
2023年はヤマハの小排気量ラインナップが一挙充実することになりそうだ。
先日報じたXSR125と合わせ、兄貴分のYZF-R7顔を採用した新型YZF-R125の国内デビューが濃厚に。加えて155ccのYZF-R15まで日本上陸するらしい! 国内のYZF-Rシリーズを拡充しつつ、手薄だった小排気量帯を増強する妙手となるか!?
文/ベストカー編集部※当記事は2022年10月24日に「ベストカーWeb」に掲載されたものです。
目次
スーパースポーツ末弟の国内仕様が、ついに初デビューする模様!
現在ヤマハの国内ラインナップでは、125ccにスポーツモデルが存在しない。グロム、モンキー、ダックス、ハンターカブなどを擁するホンダや、GSX-R125とGSX-S125を展開するスズキに同クラスで大きな差をつけられている。
一方、海外でヤマハは水冷単気筒125ccとツインチューブフレームで構成されたプラットフォームを持ち、スーパースポーツのYZF-R125とネイキッドのMT-125を展開。2021年、これにネオレトロのXSR125を追加した。
先日、当webで「XSR125が国内導入される可能性大」と報じたが、YZF-R125も同時に日本上陸を果たす模様だ。
2009年のデビュー以来、YZF-R125は正規輸入車や並行輸入車は存在していたが、これまで国内仕様はナシ。ラインナップを望む声も多かっただけに、国内導入が実現すれば朗報だ。

2022年型のR125欧州仕様。欧州などでは「YZF-」が省略される。 2017年型でLED2眼ヘッドライトになったR15と同様のスタイルを2019年型から採用している

欧州で販売中のXSR125。2018年にタイなどで発売されたXSR155のスケールダウン版で、こちらも2023年に日本への導入が濃厚。2022年にはキャストホイールのほか、スポーク仕様も登場した
新YZF-R125はR15と同じトラコンにクイックシフターで武装か!?
しかもYZF-R125は、2023年型でモデルチェンジし、11月のミラショーで発表されるとの情報。現行型は2眼ヘッドライトだが、新型YZF-R7と同じM字ダクト内に内臓されたモノアイ風のLEDヘッドライトに変更されると予想したい。
その根拠はYZF-R125のベース車である155ccのYZF-R15が、2021年秋に前述の顔に刷新されたため。YZF-R15は、ヤマハ小型ミッション車初のトラクションコントロールやヤマハ単気筒モデル初のクイックシフター、スマホと無線接続できる液晶メーターなどを新採用している。
国産のミッション付き125~160cc級でトラコンとシフターを備えるのはR15のみ。圧倒的に装備が豪華だ。これらを新型YZF-R125も受け継ぎ、最強125スポーツとして君臨する可能性が高い。
日本への導入時期は2023年後半以降になる模様。XSR125のほか、YZF-R125が登場し、共通プラットフォームを活用したMT-125も国内発売される可能性がある。
現在のヤマハは、スーパースポーツのYZF-R、ネイキッドのMT、ネオクラシックのXSRという3大シリーズが柱。国内でも125でこのシリーズが揃い踏みするかもしれないのだ。

2022年型R15インド仕様。YZF-R7譲りのM字ダクト+バイファンクションLEDヘッドライトを採用した。新型YZF-R125もこのような外観になるだろう

YZF-R15インド仕様は、YZF-R1M風の銀、モトGPカラーのほか、黒(写真)、赤、青などを設定

YZF-R15インド仕様のカラーバリエーション。モトGPワークスカラーのYZR-M1をイメージしている

スペックはもちろんR15が上回るが、何より高速道路を走れるのが大きい。トラコンやシフター、スマホ連動メーターなど装備もR15の方が豪華だ
高速OK、155ccのR15も国内デビューへ、YZF-Rシリーズ8車種が並び立つ?
さらに兄弟車のYZF-R15も2023年に国内での販売が見込めそうだ。高速道路に乗れる150ccクラスはPCX160などのスクーターでは普及してきたが、スポーツバイクではかなりレアな存在となる。
YZR-R15は、ビッグバイクを思わせるスチール製ツインスパーのデルタボックスフレームや倒立フォーク、アルミ製スイングアームなど豪華な車体を採用する。これらはYZF-R125も踏襲しており、可変バルブタイミングのVVAやアシスト&スリッパークラッチ搭載のエンジンも排気量以外の基本設計は共通だ。
YZF-Rシリーズは2021年にYZF-R7が追加され、2024年にはYZF-R9がデビューするとの噂もある。となれば海外では排気量が小さい順に、YZF-R125、R15、R25、R3、R6(レースベース車のみ)、R7、R9、R1という最大8車種の布陣が完成する。他にもヤマハはYZF-R4やR5なども商標登録していることから、さらに増える可能性も……?
日本でも2023年後半以降、このYZF-Rフルラインナップが順次整うと予想される。軽二輪(126~250cc)クラスはYZF-R15とYZF-R25の2台体制になるだろう。
価格は、インドネシア仕様のR15が4388万5000ルピア(約42万4500円)。ちなみに国内仕様のYZF-R25はインドネシア生産で、現地では6276万ルピア(約60万7000円)、日本では66万8800円で販売されている。これを当てはめれば、国内仕様のYZF-R15は50万円程度になるか……!?

YZF-R15は、7400rpmを境にカムを切り替え、中低速と高回転パワーを両立したVVAを搭載する。現行R125もVVAを採用し、ユーロ5に対応。CB125RやGSX-R125と同じ15psを発揮する

YZF-R15インド仕様は、豪華なΦ37mm倒立フォークを搭載。これに2ポットキャリパー+Φ282mmシングルディスクを組み合わせる。ABSは前後独立制御だ

CB125RとGSX-R125のスイングアームがスチール製なのに対し、R15は軽量なアルミ製。トラコンやクイックシフターもR15独自の武器だ。写真はR15インド仕様

YZF-R15インド仕様のトップブリッジはYZF-R25/3と似た肉抜きタイプ。モトGPマシン、YZR-M1をイメージしている

メーターは、バーグラフタコを備えたレーシーなタイプ。上部にシフトタイミングランプ、下部にラップタイムも表示できる。写真はYZF-R15インド仕様
YZF-R25はモデルチェンジしたばかり、当面は現状維持か
一方、YZF-R25は、2022年型で日本の令和2年排出ガス規制に対応したばかり。当面メスは入らず2眼フェイスのまま継続し、モノアイのYZF-R15/R125と差別化を図るだろう。
近頃の250クラスは一段と競争が激化している。2023年型では、4気筒のカワサキNinja ZX-25Rに新バージョンのZX-25RRが追加され、ホンダCBR250RRも1ps増やトラコン、クラス初のダクトウイングなどを獲得する予定。ヤマハとしては、これらライバルに対抗するより125~150ccクラスの充実が急務と考えたのだろう。
いずれにせよ、YZF-Rシリーズが各排気量帯にモデルを用意した“縦方向”に展開されるのは確実。さらに、小排気量帯では共通プラットフォームを用いた様々なジャンルのマシンを“水平展開”していく。2023年以降、ヤマハが逆襲の狼煙を上げるハズだ。
なお、YZF-R25が生産されているインドネシアには、新型YZF-R15と同じ水冷単気筒エンジンを採用したオフロードモデルのWR155Rがラインナップされている。125ccおよび150ccクラスで現在、本格的なオフ車は国産車に存在しない。こちらも国内導入されれば、大きな話題になりそうだ!

国内仕様のYZF-R25は、2019年型から倒立フォークなどを採用。2022年型で令和2年排ガス規制に対応した。この2眼フェイスのまま販売が続くだろう

2020年型WR155Rインドネシア仕様。ダブルクレードルフレームやアルミリムの前21インチ、後18インチホイールなど装備は本格的。フロントは倒立風の径41mm正立フォークだ
この記事にいいねする
興味深い記事ですね。
「原付二種ユーザー」が、それだけ増えているのか?
何らかの「規制緩和」の情報を掴んだのか?
それとも「老舗オートバイメーカーの矜持」なのか…。
最後の理由で自国市場に参入なら、ヤマハを見直すカモ知れない。
仮想ライバル勢は、CB125Rが47.3万円、GSX-R125が45.3万円、KTM125デュークが59.9万円。装備差考えても50万以下に収めたいところ。
155シリーズはスズキの戦略的価格が厄介で、排気量の近いジクサー150が破格の35.2万円、ひとつ上を見てもヤマハ155よりハイパワーなジクサーSF250が48.1万円。また、身内のYZF-R25は66.8万円。
スズキさえ無ければ125を50万、155を55万ぐらいで行けそうなんだが。