
文/Webikeスタッフ:アキヒト
目次
【ホンダ ADV150】
ディテール&試乗インプレッション
2019年の東京モーターショーで登場して以来、いつ販売されるのかと話題の絶えなかったADV150。
国内での発売に先駆けてメディア試乗会が行われたので、早速試乗してきました!
ホンダの745cc直列2気筒エンジンとDCTを搭載した新型アドベンチャー「X-ADV」を彷彿とさせるルックスだけでなく、エンジンには信頼と実績のあるPCX150のeSPエンジンを採用しているなど、乗る前から期待が高まります。
今回はPCX150も一緒に乗ることができましたので、比較しながらお届けします!
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遊び心あるスタイルと使い勝手の良いエンジンが楽しい
まず走り出してすぐに感じたのがポジションの違い。PCX150と比べシート高が高いので、自然と目線が高くなり視野が広がります。ハンドルバーはスクーターには珍しい、絞りの少ないワイドタイプのファットバーを採用、多くの情報を同時に表示する新設計のメーターとウィンドスクリーンが合わさり、視界に映る光景はまさにアドベンチャーバイクそのもの。X-ADVを模した遊び心のあるスタイルとブロックタイヤの採用など、スクーターながらアドベンチャーテイストが各所から溢れています。ちなみにアドベンチャーバイクらしくスタンティングでの走行を試したところ、ステップボードに少し角度がついていたこともあり、スタンディング時は少しふらついてしまいました。逆にステップボート前方に足を伸ばして座ると、お尻がタンデムシートとの境になっている窪みに納まるので、下半身がホールドされて安定していました。
エンジンはPCXと同じ「eSPエンジン」を搭載していますが、吸気系・駆動系の細かい見直しにより、低・中回転良いのトルクと加速性のが向上しています。実際にPCX150と発進からの加速を比較してみましたが、50km前後までの伸びはADV150の方が上でした。同じ150ccスクーターの中でも、走行性能は上位に入るでしょう。
足回りもサスペンションが専用設計になったことと、ワイドなブロックタイヤを装着したことで、走破性はPCX以上に向上しています。特に今回の走行では路面の轍といったギャップの多い場所で違いを感じられました。リアブレーキにもディスクブレーキが採用されたので、制動力も向上しています。
次は各部ディテールについて細かく解説していきます。
PCXとは似て非なるスタイル
【全長/全幅/全高】
ADV150:1,960mm/760mm/1,150mm
PCX150:1,925mm/745mm/1,105mm
【車両重量】
ADV150:134kg
PCX150:131kg
フレームやエンジンなどの機関部分はPCX150をベースにしていますが、デザインだけでなく走行性能に関わる部分にも違いがみられました。
デザインでは、X-ADVのような可変スクリーンや上部に向いたマフラー、アドベンチャーらしいバイザー付きのデジタルメーターを装備。サイズ上ではPCX150と大きな違いはありませんがフロントマスク周辺がゴツゴツとしているので、サイズ以上に大きな印象を与えます。
走行性能ではサスペンションが変更されており、全長が伸びただけでなくリザーバータンクが付きました。サスペンションが伸びたことにより、シート高、最低地上高が上がり、悪路での走破性向上に寄与しています。ホイールはリアが1インチ小さい13インチとなりますが、幅は120から130サイズへと広がり、ブロックパターンのタイヤを標準装備としています。リア周りの変更に伴い、ブレーキもPCX150ではドラム式でしたが、ADV150ではディスクブレーキが採用されています。
足つき
【シート高】
ADV150:795mm
PCX150:764mm
【足つき】
シート高はPCX150と比較して約30mm高くなっています。そのため足つきも身長173cmのスタッフが跨った際にPCX150では踵までベタ足のところ、ADV150では両足の踵が浮くぐらいでした。
アドベンチャーらしいアクティブなライト
灯火類はスクーターながら妥協なく全てLEDを採用しています。
なにより、新設計の吊り上がるように伸びたポジションライトのデザインがクールでカッコいい!
テールライト内の「X型」の発光形状と合わさって、アクティブなイメージを演出しています。
急ブレーキをいち早く後続車に伝えるエマージェンシーストップシグナルを採用。急ブレーキ時にはハザードランプが高速点滅することで、後続車に注意を促します。
【ヘッドライト】
【テールライト】
情報が豊富なセパレートタイプのメーター
メーターのレイアウトは、スピードメーターと各種インジケーターを分けることで、より多くの情報を表示できるようになりました。
スピードメーター内の上段は左から燃料系、日付、時計、オイル交換インジケーター、オド・トリップメーターを表示。下段左側は切り替えで燃費系、気温径、電圧計を表示。右側の大きなゲージは瞬間燃費計となっています。
スクーターながら幅広なファットバー
ハンドルはアドベンチャーらしい幅広なファットバーを採用しています。
スイッチ類に大きな特徴はありませんが、PCX150と同様にアイドリングストップのON/OFFスイッチが右側に付いています。
スマートキーシステムを採用しているため、キーを差し込む必要がありません。スマートキーを携帯しているだけで、キーONとシート、給油口の開錠操作が行えます。
快適な走りを助ける装備
スクリーンは2段階から高さ調節が可能な可動式となります。ローポジションとハイポジションとの差は71mmとなり、新開発のスライド機構により工具を使わずに高さを調節する事ができます。
ローポジションでは、走行風が胸元に当たるぐらいとなり、街中などで適度な風を感じたい時にオススメです。反対に高速走行など走行風が強い時には、ハイポジションにすることで上半身が受ける風の量を減らし疲れを低減します。
インナーボックスは2Lの容量を確保。中にはACCソケットが備え付けられているので、走行中にスマホの充電も可能です。思った以上に奥行きは無いので、500mlのペットボトルは入りませんでした。
専用設計の足回り
フロントフォークは正立タイプながら130mmのストローク量を確保。街中での走行だけでなく、路面の凹凸に対しても上質な乗り心地を演出しています。リアサスペンションはリザーバータンク付きのツインショックを採用。120mmのストローク量と3段レートスプリングにより、二人乗り時や荒れた路面での走行時にも優れた路面追従性を発揮します。
ブレーキは前後にディスクブレーキを採用。PCX150はリアブレーキがドラム式だったので、ディスクブレーキになったことで制動力が格段に向上しています。ABSはフロントのみ作動する1チャンネルタイプを装備。
タイヤも走破性を考慮して、専用のブロックパターンタイヤを装備。ホイールサイズもPCX150の前後14インチから、フロント14インチ、リア13インチの組み合わせに変更したことで、ハンドリング性能と乗り心地向上に貢献しています。
低、中回転が向上したエンジン
最高出力:15PS/8,500rpm
最大トルク:14N・m/6,500rpm
エンジンはパワフルでありながら燃費も優れることで定評のある「eSPエンジン」をベースに吸気系・駆動系の最適化を図り、低・中回転域のトルクと加速性能を向上させています。実際にPCX150と加速を比較してみたところ、ADV150の方が加速性能が優れていました。アイドリングストップシステムも採用されているため、環境性能と燃費の向上と共に、静粛性を実現しています。
マフラーもADV150用に新設計となり、アドベンチャーらしい走破性を高めたアップ形状のレイアウトを採用しています。
長距離ツーリングにも対応したタンク容量
タンク容量:8L
給油口はPCX150と同じくシートヒンジ前方にあり、給油口の開錠にはスマートキーを利用します。タンク容量8Lと、WMTCモード値で1Lあたりの燃費が44.1kmを誇るので、単純計算で300km以上の連続走行が可能となります。普段使いだけでなく、長距離ツーリングも難なくこなします。
自由度の高いシートと十分な収納スペース
シート下容量:27L
シートは足が出しやすいように、前方にかけてスリムになっています。足が出しやすいだけでなく、太ももでシートを挟みこむようなホールド感もあります。
シート下の容量は27Lを確保。シート前方のスペースであればフルフェイスヘルメットの収納が可能です。後部のスペースと合わせて使う事で、雨具など常備しておきたい荷物の収納に役立ちます。シートは地面と垂直になるまで開くので、荷物の出し入れもラクラクです。
ステップボードも状況に応じて自由度の高いレイアウトになっています。
気になる販売価格は!?
メーカー希望小売価格(消費税8%込み)
本体価格:451,000円
※2020年2月現在
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一足先にカスタム車両をご紹介!
今回の試乗会では、参考出展として純正オプション装着車が展示されていましたので、オプションをご紹介いたします。
ホンダ純正用品装着車
海外仕様車と異なり、日本仕様車は寒冷地仕様という位置づけで発電量が大きくなっています。そのため、純正オプションのグリップヒーターを装着しても補える電力を確保しています。
専用のリアキャリアとトップボックスの設定もあり、トップボックスの容量は35Lとツーリングの荷物にも対応した大容量となっています。
カスタマイズパーツ装着車
ゲイエティーレッドのスタイルとマッチした、赤いアルマイトパーツで統一感のあるカスタムが施されていました。
ドレスアップパーツではレバー、バーエンド、マスターシリンダーカバーとクランプ、ボルトキャップ。ハードパーツではサイドバー、フォグランプ、フェンダーレスキットに焼き色が美しいモリワキ製のフルエキゾーストマフラーを装着していました。
発売前からこれだけ豊富なパーツが用意されていると、今後の新商品にも期待がもてますね。
撮影協力:株式会社ホンダモーターサイクルジャパン
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