
ギヤチェンジやクラッチ操作が不要で運転が簡単など、一般的なスクーターにはモーターサイクルにはない魅力がいくつも備わっていますが、ほとんどのスクーターがシート下にトランクを備えているというのも大きな利点。これにより、ちょっと雑に荷物を積むこともできます。今回は、最近人気となっている原付二種スクーターのシート下トランク容量を比べてみました。
目次
フルフェイスヘルメットが入るのは、もはや当たり前

1987年に登場したホンダ・タクトフルマーク。メットインを商標登録し、以後、メットインは一般名詞と使われるようになった
スクーターの機能性を高める装備はいくつもありますが、その中でもシート下トランクは、シティコミューターとしての使い勝手を向上させるのに欠かせないアイテム。現在、日本で国内メーカーが正規販売するスクーターのほとんどには、一般的なサイズのフルフェイスヘルメットが収納できるシート下トランクが設けられています。トランクがあることで、移動時に荷物を簡単に収納して運べることはもちろん、駐車時には被っていたヘルメットを入れておくこともできます。
ちなみに、量産スクーターで初めてヘルメット収納を可能としたのは、1985年にデビューしたヤマハのボクスンでした。ところが、1987年1月に“メットイン・タクト”ことタクトフルマークを発売したホンダが、後に「メットイン」を商標登録。この名称は、「バンドエイド」や「エレクトーン」や「宅急便」と同じように、いつしか一般名詞的に使われるようになりました。
1990年代以降、とくに日本の二輪メーカーは、スクーターのシート下トランクに一般的なサイズのフルフェイスヘルメットが収納できることを重要視して設計する傾向にあり、トランクの“容量”だけでなくシート裏側を含めた“形状”にもこだわることで、公表値20L程度のスペースが確保されていれば十分にフルフェイスヘルメットを収めることができます。しかしもっと大容量であれば、当然ながら収納力には余裕が……。
人気の原付二種スクーターを検証
メーカー名 | 車名 | シート下トランク容量(L) | フロント |
---|---|---|---|
ヤマハ | アクシスZ | 37.5 | オープン |
ホンダ | リード125 | 37.0 | フタ付き |
ホンダ | PCX | 30.0 | フタ付き |
ヤマハ | シグナス グリファス | 28.0 | オープン |
ホンダ | PCX e:HEV | 24.0 | フタ付き |
ヤマハ | トリシティ125 | 23.5 | フタ付き |
ヤマハ | NMAX | 23.0 | フタ付き+オープン |
スズキ | アドレス125 | 21.8 | オープン |
スズキ | アヴェニス125 | 21.5 | フタ付き+オープン |
ヤマハ | ジョグ125 | 21.3 | オープン |
ホンダ | ディオ110 | 18.0 | フタ付き |
2018年7月の道交法改正により、1日あたりのAT小型限定普通二輪免許の取得に必要な技能教習時間の上限が見直され、普通自動車免許を保有している場合なら教習終了まで最短2日間に短縮されたことなども追い風となり、現在の日本市場では50cc超125cc以下となる原付二種クラスの販売が好調です。そこで今回は、国内メーカーが日本で正規ラインアップする原付二種スクーターのみに絞って、シート下トランク容量が大きな車種を探してみました。
2022年11月現在、該当する現行モデルは11車種(ビジネススクーターを除く)。このうち最大のシート下トランク容量を誇るのはヤマハのアクシスZで、これにわずか0.5L容量差でホンダのリード125が迫ることになりました。シート下トランク容量はあくまでもメーカー測定値のため、各社の基準に多少の差があるはず。0.5Lというのはもはや誤差の範囲でしょう。また、第3位にはホンダのPCXが入り、ここまでが30L容量以上となりました。
ちなみに、もっともシート下トランクが小さかったのはホンダのディオ110。リヤホイールが14インチとやや大径で、車体をスリムにまとめていることも、トランク容量の少なさにつながっているようです。しかしこのディオ110も、帽体が比較的コンパクトなフルフェイスヘルメットなら収納できます。
それでは、国内メーカー製原付二種スクーターのトランク容量ベスト3に入った車種を、より詳しく紹介しましょう!
トランク容量第1位【37.5L】 ヤマハ・アクシスZ
ジェットヘルメット×2個も収納可能!
車両価格低減も実現した原付二種クラスのベーシックモデルとして、2017年4月に日本市場への導入が開始されたのがヤマハのアクシスZ。
2022年3月にはマイナーチェンジが図られ、最新排ガス規制適合化やヘッドライトの光量アップ、左レバー操作時の前後連動ブレーキ機能追加、静粛かつ振動が少ないエンジン始動が可能なスマートモータージェネレーターの新採用などが施されました。このマイナーチェンジ後も、全長666mmというロングシートの下に設けられたトランクは、37.5Lの大容量をキープ。ヤマハ125ccスクーターではトップを誇っています。
このシート下トランクには、形状によっては2個のジェットヘルメットを収納することも可能。つまり、タンデムユース時でも2人分のヘルメットを入れておけます。また、A4サイズのファイルなども収まるため、ビジネス資料などを雨に濡らさず運ぶこともできます。
フロントには、バッグなどがかけられる使い勝手のよい折りたたみ式のコンビニフックに加えて、コンパクトなポケットも装備。8.3馬力で空冷の単気筒エンジンを使うことで、27万1700円(2022年11月現在)というリーズナブルな価格に設定されていますが、積載性は非常に高いモデルです。
トランク容量第2位【37.0L】 ホンダ・リード125
クラストップに肉迫する大容量トランク
ホンダが1980年代から小排気量帯のスクーターに使用してきた「リード」の車名を受け継ぎつつ、2013年7月に導入開始されたのがリード125。
現行モデルは、フルモデルチェンジが施されて2022年3月に新登場しました。エンジンは、力強さと環境性能のバランスに優れたeSP+仕様の124cc水冷単気筒(11馬力)で、ホイールは前後12/10インチの小径タイプ。リヤブレーキをドラム式とするなどベーシックな部分がある一方で、スマートキーシステムを採用しています。
そのシート下トランクは37L容量を誇り、B4サイズのバッグも収納可能。一般的なサイズのフルフェイスヘルメットを1個収めてもまだかなりの余裕があり、ビジネスから遊びまで幅広いシーンで活躍しそうです。しかもハンドル下部には、ワンタッチで開閉できるフタ付きで500mlペットボトルも収納可能なインナーボックスを装備。新型はここに、USBタイプC充電ポートも備えています。
トランク容量第3位【30.0L】 ホンダ・PCX
人気のPCXは収納面でも抜かりなし!
日本では初代が2010年3月に発売され、すぐに人気モデルとなった125ccスクーターがPCX。その後はモデルチェンジやバリエーションモデル追加などを繰り返し、2021年1月には4代目に刷新されました。
搭載するエンジンは、リード125と同じく走行性能と環境性能のバランスに優れるeSP+仕様の124cc水冷単気筒で、ボア・ストローク値や圧縮比も同じですが、こちらは最高出力が12.5馬力。そしてホイールは前後14/13インチと大径です。また、リード125と同じくスマートキーシステムを採用しており、シート下トランクの解錠はスイッチで簡単にできます。
シート下のトランクは30L容量で、一般的なサイズのフルフェイスヘルメットを余裕で飲み込み、なおかつレインウエアなどを収納しておけるスペースがあります。
ちなみに、PCXシリーズには車体の基本構成が同じ160およびハイブリッド仕様のe:HEVがあり、160は125cc仕様と同じ30L容量で、大きなバッテリーを搭載するe:HEVはフルフェイスヘルメットが入る24L容量となっています。
また、いずれの仕様もハンドル下部には、500mlペットボトルが収納可能でUSBタイプC充電ポート付きのフロントインナーポケットを装備しています。
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ビッグスクーターブームの時にスカイウェイブ250に乗ってたけど、慣れるとあのシート下60L程度の広いメットイン容量でもツーリング帰りはヘルメットにお土産や帰宅後に食べるコンビニ弁当やお菓子やジュースの入った買い物袋にカッパなどを入れると、もういっぱいでタンデムツーリング用にリアにボックス付けたくらいだし、原2や160ccクラスも40Lくらいの容量があるモデルが出るといいのになぁ!