
当webのスクープが的中! 予想どおり兄貴分のYZF-R7顔を採用した新型YZF-R125が欧州で発表された。原付二種=125ccながら、ついにトラクションコントロールとスマホ接続可能なTFT液晶メーターを獲得。オプションでクイックシフターも用意され、クラスで最も豪華なスポーツモデルが誕生することになる。
詳細は未発表だが、国内導入の可能性は高いと見られる!
文/ベストカー編集部※当記事は2022年11月4日に「ベストカーWeb」に掲載されたものです。
目次
上級モデル顔負け、全部入りの125スポーツに生まれ変わった
11月3日22時(日本時間)にヤマハ欧州が2023年型YZF-R125を発表した。当webで既報のとおり、新型YZF-R7と同じM字ダクト内に内臓されたモノアイ風のバイファンクションLEDヘッドライトを獲得。外装を一新してエアロダイミクスに優れたカウルも導入し、とても125クラスに見えない雰囲気をまとう。
ビッグバイクを思わせるデルタボックスフレームや可変バルブタイミング=VVA搭載の水冷単気筒エンジンといった基本構成は従来型を継承しながら、VVA作動タイミングの最適化などでチューニング。さらに国産メーカーのミッション付き125クラス初となるトラクションコントロールを新導入した。
また、国産125唯一のTFTカラー液晶メーターもトピック。外観などは、2021年秋にモデルチェンジした155ccの兄弟車YZF-R15と共通ながら、メーターや足まわりなどにより充実した装備を与えているのが特徴だ。

2023年型YZF-R125(欧州仕様 欧州名はR125)。YZF-R7譲りのM字ダクト+LEDヘッドライト、シャープな2眼ポジションランプを採用した

車体色はアイコンブルー(写真)、テックブラックの2色設定。2023年型R1、R7、R3共通のカラーバリエーションだ

従来型R125(欧州仕様)は、独自の2眼ヘッドライトを採用。2009年型で欧州向けにデビューして以来モデルチェンジを重ね、現行の3代目は2019年に登場した
最新フェイスに加え、R15やR25/3にもないカラー液晶をゲット!
まず外観から解説したい。従来型は2眼ヘッドライトを採用してきたが、兄弟車のYZF-R15と同様にR7イメージのモノアイ風LEDヘッドライトに刷新。さらにタンク形状はよりニーグリップしやすい新形状となり、ハンドル位置も最適化されている。
テールまわりも新デザインで、より大胆なエアロフォルムとなった。全体的に高級感がアップし、上級モデルと直結したイメージとなっている。
さらに装備面では、5インチのTFTカラー液晶メーターの新採用が大きい。従来型および兄貴分のYZF-R15、さらには250ccのYZF-R25、320ccのYZF-R3、688ccのYZF-R7がモノクロ液晶なのに対し、末弟であるR125の方が豪華なのだ。
メーターは旗艦YZF-R1をイメージしており、「ストリート」または「トラック」の画面モードを選択可能。シフトアップインジケーターは200rpm単位で任意に調整できる。
加えて、スマホとの無線接続も可能。この機能はR15も備えるが、R25/3にはない装備だ。無料アプリのヤマハマイライドをスマホにインストールすれば、メーター上部に着信やテキストメッセージの通知、スマホのバッテリー残量を表示可能。平均速度や最大バンク角などのログもアプリに記録できる。

クラスレスの雰囲気。ハイビームとロービームに切り替えられるバイファンクションLEDヘッドライトをM字ダクト内に設置している

テールカウルは左右にダクトが張り出した最新デザインに変更。テールライトはRシリーズ共通の縦型タイプだ。テールはLEDながらウインカーはバルブ

KTMのDUKE125などごく一部の125クラスのみ採用するカラー液晶メーターを導入。トラックモードではラップタイムを中央に大きく表示し、タコメーターは6000rpm以降のみ示す

ストリートモードでは速度計を中央に大きく表示。専用アプリでスマホと接続することで、愛車の様々な情報を取得できる
国産125SS唯一のトラコンとクイックシフターまで投入
エンジンのベースは、従来と同様にSOHC4バルブヘッドの水冷単気筒125ccを踏襲する。最高出力15psと最大トルク1.16kg-mは不変で、発生回転数も変わらないが、特定の回転数でカムを切り替えるVVAの作動タイミングを最適化。全域で良好なトルクデリバリーを実現したという。
さらにR15と同じくトラクションコントロールを新採用。後輪のスリップを検知した場合、駆動力を減らし、スリップを緩和してくれる。
オプションながらクイックシフターが用意されるのも新型の目玉。既に配線済みで、シフトアップ対応のシフターが装着できる。
国産のミッション付き125~160cc級でトラコンとシフターを備えるのは、R15に続いて新型R125が2台目。国産125スポーツでは初となる。新型はサーキットでより楽しめそうだ。

クイックシフターのプレワイヤリング済み。排気量以外、エンジンの基本設計はR15と共通で、アシスト&スリッパークラッチも従来型から踏襲されている
R15より豪華な足まわりは新型でも踏襲
125ccとは思えない極太のスチール製ツインスパーフレームを筆頭に、車体は元より豪華だった従来型を引き継ぐ。
YZF-R15がφ37mm倒立フォーク+スラストマウントキャリパーを採用するのに対し、R125はφ41mm倒立+ラジアルマウントの組み合わせで、兄貴分より足まわりのグレードが元々高い。
アルミ製スイングアームとリンク式リヤショックも踏襲。ライバルのCB125RやGSX-R125のスイングアームがスチール製なのに対し、軽量なアルミ製はR125のアドバンテージだ。
タイヤは、グリップと耐久性のバランスが良好なミシュランのパイロットストリートを履く。フロント100/80-17、250クラス並みのリヤ140/70-17のタイヤサイズは変わらない。

R15より太いφ41mmのKYB倒立フォークにφ292mmディスク、2ポットのラジアルマウントキャリパーを組み合わせる。ABSは前後独立制御

モトGPマシンYZR-M1をインスパイアしたコクピット。肉抜きトップブリッジは従来と同様ながら、メーターの操作に重宝するダイヤルを右手元に新採用。R1と同様の意匠でR15にもない装備だ
2023年に国内投入か? さらに兄貴分やXSR、MTの揃い踏みも?
以前からYZF-R125は正規輸入車や並行輸入車は存在していたが、これまで国内仕様はナシ。ラインナップを望むユーザーの声も多く、ついに日本仕様が用意されるようだ。
現在ヤマハの国内ラインナップでは、125ccにスポーツモデルが存在せず、ホンダやスズキに大きな差をつけられている。2021年の51~125ccクラス国内出荷台数は、ホンダ7万7000台、スズキ2万2500台に対し、ヤマハは1万9500台(二輪車新聞調べ)。
しかし、新型YZF-R125を導入することで巻き返しを始める模様だ。
R125に加えて、基本構成を共有するネオクラシックのXSR125も国内登場する見込み。さらに「兄弟車のストリートファイターであるMT125、R125の兄貴分YZF-R15が投入される可能性もある」と情報筋は話す。
もし全て導入されれば、ヤマハのミッション付き125~160ccモデルは、ゼロから一挙に4車種と大充実。すると、ホンダの6車種(CB125R、グロム、スーパーカブC125、モンキー125、CT125ハンターカブ、ダックス125)には及ばないものの、スズキの3車種(GSX-R125、GSX-S125、ジクサー150)を上回る。
さらにYZF-Rシリーズは2021年にYZF-R7が追加され、2024年にはYZF-R9がデビューするとの噂もある。となれば海外では排気量が小さい順に、YZF-R125、R15、R25、R3、R6(レースベース車のみ)、R7、R9、R1という最大8車種の布陣が完成。国内でも同様にフルラインナップが整うと予想される。
YZF-R125ほか、125~150ccモデルの国内導入時期は2023年内と予想される。欧州仕様の価格は現時点で未発表だが、ホンダのCB125Rは47万3000円で、ライバルは50万円を切る。また国内仕様のYZF-R25が66万8800円だけに、その間に収まるか?
続報を待ちたい!

10月25日に発表された兄弟車の2023年型MT-125(欧州仕様)。こちらもカラーTFT液晶を採用している。2023年後半に日本導入される可能性あり

欧州で販売中のXSR125。XSR155のスケールダウン版で、こちらも2023年に日本への導入が濃厚。2022年にはキャストホイールのほか、スポーク仕様も登場した。新型はカラー液晶採用か?
欧州仕様 ヤマハ YZF-R125 主要諸元
・全長×全幅×全高:1990×715×1145mm
・ホイールベース:1325mm
・キャスター/トレール:26°/95mm
・シート高:820mm
・車重:144kg
・エジンン:水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ 125cc
・最高出力:15ps/10000rpm
・最大トルク:1.16kg-m/8000rpm
・燃料タンク容量:11L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=110/80-17、R=140/70-17
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