
こんにちは! 「WebikePlusスタッフが勧める意外といいぞ!」のコーナーです。
2022年6月から始まったこのコーナーでは、見かける機会はなかなかなくて、でもレアで憧れを集めるというわけでもない……いわゆる「不人気モデル」だけど素晴らしいポイントがいくつもあるという「意外といいぞ!」といえるモデルを取り上げてきました。

数えてみると特別編含め15モデルを紹介しているこの企画。中には「ええ! こんなにスゴいのか……」とか、「これは載せなければ!」と思える情報をつかみつつ、文字数の都合で泣く泣く添削したポイントも沢山あります。そこで今回は中でも私が推したい「推し意外といいぞ」を4車種セレクト、企画の振り返りもかねて、もっと「マイナーバイク」の魅力を感じていただきたいと思います!
目次
カワイイ子には旅をさせろ!ZZR250
記念すべき第1回に登場したモデルがカワサキ「ZZR250」。1990年発売のフルカウルツアラーで、(当時としては)未来的な流線形シルエット、低速からトルクが出て扱いやすい水冷2気筒エンジンは40PS/12500rpmの高回転高出力! といった魅力が大いに人気を集めました……集めましたが、2022年現在、なぜかメチャクチャ中古車相場が安いモデルでもあります。
「なぜか」なんて書きましたが、その理由はおそらく「古いから」。しかし、だからこそオーナーはしっかりメンテナンスをする必要があります。急な不具合の対処のため、多少のバイク知識も必要です。しっかり洗車をしてあげないと、すぐに古めかしく汚れます。もしかしたらレッカーを呼ぶハメになるので、保険にも入っておかないと……と、これらの要素をしっかり踏まえてみるとアラ不思議! 「安いからコレにしよう!」としか思っていなかったライダーも、あっという間に「初心者」を脱出できること請け合い。
え?「そうすると結局高くつく」って!? ……ま、まあそうですね。でも、映画にも登場するほど洗練されたシルエット、戦闘機のような3連アナログメーター、250ccとは思えないほど大柄で迫力のボディという、ZZR250ならではの魅力に触れたライダーなら、きっとそれらをムダだとは思えないのではないでしょうか。

「250ccは高速道路がツラいからロングツーリングは大変だよぉー?」となんて言われたライダーもいるはず!しかしZZR250の空力特性、ハイパワーなエンジンならどんとこい。実は荷物もバッチリ積載可能だ。
レースでも活躍!? 速いんだぞ「BROS」
ホンダの400ccスポーツネイキッド「ブロス(BROS)」。1988年発売でこちらも古いモデルなんですが、アルミのツインスパーフレームがドン! 片持ちスイングアーム「プロアーム」がドン! ショットガンマフラーがドン! そしてフィンのないツインのシリンダーがドドン! か、かっこえぇー!
ところがこのBROSもどういうわけかマイナーなモデルに終わりました。というのはこんなにレーシーで速そうなのに、エンジンは「ドコドコ系」クルーザーのスティードにも採用された挟角Vツイン。速そうなのに! もちろんパワーも同世代のスポーツマシンに比べると、400ccでは37.0PS/8,500rpmとかなり低めな数値。「速い」バイクと「速そう」なバイクだったら、速いバイクが人気になるんですね……。
そういうわけで変わったバイク扱いされている「BROS」ですが、実は一部のマニアからはロードレースやジムカーナにも投入される格好のベースモデルに! もとからスポーツ志向のこだわりが詰まったボディ、足回りはもちろん、アンダーパワーと呼ばれたエンジンも、カスタム次第で安定したトルクを叩き出しコンパクト。今でもBROSでレース参戦されているライダーはいますから、チューンナップのノウハウを受け継ぐことで、イメージ変貌間違いなしです。

バブル景気の中、「バイクの楽しさとは何か?」を追求して開発されたBROSは今見ると凄まじくこだわりが詰まったモデル! このカッコよさは他にないのでは。
打倒SR!いやGB?「テンプター」
スズキの「テンプター」は400ccのクラシカルな空冷単気筒。バイクらしいオーソドックスなデザイン、丸目。でもそのカテゴリーには押しも押されぬ人気モデル・ヤマハ「SR400」が君臨しています。テンプターも生産年数は短いまま消えてしまいました。よく見たら車体に「スズキ」ロゴもなく(年式によりますが!)、ト〇イアンフっぽいエンブレムがあるのみ。ドコのバイクですか? と聞かれるというオーナーの悲しい声も……。
しかし、見れば見るほどコイツはスゴイ。まず目が行くエンジンは新設計の4バルブOHC。屹立するビッグシリンダーの存在感は抜群です。そして前後ブレーキはあえてのドラム式。おまけにフロントブレーキはダブルドラムというロストテクノロジーを採用!
ライバルといえたSR400も生産を終了した今、テンプターと同じく直立ビッグシングルのホンダ「GB350」が大人気を見せる姿は、テンプター愛好家にとっては「生まれる時代が違えばあるいは……」と複雑な感情を抱いてしまうかもしれませんが、この洗練されたブリティッシュスタイルの前ではすべてがノーカウント!

1997年発売のスズキ「テンプター」。カフェレーサー風の低い姿勢に直立するシリンダーのエンジン、そして特別設計のダブルドラムブレーキがまぶしい個性派の1台だ。
250ccクルーザーの草分け!「ビラーゴ250」
250ccクラスの売り上げ1位をホンダ「レブル」が握ったまま既に5年近くが経過しています。もちろんレブルはとても完成度の高いバイクなのですが、その人気はやはり「250ccクルーザーが他にないから」というのも大きな理由になっていると思います。しかし、かつては沢山このカテゴリーにも魅力的なモデルがあったんですよね。その筆頭ともいえるのが、ヤマハの「ビラーゴ250」でした。
シンプルな見た目ながらメッキパーツをふんだんに採用し、大型クルーザーにも見劣りしない高級感を出している点もさることながら、軽くて細くて扱いやすいという250ccとしての使い勝手も充分。それでいて新設計の空冷Vツイン(ヤマハ250ccでの初採用!)エンジンはかなりキビキビ走ってくれるのがうれしい!
なによりスゴイのは(状態によりますが)ビラーゴのメッキや塗装が非常に高品質で、生産終了から時間の経った現代でも、とても美しい輝きを残した車体が多いこと。クルーザーの本場・アメリカでは今なお新車販売が続いているため、修理や整備にも不安はまだありません。ピカピカメッキのクルーザーが欲しいライダーは見逃せないモデルなのでした!

重厚長大なイメージの強いクルーザーの中で、ビラーゴ250は重量137kg(!)という脅威の軽さ。かつては大人気を誇ったこともあり、今でも入手しやすいモデルです。
来年ももっと「意外といいぞ!」
というわけで今年紹介したモデルの中から、個人的お気に入りをセレクトしてみました。小さくて軽くてクラシカルな見た目、そして地味にハイメカなバイクが好き……という趣味を前面に押し出してしまいましたが、これを参考に1人でも多くのライダーが、「マイナーバイク」に興味を持ってくれると嬉しいです。

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