
2022年10月いっぱいでCB400スーパーフォアが生産終了したことは、当WEBでもお伝えしてきたが、教習車はどうするの? という動向をお伝えしたい。
400ccまでの排気量となる普通自動二輪免許の取得者は増加傾向で、二輪業界としてもこの勢いを維持するために教習車の新機種開発は避けては通れない重要な課題。果たして教習車に選ばれたのはどの機種か?
文/ベストカーWeb編集部、CG/SRD※当記事は2022年12月2日に「ベストカーWeb」に掲載されたものです。
教習車にできる400ccのラインナップは数えるほどしかない
バイクの教習車はクルマのように仮免許による公道での路上教習はないが、法規に対応する必要がある。そのため、令和2年排出ガス規制に対応しなかったCB400スーパーフォア(SF)とともに、これをベースとするCB400SF教習車仕様も生産終了してしまったのだ。
車両の耐用年数を考えると新機種開発が急務。教習車の供給終了は生徒数を制限してしまう可能性があり教習所の経営にも影響するだろう。ところが、普通自動二輪免許の教習車として使用可能な300cc以上の排気量を持つ候補車のラインナップはかなり限られている。
近年、バイクの人気は401cc以上のビッグバイクか、車検が不要となる126~250ccまでの軽二輪に二分しており、300~400ccのマニュアルミッション車は年々減り続けている。現行の候補車はホンダで3機種、ヤマハとカワサキで各2機種しかない。
さらにカウル付きのスーパースポーツモデルを除くと3メーカーで4機種に絞られるが、今回入った情報は、「ホンダが普通自動二輪の教習車を発売する」というもの。考えられるのはネオクラシックのGB350かクロスオーバーツアラーの400Xのみ。果たしてどっち?

400X(左)とGB350(右)を教習車にしてみるとこんな感じに。最大手のホンダでもベース車にできる400ccモデルは限られてしまうのだ。CGイラストは編集部で制作したもの

CB400スーパーフォア教習車仕様 [HONDA] 平成28年排ガス規制に対応して2017年12月に発売。シート高がSTDより5mm低い750mmに設定されバンパーを装備するなど細部が異なる
新型普通二輪の教習車は400Xが濃厚だ
編集部が得た情報によると普通自動二輪の新型教習車は400Xが濃厚。この7月には、400Xと同じクロスオーバーツアラータイプのNC750Xが教習車のNC750L(L=Licence/免許)として令和2年排ガス規制に対応して発売されており、普通二輪も同じ流れになるだろう。
400Xには、2013年のデビュー当時にCB400Fというネイキッドモデルも兄弟車として存在しており、こちらの方が教習車向きだったが不人気のため一代限りで販売が終了してしまった。また、フルカウルの兄弟・CBR400Rはハンドルが低すぎるため教習車には不向きとなる。
400Xは海外ではCB500Xとして販売されているモデルで、実質は大型バイクと言えるモデル。2019年には前輪が17→19インチに大径化され全高が45mmアップした。CB400SF教習仕様車よりも全高が295mmも高いので、初心者の教習生にとっては手強いサイズかも知れない。
では、なぜGB350が選ばれないかというと、ビッグシングルよりも400Xの並列2気筒エンジンの方が扱いやすいからだと思われる。また、GB350の空冷というメカニズムも夏場の低速走行が連続する環境で不利だろう。つまり、400X一択という状況なのだ。

400X教習車仕様 [HONDA] CB400SF教習仕様車に比べて30cmも高いのは、大型のスクリーンがあるのと、フロントホイール径が大きいのが理由。CGイラストは編集部で制作したもの

GB350教習車仕様 [HONDA] 排気量が300cc以上であれば教習車にも利用可能なのでGBも候補。だが空冷ビッグシングルがネックになったと思われる。CGイラストは編集部で制作したもの

NC750L MT教習車仕様 [HONDA] 生産終了したNC750SベースのNC750Lに代わり登場した新世代大型教習車。こちらは17インチなので400Xほどの全高はないが前モデルよりも80mm高い
CB400SF教習仕様車に比べて実技の難易度はどうなる?
筆者はCB400SFもフロントが19インチになった400Xも両方試乗経験があり、市販仕様がそのまま教習車になるとすると「400XはCB400SFよりも少し難しくなりそう」というのが率直な見方になる。すでに書いてきたように19インチのフロントホイールがポイントだ。
単純にホイール径が大きくなると安定性が高まってツーリングでは快適になるが、小回りは小径ホイールが有利。教習所の課題で苦手意識があるライダーが多いスラロームでどう影響するかが気になるところ。さらに前まわりにボリュームがあり重心が高いのでこれも影響するだろう。
逆に有利になると思われるのが一本橋。スラローム以上に難易度が高い課題なので、むしろ嬉しいライダーもいるかも知れない。19インチホイールの安定性の高さだけでなく、アドベンチャーツアラーならではのアップライトでワイドなハンドルでバランス操作がしやすいはずだ。
車重は教習用の装備が抜きでCB400SFが198kgなので、199kgの400Xと互角。また、400Xの並列2気筒エンジンは回転をあまり上げなくても発進しやすいので、高回転型となる並列4気筒のCB400SFよりもエンストしにくいはずだ。ただし、CB400SFより50mm高い400Xのシート高は教習車仕様でローダウンすべきだろう。発売時期は2024年4月と予想される。

400Xに身長170cmの男性がまたがるとこのように。CB400SFよりもタンクやハンドルが高い位置にあるので、ボリューム感を感じるはず。ただ、750クラスほどの大きさはない

体重65kgの男性の足着き性は少しかかと浮く。シート高はCB400SF教習仕様車よりも50mm高い800mmなので、小柄なライダーは不安があるだろう

400Xは2018年までは17インチホイールを採用していたので、教習仕様車こちらの足まわりを活用してローダウン化することもありえるか?

教習所を利用した練習会でのスラローム。教習課題でのパイロン間隔は大型試験と共通の4.5mあるので400Xでもクリアには問題ないはずだ

直進安定性が高まる大径ホイールやワイドなハンドルで一本橋はCB400SFより400Xの方がやりやすいだろう
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