
2017年には世界生産累計が1億台を突破し、なおも世界各国で販売が続けられているのが、日本を代表するビジネス&レジャーコミューターとして広く認知されているホンダのスーパーカブシリーズ。日本では2022年10月現在、「カブ」の名を持つモデルが8車種販売されています。ではその中で、自分に最も合うカブはどれ?
目次
50ccクラスで3車種、50cc超125cc以下で5車種
初代カブとなるスーパーカブC100が1958年夏に量産開始されて以降、スーパーカブシリーズ(4スト単気筒49~125ccで低床バックボーンフレームや前後輪14インチ径以上などのホンダ社内条件を満たすバイク)は、世界生産累計が1億台を突破。なおも記録を伸ばし続けています。
日本では2022年10月現在、排気量50cc以下の原付一種クラスではスーパーカブ50、スーパーカブ50プロ、クロスカブ50の3機種が新車販売中。また排気量50cc超125cc以下の原付二種クラスではスーパーカブC125、CT125・ハンターカブ、スーパーカブ110、スーパーカブ110プロ、クロスカブ110の5機種が、“カブ”という名がつくモデルとしてラインアップされています。
こんなに種類が多いのは、それぞれに特徴や魅力があるからに他ならないのですが、逆に種類が多くてどれを選べばよいのか迷いがち……なんて人もいるのかも。そこで今回は、カブ8機種を簡単比較して、それぞれの魅力を紹介します。ちなみにカブ(cub)は、英語で「猛獣の子ども」などの意味。カブはどれも、小さくかわいくても、元気いっぱいです!
スーパーカブC125
カブの世界にプレミアム感を融合した意欲作
以前から、カブにはリトルカブやクロスカブなどファッション性を高めたバリエーションモデルが存在してきましたが、「スーパーカブ」を名乗るモデルはビジネスユースを主題とした設計でした。しかし2018年9月に新発売されたスーパーカブC125は、低床バックボーンフレームにレッグシールドや前後ディープフェンダーやソロシートを組み合わせた普遍的なスーパーカブの車体パッケージを踏襲しつつ、上質感をプラスすることで、ビジネスバイクをファッショナブルなシティコミューターに昇華させています。
切削加工仕上げの前後アルミキャストホイール、スマートキーシステムや液晶パネル付きのメーター、各部のクロームメッキ処理、より静粛で低振動かつ変速ショックの少ないエンジンなど、随所にワンランク上の装備を採用。“ゴージャスなカブ”として、このスタイリングをファッションとして楽しみたいユーザーに最適化されています。
なお2021年9月には、エンジンのロングストローク化と圧縮比アップにより、最高出力を高めながら最新排ガス規制に適合化するモデルチェンジ(9.8馬力/1.0kgf-m)。また、純正アクセサリーにはグリップヒーターとピリオンシート(後席)が追加され、よりコミューターとしての利便性を高められるようになりました。
CT125・ハンターカブ
アウトドア派にもイチ推しのトレッキング系カブ
2020年6月の新発売と同時に大人気となり、コロナ禍による生産遅延の影響もあって品薄状態が続いているのが、1960年代からハンターカブとして親しまれてきたシリーズの雰囲気を現代的によみがえらせたCT125・ハンターカブ。開発ベースはスーパーカブC125で、ベースモデルから1年以上遅れて2022年12月に、ロングストローク化や圧縮比アップが図られた9.1馬力/1.1kgf-mの123cc空冷単気筒エンジンにチェンジされます。
最大の特徴は、アウトドアテイストあふれるルックスと装備。フロントサスはこのクラスとしては長めな110mmのストローク量が確保され、2022年末のモデルチェンジ時に左右を連結する補強が加わったエンジンガード、アップタイプのマフラーや165mmの最低地上高など、ある程度の林道や河川敷のフラットダートなら問題なく走破できてしまうオフロード走行性能も備えています。
存在感を放つ専用リアキャリアは、横幅409mm×前後477mmの大型サイズ。荷掛けフックを4個備えるなど積載性に配慮した設計で、旅の荷物もたくさん積めます。流行のキャンプツーリングや、バイクを移動手段とした釣りなどの趣味、一般道だけで何日ものんびり日本を巡るロングツーリングなどの相棒にも、CT125・ハンターカブは最適です。
スーパーカブ110
仕事でも遊びでも使えるスタンダード仕様
原付二種クラスのスーパーカブシリーズで、スタンダードとなるのがスーパーカブ110。近年、このスーパーカブ110にはさまざまな車体色が設定されていて、C125ほどではありませんが、ファッション性も向上されています。2022年4月にはモデルチェンジが施され、まずエンジンはロングストローク化などにより8.0馬力の最高出力を維持したまま最新排ガス規制に適合化。前後キャストホイールとチューブレスタイヤを新採用したことでメンテナンス性も高まり、アンチロック機構付きのフロントディスクブレーキも新たに搭載しました。またメーター内には、ギヤポジションインジケーターや時計も追加。これらの変更も、ビジネスユースだけでなくシティコミューターとしての魅力向上につながっています。
カブ110には、レッグシールドを廃してガード付きヘッドライトなどでアウトドアテイストを高めたクロスカブ110もあり、シティコミューターとしてはどちらを選ぶか迷いどころですが、スタンダードの110は普遍的なカブスタイルと、クロスカブに対して約6万円リーズナブルな価格設定が魅力。レトロテイストを好むユーザーにも、クロスカブ以上にオススメのモデルかもしれません。
https://news.webike.net/motorcycle/252432/
スーパーカブ110プロ
新聞配達特化型の原付二種仕様
新聞配達を中心とする「積む・運ぶ・配る」が必要な業種での使用を想定して設計されたのがスーパーカブ110プロ。スタンダード仕様をベースに、手元灯を備えた大型フロントバスケット、より積載性に優れたリアキャリア、小径の前後14インチキャストホイールとチューブレスタイヤ、リアブレーキロック機構や強化サイドスタンドなどを専用装備してあります。こちらは、一般ユーザーが選択することはほとんどない車種です。
クロスカブ110
幅広さが感じられる適度なアクティブ感
CT125・ハンターカブがスーパーカブC125をベースにしているのに対して、クロスカブ110はスーパーカブ110をアウトドアテイストにチェンジしたモデル。カブの特徴であるレッグシールドを敢えて廃して、ヘッドライトを別体式としてパイプ製ガードを組み合わせ、カバーレスハンドルの採用などで軽快感を与えています。
こちらも、ベースモデルと同じく2022年4月にエンジン刷新などのモデルチェンジが施され、前後輪のキャストホイール化とチューブレスタイヤも採用されています。これにより、シティコミューターとしての利便性は向上。よりスタイリッシュな雰囲気も手に入れました。人気のハンターカブと比べてやや馬力&トルクは劣りますが、燃費はハンターカブをさらに上回るWMTCモード値67.9km/Lで、車重は11kg軽い107kgで、シート高は16mm低い784mm。より気軽に操れるのが、ハンターカブに対するクロスカブ110の魅力かもしれません。
スーパーカブ50
リーズナブルでクルマの免許でもOK
カブと名の付く現行モデルで、もっとも低価格なのがスーパーカブ50。兄貴分の110は2022年4月にモデルチェンジされましたが、50は2022年10月まで従来型が継続販売されていて、前後ホイールはワイヤースポークタイプです。よりクラシックなスタイリングと、110ほどバリエーションはないものの以前と比べてビジネスバイク感が抜けた車体色設定により、さまざまなファッションとも合わせやすくなっています。
もちろんこちらも、エンジンは自動遠心クラッチ付きのマニュアル変速で、1~4速を自分でチェンジしながら操る楽しさあり。原付一種のギヤ付きはほとんど廃止されてしまったので、そういう点でも貴重な存在と言えます。説明するまでもなく、クルマの免許や原付免許でも乗れるので、より幅広いユーザーが楽しめるカブということになります。
スーパーカブ50プロ
新聞配達業務を支える原付一種カブ
110プロと同じく、新聞配達を中心とする「積む・運ぶ・配る」が必要な業種での使用を想定して設計されたのがスーパーカブ50プロ。小型以上の二輪免許を所有していなくても、クルマの免許や原付免許で配達業務に従事できるのが50の魅力です。110と同じく、手元灯を備えた大型フロントバスケット、より積載性に優れたリアキャリア、強化サイドスタンドを装備。前後輪も14インチに小径化されていますが、ホイールは110のアルミキャストに対してスポークタイプで、ブレーキロック機構はフロント側に装着されています。こちらも、110プロと同じく一般ユーザーが選択することはほとんどない車種でしょう。
クロスカブ50
普段使いにも最適な原付カブコミューター
110版と同じく、スーパーカブのスタイリングや装備を変更してシティコミューターに仕立てたのがクロスカブ。50cc仕様は、前後ホイールが17インチではなく14インチに小径化されているのが、110とは異なる特徴のひとつです。また、110の現行モデルはキャストホイールですが、50はスーパーカブ50と同じくスポークホイール。シート表皮など、細かい部分も110と異なっています。
ただし基本的なデザインの方向性は共通化されていて、レッグシールドを廃してパイプガード付きのヘッドライトを採用することでアクティブな雰囲気に。原付免許やクルマの免許でも乗ることができるというのが魅力です。このクラスにはハンターカブがないので、50ccクラスでアウトドアテイストのカブを求めるなら、これ一択となっています。
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個人的に「最新のカブが最良のカブ」(←マスユーザー向けの製品として)だと思っているが、これだけ歴史と多様性がある車種だから「俺はこのカブが好きなので乗っている」というコダワリも有りだと思うので、良いガイド記事だと思う。