B-KINGは2008年に発売されたが、2001年の東京モーターショーに出品されたコンセプトモデルにはスーパーチャージャーが搭載されており、これの採用は幻に終わった。ここでは、試作版のB-KINGを振り返りたい。

極太リアタイヤで強力な加速力をアピール! 先進装備にも注目

2001年の東京モーターショーで出品されたB-KING。この年スズキの掲げたテーマは「Power to the Future」。その象徴的モデルとしてB-KINGは位置づけられており、Powerに直結するス―パチャージャーを搭載していた。

B-KINGは、1999年にデビューしたばかりのハヤブサのエンジンを搭載。当時最強の175PSから実測300km/hを記録した興奮冷めやらぬ時期に、過給機=スーパーチャージャーの搭載で「一体何馬力になるんだ?」と話題になったのだ。

「●アスリートが走り出す瞬間のようなスタイリングは、力強いパワー感を実現。●エンジンにはHyabusa 1300の1299cm3・DOHC水冷エンジンをベースにスーパーチャージャーを搭載。そこから生み出される強烈なトルクと加速感は、モーターサイクルの魅力のひとつです」

東京モーターショーのパンフレットではこのように解説されており、これまでにない過給機の搭載と斬新なスタイルをアピール。さらにB-KINGには「the Future」が詰め込まれておりLEDウインカーやメタリックスルーテールランプシステム、TFT液晶メーターなど将来の導入が期待される装備を積極的に採用していたのだ。

B-KING(コンセプトモデル) [SUZUKI] 2001年の東京モーターショーに出品された試作版。スーパーチャージャーに対応した240サイズのリアタイヤが圧巻だ。

デザイナーは「Have you ever seen this style?(こんな姿見たことあるか?)」と書いている。スロットル部分に「ワイヤーレス」とも書かれており電スロが想定されていたようだ。

フレームはセミピボットレスに近いスイングアームを内側で保持する構造としている。スーパーチャージャーはカワサキのH2と同様のエンジン背面マウントとしている。

クランクシャフトから動力を取り出し、エンジン背面の過給機を駆動するスーパーチャージャーを搭載。これは2015年にカワサキのH2が実現させた技術なのは言うまでもない。

B-KING試作版は2011年にカワサキのZX-10Rが採用した水平マウントのリンク式サスとしていたがこれはTL1000S/Rの名残だろう。B-KING市販版では垂直マウントになった。

「小型で斬新な外観をもつラインビームヘッドライト」を採用。B-KINGは小顔にすることで斬新なスタイルを生み出していた。LEDの現在のモデルではより小型化が進んでいる。

「万華鏡のように美しく複雑に輝くメタリックスルーテールランプシステム」と説明されているテールランプ。現代のモデルも多彩なデザインでリアまわりを彩っている。

「スタイリングと被視認性を高度にバランスさせるLEDウインカー」と説明されている。これは今では当たり前になった技術だ。

B-KING(2008年) [SUZUKI] 1340ccに排気量を拡大した2代目ハヤブサのエンジンを搭載し同時に発売された。最高出力は初代ハヤブサ超えの183PSを発揮したが過給機の搭載は見送られた。

MT-01(1999年) [YAMAHA] B-KINGに大きな影響を与えたと思われるのがヤマハのMT-01試作版。1998年に発売されたXV1600ロードスターのエンジンをスポーツネイキッドに搭載。2005年に市販された。

B-KINGが目指していたITとの融合は目前に迫っている

さらにB-KINGが想定していたライダーインタフェースの装備は、20年後の今になって振り返るとその先見性が見事だ。

「●IT技術との融合では、まずイグニッションキーの代わりに指紋認証装置を採用することに始まります。盗難抑止力が向上しマシンの所有感も高まります。●車載センサーから車両状態を検知する自己診断機能も充実します。運行前点検、各種のモニタリングや警告などをインジケータで表示するだけではなく、オーナーの携帯電話やパソコンにも通知します。●このデータ読み取り以外にも携帯電話からの各機能のセッティング変更が可能になり、ここでも自分のマシンとの一体感を認識できます」

指紋認証はバイクでは使われていないが、スマホでは一般的になっている。自己診断はアプリを通して空気圧なども確認できるようになっており、スマホからのセッティングの変更も現実のものだ。

「●交通情報や気象情報など、インターネット通信機能により最新のインフォメーションへのアクセスが可能。●これらIT技術との融合で、人とモーターサイクルの一体感に加え、より社会との一体感を強めることで未来のモーターサイクル像を提案致します」

こちらは、現在のバイクでもこれからの課題。これについてはカワサキが「AIを含むIT技術を活用し、ライダーと共に成長する人格を持つ次世代のモーターサイクルの開発に着手しました」と2016年に表明しており、ライディオロジーAPPを通して目下開発に取り組んでいる。

2001年にB-KINGが目指した「the Future」の実現が目前に迫っているのだ。

格納式のTFTスクリーンを採用。スピードとの2画面式にすることで、現在のモデルで一般的になりつつあるスクリーンでのナビ表示などを想定していたと思われる。

スクリーンを格納すると上部のスピードメーターのみが露出する。手前が指紋認証装置と思われるが、現在はスマートフォンで一般的になっている。

こちらが2008年に発売された市販版B-KINGのメーター。TFTスクリーンではないがアナログタコメーターの内側に液晶画面を置くなどかなり凝ったデザインを採用していた。

カワサキのモデルが続々とTFTメーターを採用しRIDEOLOGY THE APPをスマホで活用できるようになっているが、最初にその概念が示されたのが2016年8月のこと。現在はデータ収集中と思われる。

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