
カテゴリーの定義はちょっぴり曖昧!?
「ヘリテージ(heritage=遺産)」というキーワードは、ドゥカティやヤマハが2014年ごろから積極的に使い始め、その後に一般ライダーの間に浸透。その基本概念は、「かつてのバイクが持っていた雰囲気やルックスを、現代的な技術も取り入れながら現代に蘇らせたモデル」です。
この“現代的な技術”という点で、以前から存在しているネオクラシック系とは少し差別化されることもありますが、ヤマハがSR400を「スポーツヘリテージ」にカテゴライズしていたことからもわかるように、ヘリテージとネオクラシックの線引きはだいぶ曖昧です。
一方で「カフェレーサー」は、1950~1960年代の英国で流行したロッカーズカルチャーが由来のカテゴリー。当時のロッカーズはバイクでカフェに集まり、ストップウォッチ代わりにジュークボックスで曲をかけつつ、決めたルートを誰が一番速く走れるかなどを競っていたとのことで、彼らあるいは彼らが好んだバイクがカフェレーサーと呼ばれました。
当初は低いハンドルとバックステップとシート加工程度のカスタムでしたが、その後にこのカルチャーが世界中に広まり、欧州のカスタムビルダーがロケットカウルやテールカウル、ロングタンクなどの外装キットを開発。1970年代になると市販車でも欧州や日本のメーカーがこのスタイルを取り入れました。
そこから約半世紀もの間、発展と懐古が入り乱れつつ継承されてきたスタイルですが、そういう意味ではこちらも、ネオクラシック系との境界線が明確ではないことが多々あります。
国内メーカーのヘリテージ&カフェは10車種以上!
前述のように、ヘリテージやカフェレーサーの定義には曖昧な部分もあるので、ある程度は独断と偏見によるピックアップとなりますが、このカテゴリーに属していると考えられる現行型の国内メーカー製モデルは、少なくとも10車種以上あります。
その中で今回は、原付二種クラス、普通二輪免許で乗れるクラス、排気量400cc超750cc以下のミドルクラス、750cc超1000cc以下の大型クラス、そしてリッターオーバークラスという5つの排気量帯に分けて、それぞれの最安値モデルを探しました。
400cc以下では現在、ホンダのみがヘリテージやカフェレーサーにカテゴライズできるモデルを現行モデルとして販売中。ミドルクラスでは、スズキのSV650Xが価格的には大きなアドバンテージを持っています。800~1000ccクラスでは、3気筒エンジンのヤマハ・XSR900がもっともリーズナブル。そしてリッタークラスでは、2022年に新登場したホーク11が唯一の存在で、900~1000ccの4気筒勢よりも低価格を実現しています。
リーズナブルな国産ヘリテージ&カフェはどれだ?
それでは、クラスごとにおすすめのヘリテージ&カフェをご紹介します。
【原付二種クラス】ホンダ・CB125R
ネオスポーツカフェコンセプトの最小排気量モデル
ホンダの現行CB-Rシリーズは、2017年秋の東京モーターショーで初披露されたネオスポーツカフェコンセプトをルーツとするスタイリングが与えられていて、日本では2018年からCB1000RとCB250RとCB125R、2019年にはCB650Rが追加されて展開されていきました。
現代的なスポーツネイキッドのパッケージと、レトロテイストを融合しているのがその特徴。いわゆる一般的なカフェレーサーとは異なりますが、現在も「ネオスポーツカフェ」をキャッチコピーとして取り入れているため、今回はカフェレーサー系と判断してランキングに含めました。
というより、原付二種クラスでヘリテージ系やカフェレーサー系に近い国内メーカー製モデルというのは、現行型としてはこれが唯一。そういう点で注目度は高めです。
エンジンは最高出力15馬力の124cc水冷単気筒で、マニュアルクラッチ式の6段変速。前後タイヤは17インチラジアルで、スポーティな走りを楽しめます。
【普通二輪免許クラス】ホンダ・CB250R
軽二輪クラスでは唯一となる弱“カフェ”系
原付二種のCB125Rと同じ理由で、こちらも今回はカフェレーサーやヘリテージ系に近いモデルとして加えました。そもそも、CB250RとCB125Rの車体は基本部が共通化されているので、どちらか片方だけというわけにもいきません。
ネオスポーツカフェのデザインコンセプトは他のシリーズと共通ですが、このCB250Rは最高出力27馬力の249cc水冷単気筒エンジンを搭載しています。
なお排気量125cc超400cc以下の普通二輪免許で乗れるクラスには、同じくホンダのGB350シリーズがあり、こちらの扱いにはかなり迷いました。GB350の価格は55万円で、CB250Rよりもさらにリーズナブル。しかしGB350は、ヘリテージ系というよりはネオクラシック系であると判断しました。
というのも、これをベースにスポーツ性を高めたGB350Sがラインアップされているから。逆に、GB350Sであればカフェレーサーとしてカテゴライズしても問題ないでしょうが、価格は59万4000円で、わずかながらCB250Rよりも高くなっています。
【ミドルクラス・400cc超750cc以下】スズキ・SV650X ABS
SV650のファインチューンで価格低減を実現
バーハンドルネイキッドモデルのSV650をベースに、セパレートハンドルに換装し、ヘッドライトカウルを装着して、レトロ調の専用シートを採用したのがSV650X。前傾がややキツめで、フレンドリーなベースモデルとは異なるややスパルタンな雰囲気を持つ、まさにカフェレーサー的な雰囲気を味わえるモデルです。
エンジンは、20年以上も熟成が続けられてきた645cc水冷90度Vツイン。パラレルツインとは異なるパルス感も特徴です。
そもそも、ベースモデルとなっているSV650が80万3000円とリーズナブルな価格設定で、いくつかの専用カスタムが施されているとはいえSV650Xもお値段抑えめ。Vツインエンジンを使いながら、パラレルツインエンジンを搭載したヤマハやカワサキの同排気量帯カフェレーサー系モデルよりも、10~20万円程度も安いというのは衝撃です。
【大型クラス・750cc超1000cc以下】ヤマハ・XSR900

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3気筒エンジンで味わうスポーツヘリテージ
最新排ガス規制に適合化されたエンジンを搭載する現行モデルとして、XSR700とともにヤマハが「スポーツヘリテージ」にカテゴライズしているのがXSR900。
プラットフォームベース車としての役割も担っているネイキッドスポーツのMT-09をベースに開発された、888cc水冷並列3気筒エンジンをアルミ製フレームに搭載するモデルです。
2022年型でフルモデルチェンジを受け、このときに以前のオーソドックスなレトロ系ネイキッドスタイルから、1980年代のロードレーサーを彷彿とさせるルックスに大変身。
かつてのカフェレーサーカスタムがグランプリレーサーの影響を受けていたことを考慮すると、ヘリテージであると同時にカフェレーサーとも考えられるモデルです。3気筒エンジンであることやプラットフォームベース車を使っていることなどから、価格は抑え気味となっています。
【リッタークラス・1000cc超】ホンダ・HAWK11
正統派のカフェレーサースタイル
独自の存在感を主張する一体成型のFRP製ロケットカウルに、トップブリッジの下側に配されたセパレートハンドルと、低めにセットされたバックミラー。2022年9月に新発売されたホーク11は、アドベンチャーモデルであるCRF1100Lアフリカツインの1082cc水冷並列2気筒エンジンとスチール製メインフレームを流用した、1970年代以降のカフェレーサーを思わせるモデルです。
4種類のライディングモード、3段階+オフのトラコン、ショーワ製のSFF-BP倒立フロントフォークやニッシン製のラジアルマウントフロントブレーキキャリパーなど、現代的な装備も多数。つまり、ヘリテージモデルとして捉えることもできます。
国内専用モデルとして設計されていますが、2気筒かつ流用エンジンということも価格を抑えることにつながっており、4気筒のカワサキ・Z900RSシリーズやスズキ・KATANA、あるいは同じホンダのCB1000Rよりもリーズナブルです。
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カテゴライズすることにあまり意味がないと感じます。掲載されてるモデルはちょいと他人とは違う雰囲気を求めてる人へのメーカーのマーケティングにすぎない。ユーザーはそのバイクが自分の感性とマッチするから選ぶだけ。もちろん価格は大きな要素だけどビジネスバイク以外は所詮は趣味の乗り物。人と同じバイクはイヤだっていう人が選びそうなバイクをメディアが『これ、なかなかイイですよ』って取り上げるのは?
まぁ記事書かなきゃいけないから気持ちはわかるけど、こういうバイク選んでる人は『ほっといてくれ』ってのが本音。天邪鬼なところがちょいと強い。隙間をつくマーケティングって難しいよね。
いやなら読まなければ良いだけの話、いちいち言うことが説教臭くて嫌になるねこういうコメント。