
このモデルの登場以前にも、他メーカーで、あえてカウルが装着されていないモデルは存在した。しかし、そのスタイルを確立させるムーブメントを起こすまでではなかった。ネイキッドブームを作り上げたゼファーよ、永遠なれ。
二輪史上まれに見るといっていいほどバイクが大ブレイクしていた80年代、一般ユーザーの注目を一挙にさらっていたのはレーサーレプリカだった。鈴鹿8時間耐久レースでは、近くを流れる川のほとりまで、テントを張って泊まり込むライダーであふれた。また、サーキットの走行予約さえ、なかなか取ることができなかった。この時代に、速く走らせることとはほど遠い、むき出しの空冷エンジンを搭載し、アップハンドル・丸目ヘッドライトのスタイルを持ったゼファーが新しく登場するとは誰が予想しただろうか。
性能第一主義の時代に突如登場したゼファー
89年、ゼファーは登場した。400ccクラスの自主規制値59psギリギリをねらったモデルが主流だった時代に、ゼファーに与えられた馬力は46ps。当初は、遅い・重い・止まらないなどと、酷評されもした。しかし、性能ばかりが先行して、一般ユーザーの技量の範ちゅうから、バイクの性能がかけ離れすぎてきたこの時代、性能第一主義に対してライダーは疲れを見せ始めていた。そのとき目にとまったのがゼファーだった。
そもそも、ゼファーを開発する話が出始めたのは86年ぐらいのこと。実は当時、Z1生産開始の話が具現化されつつあった。復刻版ではなく、70年代当時そのものの状態での生産である。結局その計画は実現しなかったが、ここにヒントを得て、ゼファーの開発が始まったのである。
情報提供元 [ カワサキイチバン ]
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