前回のB-KINGに続くのはやはりヤマハのMT-01。1999年のコンセプトモデルが5年の開発期間を経て発売に至った陰には「XJR1600V」の存在があったのだ。1600cc級の排気量から生み出されるメガトルクの走りは、現在まで続くMTシリーズの礎になっている。

XJRがV型2気筒1600ccエンジンを搭載!

126cc以上でヤマハ最後の空冷であり、最後のV型エンジンを搭載するボルトRスペックが2022年に生産終了した。かつてはスターシリーズで一世を風靡したヤマハだったが、ボルトの終了でクルーザーさえも日本と欧州から姿を消すことになった。

一方、2000年前後は1600ccの空冷Vツインエンジンを搭載したXV1600ロードスターが国内でも販売されており、当時は1450ccだったハーレーに対抗する勢いがあった。その余波からMT-01『鼓動』というコンセプトモデルが生まれ、XJR1600Vが製作されたのだ。

XJR1600Vはここでの仮称で、本来はMT-01を開発する際に製作された実験試作車。1999年の東京モーターショーに出品されたMT-01『鼓動』を「実際に走らせたらどうなる?」かを検証するために作られた幻のモデルだ。市販前提ではないため写真で見ると異様な雰囲気がある。

試作車はベース車・XJR1300のカラーリングから2000年型と分かるので、東京モーターショー後からすぐに走り出していたことが分かる。巨大なVツインエンジンでスポーツ走行する醍醐味はまさに「メガトルク」の走り。エンジンはわずか2000rpmで最大トルクを発生していた。

ヤマハは同時期に次期VMAXのV型4気筒2000ccエンジンも開発しており、強烈な個性を持つエンジンラインナップでアメリカ市場を席巻するつもりだったのだろう。VMAX2000も幻と化したが、ヤマハV型攻勢の勢いは凄まじかったのだ。

XJR1600V(仮称) [YAMAHA] 1999年に国内でも発売されたXV1600ロードスターのエンジンを搭載した実験試作車。最大トルク発生回転数は2000rpmというまさにメガトルクマシン。

XV1600ロードスター(1999年) [YAMAHA] 世界最大の1600ccV型2気筒エンジンを搭載してハーレーに対抗した。当時ヤマハはドラッグスターなど「スター」シリーズで攻勢をかけていた。

XV1600ロードスターのエンジンは空冷OHVを採用。クランクケース内のカムシャフトがプッシュロッドを介してバルブを駆動するOHV方式は、ハーレーの伝統的なメカニズムだった。

XJR1300(2000年) [YAMAHA] 1998年型で従来の1200ccから拡大したビッグネイキッド。写真の2000年型は新作軽量ホイールなどで8kgの軽量化を実現した熟成版だ。

MT-01(1999年) [YAMAHA] 東京モーターショーに出品されたコンセプトモデル。独特なマウント方式のリアサスは市販版ではエンジンの下に設置された。

【インプレ】MT-01の走りは今でも忘れられない新体験だった

筆者はMT-01が発売された当時に取材で試乗することができた。1500cc前後のOHVビッグツインはハーレーやXV1600ロードスターでしか選ぶことができないエンジンだったが、まさかスポーツバイクとして楽しめる日が来るとは誰も予想していなかった。

エンジンのレッドゾーンは5500rpmからとなり、びっくりするくらい頭打ちが早いのにまず驚いた。シャーシはスポーツバイクだが、エンジンの素性はクルーザー。それでいて軽量クランクシャフトなどでレスポンスが向上しているのですぐにレブってしまうのだ。

MT-01はガンガン攻めるのには向かないが、バンク角の浅さに遠慮しながらワインディングを走るストレスから解消されたクルーザーという感じ。ハーレーではスポーツスターや同系エンジンのビューエルにあったコンセプトが、ビッグツインで実現したことが凄い。

これの何がいいかというと、スポーツスター以上のエンジンの鼓動感とスポーツ走行の醍醐味の両方が味わえる唯一無二のパッケージが実現したこと。速くないけど味わい深いエンジンで熱くならずにワインディングを楽しめるところは、今だとホーク11に通じるところがある。

MT-01(2005年) [YAMAHA] 日本でもプレストコーポレーションが輸入販売して2009年までラインナップされていた。フレームはアルミダイキャストのツインチューブに倒立フォークを採用。

上下で大きさの異なるマルチリフレクターを組み合わせた異型ヘッドライトのスタイルや2本出しのアップマフラーなど攻めに徹したスタイルも唯一無二だった。

MT-01のエンジンは、XV1600系の後継となるXV1700ロードスターウォーリアベースの1670ccを搭載。吸気にはFIを採用しメッキシリンダーや鍛造ピストンなどスポーツバイク並みの装備を導入した。

3000rpm以下でも14kg-m以上のメガトルクを発揮するエンジンなので、高めのギアを使ってクルージング感覚で攻めるのが正しい乗り方だろう。ちなみに現在のMTシリーズはマスターオブトルクの略に変化している。

MT-01欧州仕様主要諸元(2005年型)

・全長×全幅×全高:2185×790×1160mm
・ホイールベース:1525mm
・シート高:825mm
・車重:240kg
・エンジン:空冷4ストロークV型2気筒OHV4バルブ 1670cc
・最高出力:90PS/4750rpm
・最大トルク:15.3㎏-m/3750rpm
・燃料タンク容量:15L
・変速機:5段リターン
・ブレーキ:F=Wディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70ZR17、R=190/50ZR17

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