スチール製フレームに搭載されるマニュアルクラッチ式の単気筒エンジンは水冷DOHC4バルブ仕様。最高出力は15馬力を発揮します。車重は130kgで、フルサイズボディながら軽量。キビキビとストリートを駆けられるスポーツネイキッドです。
2 ホンダ・モンキー125
遊び心に満ちたファンバイク
かつては原付一種クラスで展開されていたレジャーバイクのモンキーを、より大きな排気量で復活させたモデル。シリンダーが水平方向に伸びたエンジンは、2021年9月のモデルチェンジ時に新型となり、2018年の発売当初に採用していたエンジンよりもロングストローク化され、変速機は以前の4速から5速に改良されました。123cc空冷単気筒エンジンは、9.4馬力の最高出力です。
前後ホイールは、原付二種クラスのスモールボディ系では定番となる12インチ径。ブロックパターン風のタイヤを装着しています。ABSはフロントのみながら、ブレーキは前後ともにディスク式。コンパクトでキュートなルックスが大きな魅力です。
3 ホンダ・グロム
サーキット仕様もあるスポーツコンパクト
モンキー125と同型のマニュアルクラッチ式エンジンを搭載した、前後12インチホイールのコンパクトなスポーツネイキッド。モンキーに先駆けて2021年3月に5速仕様のニューエンジンを採用し、123cc空冷単気筒エンジンは10馬力を発揮。車重はモンキーよりもさらに2kg軽い102kgで、スモールホイールとの相乗効果で俊敏な旋回性を発揮します。
HRC(ホンダレーシング)からレースベース車が販売されるなど、サーキット走行まで視野に入れたモデルですが、基本的に装備はシンプル。一方で、脱着が簡単なボルトオンタイプのシュラウド&サイドカバー、分割式シートレールやサイレンサーだけを脱着できる分割式マフラーを採用して、カスタマイズの可能性を大きく広げてあります。
4 スズキ・GSX-R125 ABS
フルカウルの原付二種スーパースポーツ
スチール製フレームに、高回転域で伸びて最高出力15馬力を発揮する124cc水冷単気筒DOHC4バルブエンジンを搭載。前面投影面積を減らして空力特性を高めたフルカウルを装備した、前後17インチ径ホイールのフルサイズロードスポーツです。前後ブレーキはペタル形状ディスクの油圧式で、前後ともにABSを装備。フロントフォークは正立式です。
GSX-Rシリーズの頂点であるGSX-R1000Rは、最新排ガス規制に適合していないため日本国内仕様は2022年に生産終了となりましたが、GSX-R125は平成32年(令和2年)国内排出ガス規制に対応済み。まだまだ新車で楽しむことができます。
5 スズキ・GSX-S125 ABS
原付二種の俊敏ストリートファイター
フルカウルのGSX-R125とエンジンや車体基本部が共通化された、バーハンドル採用のスポーツネイキッド。シートはGSX-Rと同じく段差のある前後セパレートタイプで、アグレッシブな雰囲気のLEDヘッドランプ&ポジションランプと組み合わせることで、ストリートファイター風に仕上げてあります。
こちらも、124cc水冷単気筒DOHC4バルブエンジンは最高出力15馬力を発揮。6個のセンサーを使うインジェクションシステムは、4穴インジェクターが2つの吸気バルブに向けて噴射する構造です。マフラーは、排気口を2つ備えたデュアルテールエンド。メーターは反転モノクロ表示のフルデジタル式となっています。
6 カワサキ・Z125プロ
すでに生産終了もショップ在庫あり
前後12インチのスモールホイールを採用してボディをコンパクトにまとめつつ、近年のカワサキZシリーズに共通するアグレッシブなデザインを確立。124cc空冷単気筒エンジンは最高出力9.7馬力の4速仕様で、倒立フロントフォークやオフセット&レイダウンされたリヤモノショック、ペタル形状の前後ブレーキディスクなどを備えています。
2020年10月に発売された2021年カラーが、日本では最終型と発表されていて、すでに生産は終了されているのですが、正規ディーラーにもまだ新車在庫があります。最新排ガス規制とABS装着義務(原付二種クラスは前後連動ブレーキでもOK)に対応前のモデルということもあり、新車価格は低め。新車で乗りたい人は早めに決断を!
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