
こんにちは! 今週の「WebikePlusスタッフが勧める意外といいぞ!」のコーナーです。
安くてカッコいいバイクを買ったので、意気揚揚と仲間に見せたら「ああ……コレ買ったのか……」なんて言われ、その言葉どういう意味!? と思いつつネットで調べたら「壊れやすい」だの「不人気」だのひどい言われよう。

そんな経験ありませんか? だからってさっさと買い替えるのはちょっと待った。キラキラした大人気車ではなくても、どんなバイクも個性の塊。メーカーが「これは売れるぞ!」と意気込んで開発したバイクたちは、それぞれ独特の魅力を持っているもの。
そこで、人気はどうあれいいものはいいぞ! とゴリ押ししていくのがこのコーナー。人気モデルに乗ってりゃエライ時代は過去のもの、現代こそマイナーバイクを全力でお勧めしたい! と「マイナーバイク好き(自称)」のWebike+スタッフ・西田が独断でピックアップしたモデルを紹介していきます!
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目次
ナナハン空冷直四DOHCの兄弟
カワサキから1990年に発売された750ccのネイキッドモデル・ゼファー750は、前年に発売された「ゼファー(400)」の空冷4気筒・ツインショック・クラシックな丸型ヘッドライトと砲弾メーターというスタイルで大人気になったモデル。過熱していたレプリカブームに代わる、ネイキッドブームの立役者的なモデルで、2006年まで長く販売が続けられました。
ところがそんなゼファーと同系統のエンジンを採用して突如登場した、1999年発売のモデルのことを知る人は多くありません。その名は「ZR-7」、ゼファー750と同系統の空冷直四DOHCエンジンを共有しつつ、最高出力はゼファーの68PSから73PSにパワーアップしたネイキッドモデルで、ゼファーとは全く系統が異なるエアロデザインが特徴。リアショックはモノサスに変更され、タイヤは前後ラジアルを装備。すなわちゼファー750のスポーツエディションというべきものでした。おまけに燃料タンク容量も17Lから22Lへ、5Lも増量。航続距離も増えました。クラシカルなゼファーに対して、実用性重視の改良が施されていたわけです。

1999年発売のZR-7は、ゼファー750からエンジンや車体設計をモダナイズされたスポーツネイキッド。ゼファーの持つオールドスクールな雰囲気は一新されたが、2003年には国内販売を終了した。

はね上がったテールのスタイルはゼファーよりもスポーティで、全体的なシルエットも流線形のエアロデザインになっている。テールランプは同世代のZX-9Rにソックリだ。
国内人気以上の「ザ・グローバル・スペック」
パワーアップした空冷四気筒で、足回りは最新装備に強化され、デザインもモダンにリファインされた……と聞くと、人気が出たのかな!? と思うところ。ですが、残念なことに国内市場での存在感はあまりなかったようで、2003年にはわずか4年で国内販売を終了。その後も続いたゼファーのラインナップに比べて、現在はほとんど見る機会のないモデルになってしまいました。その後もゼファー750が2006年まで販売を続行し、16年もの間愛されたことを考えると、ゼファーのモダナイズモデル、というキャラクターは受け入れられなかったのでしょう。
しかし海外ではヒットを飛ばします。というのは、ZR-7は近代的装備と質実剛健な空冷エンジンを併せ持った、非常に実用的なバイクとして評価されたのです。欠点はカウルがないため高速走行性能に難があることですが、これも後年ハーフカウルを搭載した「ZR-7S」が登場してリカバー。このZR-7Sは国内でも(スタンダードモデルよりは)評価され、2005年までは販売を継続していました。海外、特にヨーロッパではバイクを日常の足として使う風土があり、クラシカルさよりも実用性! という価値観がZR-7を評価してくれたのかもしれません(余談ながら2022年11月現在「Wikipedia」の日本語版ZR-7の記事は文字数518文字、ドイツ語版では5157文字という内容の差が。ドイツ人はめちゃくちゃ愛してくれているようです)。

カウルを採用したZR-7Sは、実用性で評価されたZR-7の使い勝手を更に引き上げたバリエーションモデル。ホンダのスーパーボルドールやヤマハのFZ-1といったハーフカウルのツアラーモデルは、ツーリング時にはとても役に立つものの、カワサキ製のモデルでは採用例が多くない。その意味でも独特の存在感を放った。
実用性にあふれた装備の数々
そんなZR-7ですが、欧州で高評価を受けた装備類は日本でも当然、高い使い勝手を誇ります。まずエンジンは空冷4stDOHC2バルブ並列4気筒738ccで、先述のとおりゼファー750と基礎設計を共有しつつ最高出力は73PS/9500rpmと、同時期のゼファー750から5PSアップ。このエンジンは元をたどれば1976年登場のZ650に端を発し、Z750FX、GPz750へ改良と進化を続けた、いわゆる「ザッパー系」エンジン。長い歴史の中で弱点は改善されきっており、新設計ハイメカエンジンとは全く逆の立ち位置を持っています。このため故障に対する信頼性は抜群でした。
フレームはスチール製ダブルクレードルで、車体寸法はほぼゼファー750と同様。フォークは標準的な正立テレスコピックで、インナーチューブを守るフォークガード付き。リアショックはシングルになり、路面追従性は高められています。カバー類、タンクはオールドスクールなゼファーとは全く違うエアロデザインを採用。これによりタンデム用のグラブバーは大きくなり、タンク容量も増大。22Lの容量を誇るうえ、ニーグリップ性も向上しています。

空冷4気筒DOHC2バルブのエンジンは、ゼファー750採用のエンジンに改良を加えたもの。さかのぼれば70年代のザッパー系に由来するエンジンであり、熟成を重ねて故障や欠点を克服。いわゆる「枯れた技術」で作られた信頼性のあるエンジンだ。

ヘッドライトは大径のガラス製レンズで、ウィンカーはGPZ900Rと同系の角型を採用。砲弾型のメーターカバーはブラックで、丸型ウィンカー&メッキ仕上げメーターケースのゼファー750よりもスポーティさを意識している。

メーターはレイアウト、デザインともにゼファー750と共通するが、バックプレートがホワイトになっており、ブラックのゼファーとはずいぶん印象が異なる。人によってはこちらのほうが好みでは?

モダンなデザインとなったタンクはニーグリップしやすさも高まり、容量も22Lという大容量となった。しかしこのデザインがオールドスクールなゼファーのスタイルを好むライダーには受け入れられなかった。

マフラーは4on1の集合型で、砲弾マフラーのようなレーシーな形状のサイレンサーを装備する。

前後タイヤはラジアル化され、モノショック採用で運動性能は近代的に。もちろん前後ディスクブレーキ装備だ。
空冷4気筒をお得に楽しめる……!?
近年の中古車価格上昇にともない、特にカワサキの旧車は大人気。ゼファー750を含め、空冷直列4気筒のザッパー由来エンジン採用バイクといえば、最近の中古車市場で評価されないわけがない……と思いきや、カワサキ的なオールドスクール感の薄いZR-7は意外とお得な価格帯にあります。
ゼファー750の中古車平均価格が204万円のところ、ZR-7の平均価格は50万円!(2022年11月時点) もちろんデザインやカスタムパーツの量、生産台数の差からくる個体の良しあしなど、ヒトコトで安いからOK! とは言えないながら、信頼性のあるザッパー由来のエンジンで、快適にロングツーリングを楽しみたいというライダーにとっては、なかなか魅力的な選択肢になるのではないでしょうか!?
さらに、人気車種と同系統のエンジンを積んでいることで、様々な消耗品やパーツについても心配が少ないのもうれしいところ。ゼファー750については沢山のアフターパーツが各社から発売されており、その中にはZR-7に流用できるものも多数。このため整備もしっかり進めることが可能で、信頼性は揺らぎません!

Z、ゼファーなどの絶版車の中古車価格は、程度によりますがプレミアムな価格に上昇中。しかしZR-7はそのカワサキらしからぬ(?)シルエットから、検討しやすい価格に落ち着いている……!
つまり意外といいぞ「ZR-7」
名作モデルの心臓を受け継ぎ、かつ性能アップまで果たしたのに短期間で消えてしまったZR-7。しかしそのポテンシャルは今なお高く、ミドルクラスでオーソドックスなスタイルは女性ライダーにも選ばれています。それなのにやたらと安く、見かける機会もないのは、そもそも存在があまり知られていないからなのかもしれません。
つまりZR-7は、

・大容量タンクやエアロデザインで乗り心地も高レベル!カウル付きモデルもあるぞ
・ザッパー系空冷4気筒エンジンがお得に楽しめる唯一のモデルかも……!?
というバイクなのでした。空冷4気筒の魅力を感じつつ、日常からツーリングまでを身近に楽しめる相棒を探しているライダーにとっては、無二の選択肢になり得るモデルです。
ZR-7(1999)主要諸元
・型式:ZR750F
・発売年:1999
・全長 ×全幅×全高 (mm):2105×785×1075
・ホイールベース (mm) :1450
・乾燥重量 (kg):229
・原動機種類:空冷4ストロークDOHC並列4気筒
・排気量 (cc):738
・内径×行程(mm):66×54
・圧縮比(:1):9.5
・最高出力(PS)/(rpm):73/9500
・最大トルク(kgf・m)/(rpm):6.3/7500
・燃料タンク容量 (L) :22
・変速機形式:リターン式5段変速
・ブレーキ形式(F):油圧式ダブルディスク
・ブレーキ形式(R):油圧式シングルディスク
・タイヤ(F):120/70ZR17
・タイヤ(R):160/60ZR17
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こんにちわ。
先日はお声かけ頂きありがとうございました。綺麗な写真で本当に嬉しいです。若い時にバイク全盛期でした。リターンして教習所で大型を取れる事を知り、夢だった750に乗ることができました。しかし余りの高額にビックリ‼️足つきと金額の事を考えてバイク屋のオススメのままZR7に決めました。走り屋では無いので、性能は気にしませんでしたが、高速道路では時々「6速が無い❗️」ということも。(T_T)
迷車と言われてることは知ってます。でも、他の人が乗ってない、という優越にも浸ってます。750にしては小さめなので、400?と言われることも。何にしても、誰でもきっと自分のバイクが1番!あたしもそうです!
これからも降りる日まで乗るつもりです。
今回は本当にありがとうございました。