ホンダから2023年に登場するニューモデルとして「CL250」が発表された。先日メディア撮影会でお披露目された試作車から、その走りを予想してみたい。

CL250はベストセラーモデルのレブル250をベースに新たに開発されたスクランブラーモデルである。ここ数年、ちょっとしたブームになっているスクランブラーだが、元々はオンロードバイクをオフロードでも走れるように改造したのが始まり。1950年代以降に米国を中心に盛んになったスクランブルレースがその起源と言われ、不整地でも走りやすいようにアップハンドルにしてロングサスペンションとアップマフラーを取り付けたりした。

「CL」というモデル名は最近あまり馴染みがないと思うが、ホンダは半世紀以上も前にスクランブラーを発売していた。当時の高性能ロードスポーツモデルだったCB72をベースにスクランブラー仕様のCL72が作られ米国のレースでも勝ちまくったという。その進化版として1968年に元祖CL250が登場している。

写真:南孝幸、ホンダモーターサイクルジャパン
※撮影車は試作車のため量産車とは一部仕様が異なる場合があります

加速力や扱いやすさは申し分ないはず

さて、ニューモデルとして現代に蘇ったCL250はレブル250がベースになっている。エンジンは元々CBR250R用の水冷4スト単気筒DOHC4バルブで、以前にレブル250に試乗したときは、パリッとした鼓動感で低回転から十分なトルクが出ていて、高回転域(最高出力26ps/9500rpm)まで吹け上がるスムーズなパワー感が印象的だった。前後16インチホイールはハンドリングも見た目に以上に軽快で、かなりスポーティな乗り味だったと記憶している。

新型CL250だがエンジンはそのままレブル用を流用して、吸排気系で味付けをアレンジしているものと思われる。ということで加速力や低中速での扱いやすさなど、エンジン性能は申し分ないはずだ。ちなみにマフラー形状もスクランブラーらしさを強調した迫力のアップタイプでタンデム用ヒートガードを装備。サイレンサー形状もレブルとは異なる大容量タイプに見直されているようだ。それでいて、エキパイは下側に回して熱対策もしているので街乗りも苦にならないはず。現場でエンジン音も聞けたが、レブルより図太く鼓動感を強く打ち出したサウンドにチューニングされているようだった。

ライディングポジションの自由度が高くオンもオフもいける

車体に関しては、見た目はレブルと大きく異なるので一瞬戸惑うが、近づいてよく見るとメインフレームはそのままにシートレール部分を持ち上げている。これはシート高を上げてスクランブラーらしいライディングポジションに設定し直すとともに、ライダー重心を高くすることでオフロードでのコントロール性を高めるためだろう。ちなみにシート高は790mmと標準的でスリムな車体と相まって足着きも良さそうだ。レトロ感あふれるタックロールタイプのシートも座面がフラットで前後に長くライディングポジションの自由度も高そう。加えてハンドルも幅広なアップタイプとくれば、きっとオフロードでの走りも楽しいはずだ。

また、前後サスペンションもストローク量を伸ばしつつ、ホイールもフロント19インチ(リアは17インチ)へと大径化することでオフロードでの走破性も高めていることが分かる。タイヤはオンでもオフもいけるセミブロックタイプだ。特にリア側は170と太めのタイヤを履いていることから、オフロードでの走破性を稼ぎつつオンロードでのコーナリング性能も追及したものと思われる。つまり実績のあるエンジンと車体を使って現代的なスクランブラーとして最適化されたモデルということだ。というと、要領よくまとめた感じだが、逆に言えば最初から走りの良さは保証されているも同然なので安心いいと思う。

高速から林道ツーまでワイドレンジに使える

自分の予想としては、CL250のオンロードでの走りの性能としては車体のディメンションなどからレブル250以上に軽快かつスポーティで日常域ではCBR250Rに迫ると思われる。一方オフロード性能としては同排気量クラスのCRF250Lには劣るだろうが、足着きの良さなどから軽めの林道ツーリングなどではかえって扱いやすく有利な点もあると思う。もちろん高速道路もパワフルに乗れて、足長を生かしてタンデムも快適。レブルやCBRを含めたエンジンを共有する3兄弟の仲では最も使い勝手の広いモデルと言えそうだ。

かつてホンダにはライト感覚の都会派オフバイクとも言えそうなSL230(軽量でトライアル的な走りもできたXR230と同系エンジン)という隠れた名車があったが、使い方のイメージとしてはそれに近いかもしれない。

またCL250には純正アクセサリーが豊富に用意されているのも魅力。撮影会場には防風効果を高めるヘッドライトバイザー&ナックルガードにラリーマシン風のビーク(クチバシ)を思わせるアップフェンダー、オフロード向きのフラットシートやゼッケンプレート風サイドカバーが装着されたカスタム仕様も用意され、これがかなりカッコ良かった。

CL250の詳しいスペックや価格や発売時期は未発表だが、来春のモーターサイクルショー前には発売されるとの予想もあり。試乗できる日が待ち遠しい!

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