11月13日、スズキがVストロームミーティング2022を開催。そこで、新たにファミリーに加わったVストローム800DEとVストローム1050DEが日本初公開された。開発者も登壇し、各車の見所をアピールした。

Vストローム800DE「林道に迷い込んでも引き返す必要はありません」

Vストローム800DEのチーフエンジニアを務めた番匠哲也氏。サスペンションのスペシャリストで、今回はGSX-8Sの開発も兼任した。


「今回Vストローム800DEを開発するにあたっては、皆様の冒険心をかき立てたいという思いがありました。これまでのVストロームシリーズの中でもう少し先まで行けるようなクルマ、例えばロングツーリングで林道に迷い込んでしまった時に引き返すなんてことがないように、そういうところでもしっかりと走れるようにしました。

そのためにフロントに荷重をかけられるデザインにしたかったのですが、Vツインだとエンジンの全長が長くなってしまうので、前後長を縮めるためにエンジンをパラツインにしています。ただし、Vツインの鼓動感やトラクションのかかり方は捨てたくなかったので、Vツインと同じ点火タイミングとなる270度クランクを採用しています。

また、エンジン型式がパラツインなので一次振動を消したいのですが、前後長を極力短くしたいという理由から「スズキクロスバランサー」という新構造を採用しています。これは、2軸を前側にまとめることで前後長をコンパクトにできるのが特徴です。また、駆動しているギアのすぐ近くに配置できるので、軽量化にも貢献しています。

鉄フレームはロングツーリングや不整地に対応することを考えた時に、強度や剛性の面から採用しました。また、パラツインになっても全幅を極力スリムにしたかったので、アルミだと断面積を増やさなければならないということもあり、鉄フレームがベストチョイスと考えています。

サスストロークは前後220mmという十分なストロークを持たせています。未舗装路を走行するのが前提ですので、そこでしっかりと吸収し切るセッティングになっています。ストロークが短いと硬くするしかなくて疲れてしまいますが、800DEは未舗装路での吸収性を確保しながら乗り心地も両立しています。

シートは硬度だけでなく密度を高めてしっとりとした座り心地としました。長距離を走ってもお尻が痛くならないシートになっています。

新たに登場した800の位置づけは、650や250に乗られていてもう少しパワーが欲しいという方、逆に1050だとパワーも車体も持て余すという方に向けて中間を埋める役割があります。選択肢が広がる中でお好きな1台をチョイスしていただきたいと思います」(談)

Vストローム800DE [SUZUKI] DE=デュアルエクスプローラでオンロードだけでなく未舗装路にも対応したタイプ。トークショーでの話では発売時期は2023年春頃と思われる。

エンジンは84.3PSを発揮するDOHC4バルブ776ccを新採用。双方向クイックシフターやG(グラベル)モードのトラクションコントロールを装備している。

フレームはGSX-8Sと同じスチールダイヤモンドタイプになるが、800DEにはスキッドプレートを固定するダウンチューブが追加されており、これに剛性も持たせている。

ホイールは前後ともチューブタイプのスポークホイールで、空気圧を落として未舗装路でのグリップが確保できるように配慮されている。スイングアームはGSX-8Sよりも延長されている。

Vストローム800DE欧州仕様主要諸元

・全長×全幅×全高:2345×975×1310mm
・ホイールベース:1570mm
・シート高:855mm
・車重:230kg
・エンジン:水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ 776cc
・最高出力:84.3PS/8500rpm
・最大トルク:7.95㎏-m/6800rpm
・燃料タンク容量:20L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=Wディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=90/90-21、R=150/70R17

Vストローム1050DE「モトクロスライダーが開発して細部を煮詰めてます」

Vストローム1050DEのチーフエンジニアを務めた安井信博氏。過去にはTL1000Sのクランクケースの設計に携わり、Vストローム650も担当している。


「1050は、は元々オンロードのモデルでしっかりと舗装路を走るオートバイではあったのですが、調査をするとユーザーには林道や未舗装路まで行って満足するという傾向がありましたので、未舗装路でも楽しく走れるように開発しました。

Vストローム1050DEは、できる範囲で最低地上高を上げて乗り越え性を高めて、フロント21インチのホイールで未舗装路での安定性を持たせました。また、1050DEは、モトクロッサーを開発しているテストライダーに携わってもらったというのが、一番強調したいところです。

今回追加したGモードはまさにそこから提案してもらって採用に至りました。Gモードはある程度スピンを許容して路面にトラクションを与えて前に進んでいけるミューの低い路面で使いやすいモードになっています。

また、スクリーンが短いのは、スタンディングポジションで路面を見たいという理由からです。ハンドルバーも手前に引いてワイドにしています。細かい所を作り込んでいるので、乗ってもらえると『分かっているなあ』と感じていただけると思います。

さらに、今回カラーメーターにしているのでとても見やすくなっています。もちろん舗装路でもゆったりとツーリングしていただけると思います。私もテストで乗るのですが、どこまででも走って行けるようなオートバイに仕上がっています」

Vストローム1050DE [SUZUKI] フロントに21インチホイールを新採用し、車名にDEを加えた新バージョン。発売時期は春前頃と思われる。なお、従来のXTは廃止された。

エンジンは、106PS(国内)を発揮するV型2気筒1037ccを採用。下部にはアルミ製のスキッドプレートを採用している。

フロントの21インチホイールのみチューブタイヤを装着。リム打ちなどがあっても走行が続けられるよう配慮したと思われる。リアはチューブレスとなる。

新たに採用された5インチのフルカラーTFTディスプレイはVストローム800DEと共通と思われる。電子制御にはGモードや双方向クイックシフターが追加されている。

Vストローム1050DE欧州仕様主要諸元

・全長×全幅×全高:2390×960×1505mm
・ホイールベース:1595mm
・シート高:880mm
・車重:252kg
・エンジン:水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ 1037cc
・最高出力:107.4PS/8500rpm
・最大トルク:10.2㎏-m/6000rpm
・燃料タンク容量:20L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=Wディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=90/90-21、R=150/70R17

この記事にいいねする


コメント一覧
  1. 匿名 より:

    すげえかっこいい。
    乗りたいのだが、シート高が・・・

コメントをもっと見る
コメントを残す