2005年を頂点とするスクーターブームを牽引したフォルツァの陰で、たった2代で消えていった幻のモデルがPS250。現在では中古市場で高値をつける人気ぶりだが、当時のゴージャス系スクーターブームとは真逆を行くコンセプトだったのだ。

モトラのトラックからPS250ではピックアップに

2004年に発売されたPS250は、若者のライフスタイルに寄り添ったモデルを開発する若手チーム「Nプロジェクト」が手がけた5車種目のモデルで、これが最後の市販車となった。「ラフ」「タフ」「ブコツ」をキーワードに開発しており、遊ぶための道具としての機能を徹底的に追求している。

当時はバイクの販売台数減少を食い止めるために特に若年層の需要を喚起する必要があり、Nプロジェクト第1弾のズーマーは、シートの下にスケートボードを積みやすいようにしていた。PS250もその延長線上にあり、オーディオのオプションやスマートキーなど豪華装備を徹底的に盛り込むフォルツァとは異なる方向性で開発されたのだ。

そのコンセプトを象徴するのが背もたれが起きるシート。二人乗りの時はタンデムシートとして使えるだけでなく、荷物をたくさん積みたい時はタンデムシートを起こして広大な荷台スペースが確保できるのだ。さらにシート位置が自動車のように前後に調整できる機能も画期的だった。

そして、モトラのようにヘッドライト上にもフレームマウントの荷台スペースを用意しており、現在ならキャンプツーリングで大活躍する装備だ。しかし、PS250はスクーターブームの真っ只中で発売されたにも関わらず、2005年モデルを最後にわずか2代で終了してしまった。

PS250(2004年) [HONDA] 歴代で最も売れた2代目フォルツァX/Zと同時デビューしたが、販売は全く及ばなかった。カラーリングや角目のヘッドライトはモトラを意識したものだろう。

車のシートのようにタンデムシートが起き上がる装備は画期的だった。起こした時はバックレストとしても使えるので快適性向上にも寄与する。

クルマのシートのように前後にスライドする装備は未だかつてないもの。90mmの範囲で10段階で調整可能だ。

タンデムシートを起こすとこのように広い荷台スペースが出現。これがピックアップスクーターの由来だ。

若者のライフスタイルに合わせたモデルとしてはタンデム性能も重要。握りやすいグラブバーも用意して、二人乗りにも配慮していた。

モトラほどのスペースはないが、フロントにも荷台が用意されている。

メットイン機能はないが荷台の右下には施錠可能な蓋付きの小物入れスペースがあり、レインウエアなどが収納できるようにしている。

メーターはあえてのアナログとし武骨さを追求。左寄りのスピードメーターはモトラのデザインを踏襲したものだ。

2005年モデルは丸型のデュアルヘッドライトに変更しズーマースタイルでテコ入れを図ったが、2005年に2万台以上を販売したフォルツァに対して計画台数は1400台という少なさだった。

こちらは2000年からの126~250ccスクーターの販売推移。PS250は赤枠で囲んだブーム真っ只中の期間だからこそ発売することができた特殊なコンセプトだったのだろう。

Nプロジェクト第6弾に10年後のブルドッグも幻に

2001年のズーマー、エイプから2004年のPS250まで、5モデルを開発し発売させたNプロジェクト最後の作品は、2005年東京モーターショーに出品されたNP6-SとNP6-Dで文字通り6番目のモデル。125ccスクーターの試作車でこちらは残念ながら市販には至らなかった。

NP6シリーズはロー&ロングスタイルを特徴としており、NP6-Dでは長さを生かしてシート下の"ビッグデッキ"にサーフボードを積むことを想定していた。その独特なスタイルは、もし販売されていたらPS250と同じように今でも人気になっていたのでは? と思わされるものだ。

また、その10年後に出品されたブルドッグも特筆しておきたい。こちらは「愛すべき旅の相棒」をコンセプトに、アウトドアを楽しむ道具として考案されている。燃料タンクの横にも積載スペースを設けておりPS250に通じるコンセプトを体現していたが、こちらも市販されなかった。

NP6-D(2005年) [HONDA] 片側のみからシートを保持する構造が特徴の125ccスクーター。サーフボードなど長尺ものを積むこと想定していた。

NP6-S(2006年) [HONDA] こちらはストリート仕様でロー&ロングを強調。縦配置の異形ヘッドライトによる個性的なスタイルに仕上げている。

BULLDOG(2015年) [HONDA] 400Xの並列2気筒エンジンをベースに考案された現代版レジャーバイク。パリダカ仕様のようなビッグタンク風の小物入れなど遊び心満点だ。

ブルドッグのデザイナーは女性ならではの目線で、ホイールサイズを前後15インチに小径化して730mmという低シート高を実現。小柄な女性ライダーもターゲットにしていた。

2004年型PS250主要諸元

・全長×全幅×全高:2085×795×1090mm
・ホイールベース:1455mm
・シート高:725mm
・車重:171kg
・エンジン:水冷4ストローク単気筒SOHC 249cc
・最高出力:19PS/7000rpm
・最大トルク:2.1kg-m/5500rpm
・燃料タンク容量:12L
・変速機:Vマチック無段変速式
・ブレーキ:F=ディスク、R=ドラム
・タイヤ:F=110/90-12、R=130/70-12
・当時価格:47万9000円(税抜)

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