
「横浜ホットロッドカスタムショー2022」に出展された46works製モトグッツィ「ルマン1000(Le Mans 1000)」。ベース車両のスタイルはツアラーなのだが、46worksの中嶋志朗氏の手腕により走行性能を意識したロードスポーツに変貌している。今回はこの車両を紹介したい。
ワインディングで、速くて楽しい快適なロードスターを
カスタムを手掛けた46worksは、ビルダーの中嶋志朗氏がBMWやKTMといったユーロメーカーのカスタムバイクをメインに製作している2014年に設立されたカスタムファクトリーだ。中嶋氏はクラシックレース等への参戦も多数行っており、製作される作品はいずれも走行性能を重視した合理的な視点から設計され、世界各国から注目を集めている。当初は東京を拠点としていたが、現在は山梨県の八ヶ岳南麓のファクトリーを中心に活動中だ。
今回出展された車両のベースであるルマン1000は、特徴的な縦置きVツインの空冷エンジンを得意とするモトグッツィが1984年に送り出したツアラーモデル。そのネーミングは24時間耐久レースで有名なル・マンからとられている。ベース車両は1987年式で、中嶋氏はカスタムを手掛けるにあたり、まずツアラースタイルを決定づけている高めのステム位置を変更。トップブリッジの位置を引き下げ、低く構えたスポーティなイメージに刷新した。そのコンセプトは「ワインディングで、速くて楽しい快適なロードスター」とのこと。

46worksが手掛けたモトグッツィ・ルマン1000。ベース車両とはまったく雰囲気がことなる、モダンなスポーツバイクに変貌している。

オリジナルのルマン1000に特徴的だったカウルは取り払われ、高めのステム位置は低く修正された。そのスタイリングが目指したのは、ワインディングを速くそして楽しく駆け抜ける走行性能だ。
姿勢の変更からもわかる通り、そのカスタムは見栄えだけを重視したものではなく、あくまで合理的な走行性能の追求に基づいている。このため吸気系はパワーフィルター化・FCRに変更されており、エンジン内部は徹底的にオーバーホール済。フロントフォークはかつてレースシーンでも採用されていた、チェリアーニ製フォークのレプリカを使用しているが、こちらもフィーリングに合わせて調整済だ。ブレーキはブレンボ製に換装、ホイールはスポークに組みなおされ、リムはEXCEL製となった。
もちろんビジュアル面にも妥協はなく、タンクはアルミの打ち出しによるワンオフ作成だ。またシートもワンオフで、これに合わせたシートレールも作成されている。このようにカスタムパーツとワンオフパーツが組み合わされていながら、全体としては非常にシンプルでモダンな印象に仕上がっているのが今回のルマン1000カスタム。その製作過程、職人技は46worksの公式Youtubeチャンネルにて、全10回のムービーとして公開中だ。lo-fiなBGMに合わせてゆっくりと、しかし着実に削られ、磨き上げられる車体を見ているだけで、メカニック好きライダーにはたまらない世界観となっている!

エンジンはオリジナルを完全分解し、ブラスト仕上げのうえオーバーホール。ヘッドカバーはアクセント的にブラックペイントされた。キャブレターはFCR製に換装され、走行ポテンシャルも向上。

フロントフォークはチェリアーニレプリカに変更。ホイールはベースではキャストホイールだが、組みなおされたスポークホイールに変更された。ブレーキキャリパーやディスク、ハブの保持のためにはワンオフの削り出しパーツが使用されている。

美しいピンストライプのペイントが施されたタンクは、フレームに合わせて丹念に中嶋氏が溶接と打ち出しで作成したワンオフのアルミ製。シートやフレームもこれに合わせて製作されている。

オリジナルのルマン1000はエアロデザインのビキニカウルが特徴的なツアラースタイルのモデル。モトグッツィは耐久レースに参戦しており、レースマシンからフィードバックされたツーリング性能は高い評価を得た。
46worksのYoutubeチャンネルではルマン1000のメイキング動画を公開中
情報提供元 [ 46works ]
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