度重なる排ガス規制強化への対応や部材調達コストの高騰などから、バイクの新車価格は上昇が続いています。ある程度の走行性能を備えたバイクを購入しようと思うと、車両本体価格はすぐヒャクマンエン超え……なんていうのが普通になってきましたが、そんな時代にあっても、“お買い得感”があるモデルは存在します。それがミドルツインスポーツなんです!

400ccクラスでもヒャクマンエン超えの時代

 

日本ではちょっとしたバイクブームの到来が話題になっていますが、新車の販売は好調でも、車両価格の上昇にはまるで歯止めがかかりそうもありません。物価高は世界中で問題になっていますが、それはバイクの世界でも同様。金属や樹脂などの部材や物流のコスト、生産に必要となる電気などの燃料費など、すべてが高騰している現況を考えると、メーカーが車両販売価格を低めに抑えるというのは、かなり難しいことなのでしょう。加えてバイクに関しては、排ガス規制をはじめとする各種規制も強化され続けていて、それらに対応するためのコストも必要です。

現在の日本における国内4メーカーのラインアップで、とくに割高感があるのは400ccクラス。2022年10月で生産が終了されたホンダのCB400スーパーフォアは、車両価格が90万円弱。CB400スーパーボルドールは、なんと100万円を超えます。「でもこの2機種は4気筒だし……」と、並列2気筒エンジン搭載のCBR400Rを調べてみても、その価格は84万1500円。昔を知っているベテランライダーだと、にわかには信じられないお値段です。

600ccクラスのグローバルモデルがいい感じ!

国内メーカー製ミドルツインロードスポーツ(2022年10月現行モデル)

メーカー名 車名 最高出力(PS) 価格(円)
スズキ SV650 72 803,000
ヤマハ MT-07 73 814,000
スズキ SV650X 72 847,000
カワサキ Z650 68 858,000
カワサキ Ninja650/KRT EDITION 68 913,000
ヤマハ XSR700 73 935,000
ヤマハ YZF-R7 73 999,900
カワサキ Z650RS 68 1,034,000
※グラフは2022年11月現在のメーカー情報をもとに編集部で作成。赤文字の車名は今回掲載車両

 

ご存知のライダーも多いと思いますが、400ccクラスというのは基本的に、日本の免許制度に対応するため独自に発展してきた歴史があります(現在は海外でも展開される400ccモデルあり)。1980年代のバイクブーム時期ならともかく、現在の国内販売台数を考えると、国内をメインターゲットに車両を開発・生産するのは、市場の規模を考えるとかなり不利な状況。400ccクラスの価格が高騰しがちなのも理解できます。

そこで、割高感のある400ccクラスを選ぶくらいなら、大型二輪免許を取得してもう少し大きな排気量帯で愛車を探すのもオススメです。600~700ccクラスには、海外市場でも販売されているスポーツモデルがたくさん。400ccクラスと同等あるいはそれよりも安いツインエンジンのオンロードスポーツモデルが、日本でも多数販売されています。

今回はその中から、CB400SFやCBR400Rの価格を意識しつつ、80万円台の4機種をピックアップ。価格は同等でも馬力には余裕があり、車重がほとんど同じという点も、400ccと比較したときの魅力です。なお今回、ホンダのNC750Xはカテゴリーとしてはクロスオーバー系に属するためリストから除外(価格は90万円台)。またホンダ・レブル500も、79万9700円でパラレルツインエンジンですが、クルーザーのため省いています。

ちなみに、カワサキにはニンジャ400やZ400というモデルがあり、こちらは欧米でもラインアップされるグローバルモデルということもあり、2機種のうち価格が高いニンジャ400でも75万9000円とホンダの400ccに比べてリーズナブル。普通二輪免許のライダーにはこちらもオススメです!

リーズナブル第1位 スズキ・SV650【80万3000円】

水冷Vツインエンジンだけど格安!

アルミ製フレームを採用した1999年のSV650/Sから、熟成が施されつつ20年以上も使われている645cc水冷V型2気筒エンジンを、スチール製トラスフレームに搭載するスポーツネイキッドモデル。

リヤタイヤを160サイズ、スイングアームもスチール製とするなど、随所にコスト削減につながる設計を取り入れながら、絶妙なバランスによりエントリーライダーでも扱いやすいフレンドリーな操縦性を追求してあります。

一般的に、リーズナブルな2気筒モデルには並列2気筒レイアウトが使われる傾向にありますが、こちらはよりパルス感を得やすい水冷Vツイン。さまざまな機種に長年使われてきた熟成のエンジンを用いることでも、コスト削減を実現しています。

リーズナブル第2位 ヤマハ・MT-07【81万4000円】

プラットフォーム化で価格低減も実現

さまざまな車種の開発ベースとなるプラットフォーム車としての役割も担うのがMT-07。これまで、車体とエンジンはXSR700やYZF-R7、エンジンはテネレ700の開発ベースとしても使われ、多くのモデルに流用することで1車種あたりの開発コスト削減につなげています。

とはいえ、MT-07としても走りの楽しさがしっかり追求されていて、688cc水冷並列2気筒エンジンがもたらすリニアかつ力強いトルク特性は、侮れないスポーティテイストを生み出します。

2021年モデルでマイナーチェンジされ、より精悍なルックスになりましたが、それでも価格は81万4000円と、2014年に登場した初期型のABS仕様が74万9520円だったことを考えると、ギリギリまで価格上昇を抑えていることがうかがえます。320cc水冷並列2気筒エンジンのMT-03は65万4500円。約16万円差で最高出力は31馬力増えます。

リーズナブル第3位 スズキ・SV650X【84万7000円】

人気のカフェレーサースタイルでも安い!

バーハンドルネイキッドモデルのSV650をセパレートハンドルに換装し、ヘッドライトカウルを装着し、レトロ調の専用シートを採用したのがSV650X。

前傾がややキツめで、フレンドリーなベースモデルとは異なるややスパルタンな雰囲気を持つロードスポーツモデルです。SV650よりは4万4000円アップですが、それでも80万円台半ばの価格設定で、お買い得感は十分あります。

もちろんこちらも、エンジンはSV650と同じく熟成の645cc水冷Vツイン。パラレルツインとは異なるパルス感も特徴です。同排気量帯にラインアップされているヤマハやカワサキのカフェレーサー系モデルよりもリーズナブルな点も見逃せません。

リーズナブル第4位 カワサキ・Z650【85万8000円】

フルカラーディスプレイも搭載

649cc水冷パラレルツインエンジンをスチール製フレームに搭載。フルカウルを装備したスーパースポーツデザインのニンジャ650と、車体の基本部およびエンジンが共通化されていて、ニンジャ650よりもさらに価格が低めです。

リーズナブルですが、メーターは4.3インチフルカラータイプで、Bluetoothによるスマートフォンとの連携機能付き。この点では、ライバルの一歩先を行きます。

アグレッシブなルックスですが、エントリーライダーも視野に入れつつ、乗り味はあくまでも扱いやすさ重視。それでいて、エンジンの高回転域に伸びやかさを与えるなど、走りの楽しさも演出してあるスポーツネイキッドです。

この記事にいいねする


コメントを残す