クルマの広告に数々の有名コピーがあるように、バイクにも数多の名作&迷作コピーが存在する。これを厳選して国産4メーカー別にお届けしよう。今回はホンダ編。世界トップメーカーだけに名車と名コピーも多いが、中には迷コピーも!?

文/沼尾宏明
※当記事は2023年1月31日に「ベストカーWeb」に掲載されたものです。

「おお400。おまえは風だ。」CB400フォア

 往年のホンダを代表するキャッチコピーであり、オジサマライダーには余りにも有名なのがコチラの「おお400。おまえは風だ」。

カタログ表紙に「おお400。」のコピーが踊り、次のページに「おまえは風だ。」と続く。美麗な4in1マフラーを強調した写真も素晴らしい

 ヨンフォアの愛称で知られる名車、CB400フォアのカタログに大きく踊り、何とも格調が高い。ヨンフォアは、1974年12月に発売。端正なスタイルと管楽器のように美しい集合マフラーが評判を呼んだ。

 しかし1975年秋、排気量を400cc以下に限る中型限定の二輪免許が導入。408ccだったヨンフォアに急遽398cc仕様を追加した。

 ヨンフォアは、デザインこそ評価されたものの、2ストローク勢より高額で走りも及ばず、わずか3年で生産終了してしまう……。人気を得るのは後年のことである。

 なお初期型のカタログを開くと「おまえは風だ。」となっていたが、暴走行為を煽るとの指摘があり、1976年型から「おまえが好きだ。」に変更された。

CB400フォア初期型ではカタログ表紙をめくると「おまえは風だ。」の文字と走行シーンが

1976年型からカタログ内の文字が「おまえが好きだ。」に変更された

当時珍しいミドルクラスの並列4気筒を搭載し、1974年12月に発売された初期型CB400フォア。■空冷4スト並列4気筒SOHC2バルブ 408cc 37ps 乾燥重量192kg

「ラッタッタ」ロードパル

 キャッチコピーではなく、車名と勘違いしている人も多い――。それほど有名なのがロードパルの「ラッタッタ」というフレーズだ。

 1976年に導入されたロードパルは、自転車風の車体に50ccエンジンを搭載した新ジャンルの乗り物だった。足でキックスターター風のゼンマイを巻いて始動する特殊なスターターを備えており、その様子を「ラッタッタ~」と表現したテレビCMが大きな話題となった。

 ロードパルは女性をターゲットに開発されたモデル。自転車よりラクな上に、当時は原付一種(50cc)ならヘルメットの着用義務がないため、髪型が崩れずに乗れることをアピールした。しかも新車価格は5万9800円とお手頃。ラッタッタは流行語になり、ロードパルは年間30万台以上を売り上げる大ヒット作となったのだ。

カタログとテレビCMにはイタリアの女優、ソフィア・ローレンを起用。ヨーロッパらしい舞台で、お色気を振りまいた! ■空冷2スト単気筒ピストンリードバルブ 2.2ps 0.37kg-m 車重44kg

「晴れ・のち・スカイ」スカイ

 スズキ編では明石家さんまとハイの広告を紹介したが、後に結婚する大竹しのぶもバイクのCMに登場していた。

 そのバイクこそ1982年に発売されたスカイ。国内最軽量となる乾燥重量39kgのスクーターで女性にアピールしていたこともあり、大竹しのぶが起用されたのだろう。

 大竹しのぶは当時26歳。3年前にヒット映画『あゝ野麦峠』に主演し、乗りに乗っている時期だ。翌年にはプロ野球選手の江本孟紀と一緒にスカイダイビングをするCMも放送された。

 さんまがスズキ ハイのCMに登場するのが1985年。大竹しのぶの方が早くブレイクしており、さんまより3年前にCMへ登場していたのだ。

 なお同名の全く異なるスクーターが1996年、欧州で販売。後にVia(ビア)の名称で国内にも販売された。

軽量スリムさがウリだったスカイ。翌年型ではさらに軽い37kgになった。7万5000円と価格もリーズナブル。■空冷2スト単気筒49cc 4ps 乾燥重量39kg

「400マルチ、いまクライマックス」CBX400F

 絶版車市場で今も絶大な人気を誇るCBX400F。当時価格は50万円弱だったが、現在の中古車相場は500万円以上がザラで800万円近いタマもある。

 そのキャッチコピーは「400マルチ、いまクライマックス」。コピーのとおり、CBXはホンダが満を侍して400cc4気筒クラスに導入した意欲作だった。

初期型のカタログ。「マルチ」はもはや死語に近いが、並列4気筒のこと。CBX400Fはクロスエキパイが特徴で、カタログでもしっかり強調されている

 ホンダはCB400フォア以降、400cc直4モデルを発売してこなかったが、カワサキZ400FXやヤマハXJ400ら直4モデルが大人気に。そこで1981年11月、最後発で送り込まれたCBX400Fは、ライバルがDOHC2バルブだったのに対し、4バルブを備え、クラス最高の48psを発生した。

 さらにプロリンクのリヤモノサス、アルミスイングアーム、世界初のインボードベンチレーテッドディスクとホンダの最新技術が詰め込まれていた。当時まさに“クライマックス”なバイクだったのだ。

初期型CBX400F。1983年末に生産終了したが、あまりの人気から1984年10月に再生産された。再生産された2型の方がより希少価値が高い。■空冷4スト並列4気筒399cc 48ps 乾燥重量173kg

「DJ、DJ」「見たか乗ったか大人気」 DJ-1

 1985年に登場したスクーターのDJ-1。これは名(迷)コピーというよりはCMのインパクトが凄かった。

 マッチョな黒人DJが「DJ! DJ!」と語ると、アニーが唄う『DJ In My Life』を背景にDJ-1が颯爽と走り、今も現役の声優、神谷明が「見たか乗ったか大人気、とびっきりのノリのよさ」とナレーションする。

 DJ-1の車名は、ディスクジョッキーのDJはもちろん、「ダッシュ」「ジャンプ」などが由来だが、当時、大人気だったヤマハのジョグに対抗するため「打倒ジョグ」が本当の意味では……と噂になったのだ。

基本設計の多くはタクトと共通ながら、よりスポーティなDJ-1。30秒の長尺CMではマッチョDJ(誰?)がカンフーのマネも。■空冷2スト単気筒 5.2ps 乾燥重量52kg

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