現行250ccクラス唯一の並列4気筒エンジンをはじめ、ライバルにはない豪華装備が自慢のカワサキNinja ZX-25R。10月1日、インドネシアで発表された2023年型では、250唯一のカラー液晶メーターを新採用したほか、旗艦ZX-10R譲りのリヤサスなどで足まわりを充実させた「ZX-25RR」も追加! 他車をさらに突き放すか!?

文/沼尾宏明
※当記事は2022年10月1日に「ベストカーWeb」に掲載されたものです。


250ながら、ついにカラー液晶メーター+スマホ連動が標準に!

カワサキインドネシアがティーザー広告を発表し、10月1日に「ZX」の名称を冠したニューモデルを発表すると告知。その正体は、2023年型のNinja ZX-25Rだった。

ZX-25Rは、2020年9月に2021年型としてデビュー。バリオスII以来、13年ぶりに復活した250cc並列4気筒をはじめ、クラス最高の45ps、クラス唯一のトラクションコントロールやクイックシフターなど豪華な装備が話題になった。

インドネシアで発表された新型では、スマホ連携可能なTFTカラー液晶メーターやLEDウインカーを採用。さらにフロントフォークの調整機能に加え、フル調整式のリヤショックを与えた新グレードの「ZX-25RR」が登場した。

グレードは3種類となり、ABSやクイックシフターのない「ZX-25R」、二つの装備を持つ「ZX-25R ABS SE」、そして最上級の「ZX-25RR」を展開する。

まず共通の変更点は、TFTカラー液晶メーター。KTMの125DUKEなどに採用例があるが、250クラスでは初の装備となる。

Ninja1000SX、Z H2、Ninja650などで使われる4.3インチ液晶を採用し、スマホとブルートゥース接続が可能。メーター上に電話着信などを表示するほか、専用アプリで走行ログを記録できる。さらにサーキットモードではラップタイムなどを大きく表示することも可能だ。



400cc以下では、KTMなどを除いて採用例がほぼないカラー液晶メーターを導入。専用アプリ「RIDEOLOGY THE APP」で、詳細なログやメンテナンス時期などが管理できる


新採用された大型サイレンサーはZX-4R登場の布石?

従来ショートタイプだったマフラーは大型化された。インドネシア現地の排ガス規制はユーロ4相当(日本の平成28年規制相当)で、日欧で開始されたユーロ5(令和2年規制相当)より規制が緩い。

国内仕様ではこれをベースに令和2年規制をクリアするはずだ。ちなみに当webでは、ZX-25Rの400cc版である「ZX-4R」をスクープしたが、こちらも大型サイレンサーを採用するとの情報。ZX-4Rは新型ZX-25Rがベースと予想されるだけに、このマフラーはZX-4Rの登場を示唆するものかもしれない……?

なお、最高出力に関してのアナウンスはなし。インドネシア仕様は50ps、ラムエア加圧時は51psを発生していた(国内は45ps、ラムエア加圧時46ps)。新型でも現状維持を期待したいところだ。

さらに装備面では、前後にLEDウインカーを導入。フロントはNinja1000SXと同様、スタイリッシュな造形に。リヤも大型モデルに採用されるコンパクトなタイプとしている。



新たに採用された六角形状サイレンサー。専用品と思われ、より大排気量車にも対応できそうな容量だ


フロントのイニシャル調整&リヤのフル調整サスはクラス唯一!

そして注目の「ZX-25RR」は、フロントフォークに調整機構、リヤにグレードの高いBFRC liteを採用。スーパーバイク世界選手権のワークスチームを意識したKRTカラーも専用だ。

急激なサスの伸び切りを抑えるトップアウトスプリング付きのショーワ製φ37mm倒立フォーク=SFF-BPは継続採用となるが、フォークトップにイニシャル(初期荷重)調整機構を追加。

リヤは新たにピギーバック式リザーバータンク付きのショーワ製BFRC liteを投入した。Ninjaシリーズ最高峰のZX-10Rと同様のバランスフリー技術を用いたサスで、スムーズな動き出しと安定した減衰力が特徴。さらにイニシャルのほか、伸側、圧側の減衰力アジャスターまで採用する。

従来型の調整機構はリヤのイニシャルのみだったが、新型はサーキットなど状況に応じたハイレベルな走りが可能に。国産250クラスでフロントに調整機構とリヤにフル調整式サスを備えるのは唯一ZX-25RRのみだ。

車重は、RRが従来から1kg増の183kgに。SEは182kg、STD仕様は180kgをキープしている。



リヤショックはショーワ製BFRC liteを新採用。大型バイクに搭載されるサスで、イニシャル、独立した伸&圧側の減衰力調整が可能だ


全4カラー設定、国内仕様は100万円以内に収まる?

車体色は全車ともニューカラーで、ZX-25RRがライムグリーン(KRTカラー)の1色設定。SEはメタリックマットグラファイトスティールグレー、キャンディパーシモンレッドの2色、STDはメタリックスパークブラックのみの設定となる。

日本仕様のアナウンスはないが、同様のモデルチェンジに期待したい。価格についてはインドネシア仕様のRRが1億2990万ルピア。2022年型SEから+990万ルピア、日本円換算で約8万5000円増となる。現行の日本仕様は93万5000円(SE KRTエディション)なので、国内版RRはなんとか100万円以内に収めて欲しいところだ。

なおインドネシア仕様のSEは約3万3000円増。国内版の新型ZX-25R SEはプラス数万円で収まるか!?



インドネシア発表会の模様。左からZX-25RR、ZX-25R SEのレッド、同グレー、STD


【まとめ】またも“クラス唯一”を続々投入、上級版のZX-4Rにも期待!

“クラス唯一”の装備を多く抱えるZX-25Rだが、新型はさらにカラー液晶メーター、RRはフロント調整機構&フル調整可能なリヤサスという、またしてもオンリーワンの装備を獲得した。

ZX-25Rは、2021年の販売台数は250フルカウル勢でトップ、250クラスでは3位の販売台数を記録した人気モデル(二輪車新聞調べ)。2023年は最大のライバルであるホンダのCBR250RRもモデルチェンジで対抗する模様だが、さらにZX-25Rがセールスを伸ばすか?

そして今回、ZX-25Rの400cc版である「Ninja ZX-4R」の発表を期待していたファンも多かったようだが、今後に期待。インドネシア市場は250cc以下がメインだけに、10月4日開幕のインターモト、11月8日スタートのミラノショー(EICMA)など欧州ショーでの発表を待ちたいところだ。

カラー液晶、大型サイレンサー、ハイグレードなサスといった豪華アイテムは、上級モデルにあって遜色ない装備。これらが噂のZX-4Rに搭載されることも期待したい!



ZX-25Rをベースに、400cc直4を積む「Ninja ZX-4R」のデビューが噂されている(上記は予想CG)。クラス史上最強の61ps超にも期待!


【 画像ギャラリー 15枚 】「ZX-25RR」の各部詳細と新旧比較、新カラーをチェック!

新たに登場した最上級グレードの「ZX-25RR」はライムグリーン(KRTカラー)の1色設定



シフトアップ&ダウン対応クイックシフターとABSを備える中間グレードのZX-25R SE。写真は新色のメタリックマットグラファイトスティールグレー



ZX-25R SEは2色ともニューカラー。写真はキャンディパーシモンレッド



スタンダード仕様のZX-25Rは、メタリックスパークブラックのみの設定。クイックシフターとABSが非装備だ



現行のNinja ZX-25R SE KRTエディション(93万5000円)。SEはツヤ消しグレー×ブラック、ツヤ消し紺×シルバーの2色、スタンダード仕様は黒1色の設定



従来型は軽快なイメージのショートマフラー。ZX-25Rならではのマフラーだったが、排ガス規制をパスするために大型化されたと思われる



液晶スクリーンは背景色の選択が可能で、自動調光機能付き。レースモードではラップタイムなどが大きく示される



手元スイッチでメーター上から多彩なセッティングも可能



従来型はアナログタコメーターと液晶パネルの組み合わせ。こちらも元々はZX-6Rなど上位モデル譲りだった



フロントウインカーはLEDに変更。より一層シャープなイメージとなった



従来型のフロントウインカー。クリアレンズ+オレンジバルブを採用していた



新型のリヤウインカー。細身のLEDタイプを採用した



従来型ウインカーはバルブ式で大型だった



路面追従性の高いSFF-BP。新型ではフォークトップにイニシャルアジャスターを追加した。よりステージに応じた設定が可能になる



従来型のリヤショック。ホリゾンタルのリンク式だったが、イニシャル調整のみ可能だった


情報提供元 [ ベストカーWeb ]

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コメント一覧
  1. 匿名 より:

    いやスゴいなコレ…。

    「一番シンプルな仕様に最上級仕様のサス」組み合わせたら、往年の「SP250仕様」に近い存在になるんじゃないの?!
    当時を知るヂヂィには「胸熱」だなぁ。

    まぁ「乾式クラッチ&レース用クロスミッション」なんて仕様があった、当時のバイクに比べたら…カモ知れないが。

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