文/Webikeバイヤー:yasuo
2022年のモーターサイクルショーで発表されたヤマハのE01を、Webikeスタッフの楠山(yasuo)が徹底テストを実施。詳細に電費を記録し、普段使用しているガソリン車と比較した。その結果はいかに?
目次
通勤に電動バイクが使えるのか?
私は毎日往復40kmほどのバイク通勤をしています。2022年の東京モーターサイクルショーのヤマハブースでE01の発表をキャッチしたとき、ぜひ通勤の比較をしてみたくて個人として実証実験モニターを申込⇒ そして落選した側の1人です。
それでも諦めきれない私の声がWebike+編集部を通じてヤマハに届いて、モニターに落選した私に10日ほど貸してくれることになりました。ありがとうヤマハさん!
まずはE01のスペックをざっとチェック。定格出力は原付二種の上限値1kWに収めてあるようです。ヤマハとしても、E01のベンチマークをNMAX(125)にしており、最高出力もほぼ互角に設定されています。ただ、数値だけでは分からないのが電動バイクの面白いところ。このインプレッションもお届けしたいと思います。
【インプレ動力系】スロットル操作とパワー感の制御が超自然
ゼロトルクが強いモーターの特性から、他社の電動バイクではスイッチのような発進加速をするモデルが存在します。それでドンと唐突に出る感じが『速い』と錯覚することもあります。
一方、E01はまるでアナログ(キャブレター!?)です。発進から15km/hまでのスムーズな加速を、スロットル開度の僅かな変化に対して完璧ともいえる出力制御をしていることを感じます。今まで乗ったどの電動モデルよりも自然で緻密です。また一定速からの再加速においてタイムラグ皆無でスピードが上がる感覚は電気ならではの利点で、このダイレクトさもしっかり感じることができます。
スロットルオフ時においてもNMAXのエンブレと同じようなフィーリングを再現しています。回生ブレーキで自然なエンブレを発生し、停止直前に回生ブレーキがキャンセルする瞬間(減速が抜ける感覚)はエンジンスクーターの遠心クラッチのストールよりもスムーズです。また、前後ABSとウェット路面で瞬時に介入するトラクションコントロールもガサツさがなく秀逸でした。
【インプレ車体系】音と振動の無い"高級感"で次元の違う快適性
静寂のなか、あとはスロットルを捻ればスーッと走り出す不思議な感覚は電動ならではの感覚です。125ccクラスのスクーターは快適な乗り物だと思っていましたが、E01は僅かなモーター音を発生するのみで振動が無いことから快適さの次元が違います。
重量が160kg(NMAXは131kg)近くあり、重量物であるバッテリーが車体中央に搭載されているため、前後のバランスや、重心の低さによる安定感が抜群。特にリア廻りはバネ下にエンジンと駆動系を持つエンジン式のスクーターと違い、アルミのロングスイングアームと2本サス、ベルトドライブの軽量構成によって非常に追従性が良く、突き上げも少なめ。腰にも優しく、高級感ある乗り味に驚きます。
昨今はオートバイにもカーボンニュートラル、電化の流れが加速しています。各メーカーは行き遅れないように、堰を切ったかのように電動二輪車の方向性を次々と発表しています。
オートバイを趣味で走らせる愉しみのなかには、ガソリンエンジンのサウンドや鼓動感も含まれるという意見がまだ多いと思います。私もその1人でしたが、E01は純粋に乗ることがこんなにも楽しい。何度でもいつまでも乗っていたい気分になりました。
【経済性】E01は燃費換算で117.5㎞/Lを記録! それでもモトは取れず…
私の通勤路は1日往復40kmほど。市街地を中心にアップダウン多めの経路です。普段の通勤バイクは155ccのミッション車で、ガソリン高騰もあり燃費走行を心がけています。クルマの流れに合わせつつ、無駄なスロットル操作を避けて、高めのギアで加減速の少ない乗り方をすることでリッターあたり50km以上を概ねキープしています。
今回のE01での通勤実験は10日ほどで、ペースは普段と同じようなペースとしました。基本エコランです。ガソリン代と電気代の比較コストを出してみましたが、ポイントをまとめると以下の通りです。
・E01での100kmあたりの電気代は平均136.2円
・125クラスのガソリン車100kmあたりの燃料代は平均336.9円
→100kmあたり200円ほど安い
・ガソリン1L=160円として、E01は160円あたり117.5km走った
電気代/燃料代の単純比較では5万キロ走行換算で10万円お得です。車両価格差は10万円では済まないことを考慮すると…そうモトは取れないのです! でも総コスパだけでは語れない電動モデルの優位性に賛同するユーザー層に向けているという位置づけが伺えます。
【所感】電動バイクが一般的になっていく時代は遠い未来ではない
電動バイクは航続距離や車両重量に影響するバッテリー容量と、走る楽しさの重要要素になるスロットル×パワーの過渡特性について各社は探っている状態でしょう。あとは社会インフラと価格ですね。毎日の通勤通学にストレスなく使える性能と充電の手間。各社の競争や差別化が盛り上がっていくことで、今後は電動の選択肢が増えてくるでしょう。
ヤマハE01の完成度の高さを実感すると、電動バイクが一般的になっていく時代は遠い未来ではなく、もうすぐ到来するのではないでしょうか。以下に、E01のいくつか気になる点を希望として提案します!
1.回生ブレーキの積極活用
E01では、スロットルオフ時に125ccスクーターのエンジンブレーキに似たフィーリングの回生ブレーキが作用します。ヤマハに取材したところ、この際に充電も行われています。しかし、プリウスのように走行距離を延ばすための回生ではないので、もっと積極的に減速エネルギーを活用して欲しいです。※一部修正しました(10/18編集部)
そのうえで、手元のスイッチなどで回生ブレーキの強弱を変えられるモードが欲しいと感じました。シーンによっては回生ブレーキを欲しくない時(先の信号が赤で、もっと空走してほしい)や、下り坂などで強い回生ブレーキが使えたら素晴らしい。市販モデルでは是非装備してほしい!
2.クルーズコントロール
パワーデリバリーが電子制御であるため、実現は可能と思います。静かで快適、プレミアムな移動手段であることから、クルコンの装備はマッチしそう。無駄なスロットルのオンオフが抑制される分、航続距離の向上効果も期待できるでしょう。
3.多機能ディスプレイでリアルタイム&ログの見える化
メーターの表示モードの設定により、スロットル開度や瞬間電費、出力アンペアが確認できるようになれば未来感があって面白そうです。またスマホとのBluetooth連動などで、データログの自己分析が出来たりしたら、私みたいなマニアックなユーザーの心にきっと刺さります。
4.静かすぎる
夜の繁華街、朝の通勤時間の小学生など、音が無いことで気付かれにくいのです。自動車のEVでは、あえて疑似音を出していたりしますが、特に低速走行時に危険と感じることがあったため、EVバイクでも疑似音が出てほしいです。サウンドの種類を選択できたら面白い!
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『E01では、スロットルオフ時に125ccスクーターのエンジンブレーキに似たフィーリングの回生ブレーキが作用しますが、これは最終的には熱に変えて放出していて、発電して充電には活かしていません。』ただの発電ブレーキなのにどうして『回生ブレーキ』と表現するのかしら。
> 総コスパだけでは語れない電動モデルの優位性に賛同するユーザー層に向けているという位置づけが伺えます。
この文章だけで「提灯記事」だって「まるっとお見通し」なんだよなwww。
欧米じゃ「こっそりと脱SDGs」の流れが始まってるし、バカ正直に取り組んでると「泣きを見るのは日本」って構図になるやも知れんぞよ。
記者さん頑張ってるなぁ。
再生可能エネルギー発電促進賦課金 3.45円/kW
燃料費調整単価 9.72円/kW
この二つが電気代に含まれてないから300kW/月までの家で3も39.6円/kWで計算しなければ。
28.71kw × 39.6円 ÷ 5.581 = 約203.7円/100km
160円あたり78.5km走行ということになるのかな。
通勤や近所の買い物程度なら良いかもしれないけど、ロングツーリングには充電時間の長さがネックになりますね。
十年以上前でも100マイルは走れないと実用レベルではないと言われていたのに。。。
しかも充電設備が世界一整っているスウェーデンでも大型連休で充電渋滞パニックが起こるレベル。
こんなのじゃ話にならないよ。