「SW-1か」と思いきや何か違う? このモデルは同じスズキのトラディショナルシングルのST250Eタイプ。写真は2003年に東京モーターショーに参考出品されたメーカーカスタム仕様で、ほぼそのまま少数が限定発売された幻のモデルだ。

バブルの好景気時代のコンセプトをデフレ期のベース車で再現

スズキは2003年の東京モーターショーでSW-1を意識した「ST250 デザインスタディモデルB」を出品し、2004年に「ST250Eタイプ Sカスタマイズ」として限定発売した。これは、その約10年前に発売されたSW-1の中古車人気に応えたものだろう。

SW-1は1989年の東京モーターショーに出品されたコンセプトモデルが1992年に市販化された経緯を持つ。バブル期に企画され、発売された時期は不況の最中。本格志向の装備から250cc単気筒モデルでも68万8000円と高価格だったこともあり販売は振るわなかった。

しかし、唯一無二のコンセプトからSW-1は生産終了後に中古車価格が高騰。これの代替機となるSカスタマイズのベースになったのは、バブル崩壊後の1994年に税抜き29万8000円でデビューしたボルティーの後継機であるST250。上級版のEタイプでも税抜き37万9000円という安さだった。

ST250Eタイプは、実はSW-1とエンジンが同系統なのでベース車に最適。これにキジマのレッグシールドや前後フェンダー(リアはテールランプ付き)、マフラーなどを後付けしただけだったが、Sカスタマイズはかなりいい線でSW-1のイメージを再現していたのだ。

ST250デザインスタディモデルB(2003年) [SUZUKI] スズキが東京モーターショーに出品したST250Eタイプのカスタム仕様。2004年にST250Eタイプ Sカスタマイズとして限定発売された。

SW-1(1992年) [SUZUKI] 1980年代後半に日産のパイクカー・Be-1やパオ、フィガロなどのデザインを手がけたWater Designによるバブリーな新提案。1994年型を最後にわずか3年で生産終了した。

ボルティータイプI [SUZUKI] バブル崩壊後の不況期、1994年に税抜き29万8000円でデビューし大ヒット。SW-1と対極のコンセプトだが、エンジンは同系でシャーシともST250に継承された。

2004年型ST250Eタイプ主要諸元

・全長×全幅×全高:2070×750×1075mm
・ホイールベース:1375mm
・シート高:770mm
・車重:129kg(乾燥)
・エンジン:空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ 249cc
・最高出力:20PS/7500rpm
・最大トルク:2.2kg-m/6000rpm
・燃料タンク容量:12L
・変速機:5段リターン式
・ブレーキ:F=ディスク、R=ドラム
・タイヤ:F=90/90-18、R=110/90-18
・価格:37万9000円(税抜き)

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