
海外に存在する油冷単気筒の「VストロームSX」が国内にも登場する模様! 従来型でツイン搭載のVストローム250も引き続きラインナップされるようだ。
さらに生産終了が噂されていたジクサー250シリーズとGSX250Rが続投するとの情報も。スズキの250ccクラスが充実し、帝王レブル250を擁するホンダの牙城を崩すか?
文/ベストカー編集部※当記事は2022年10月2日に「ベストカーWeb」に掲載されたものです。
目次
油冷シングルの新作クロスオーバーが年明けにも国内導入か
2022年4月にインドで発表され、話題を呼んだ1台が「Vストローム SX」。このモデルが来年早々にも国内デビューするとの噂だ。
Vストローム SXは、ジクサー250をベースに数々の専用パーツでアドベンチャーモデルに仕上げたモデル。スズキのアドベンチャーモデル旗艦であるVストローム1050を彷彿とさせるスタイルに、軽量&コンパクトな新世代の油冷250cc単気筒を搭載する。
現行モデルで水冷2気筒を積むVストローム250よりナント22kgも軽い。加えてホイールは前後17インチ→前19&後17インチとし、より本格的な万能モデルとなる。
目玉はやはりスズキ独自の油冷システム「Suzuki Oil Cooling System(SOCS)」を採用したエンジンだ。これは燃焼室周りにエンジンオイルを高速で循環させて冷却するシステム。水冷ユニットよりメカニズムがシンプルとなり、軽量コンパクト化を実現できる。
スズキの油冷エンジンは、2020年のジクサー250で久々に復活した。1980年代に青春を送ったオジサマ世代にとって、油冷はスズキのシンボル。往事とシステムは全く異なるが、ファンにはグッとくるメカだ。
しかも最高出力は26.5psと水冷エンジン並み。24psを発生する現行Vストローム250の水冷2気筒よりハイパワーなのだ。

インドで生産されるVストローム SX。新世代の油冷単気筒を搭載し、軽量スリムさが光る。フロント19インチも与え、汎用性は現行のVストローム250を上回るはずだ

ジクサー250譲りのSEP油冷シングルは、独自のSOCSシステムでシリンダーを冷却。水冷のようなウォータージャケットが不要のため、部品点数が少なく、軽量コンパクトなのがメリット

メインフレームはジクサーを踏襲しながら、専用設計の部分が多い。サスはロングタイプで、スイングアームも延長されている。なお後輪横のパーツはインド特有の「サリーガード」だ
精悍なDR-Z風ルックスにナビ機能まで導入? 価格は50万円程度か
デザインは、丸みを帯びたVストローム250や同650と異なり、直線的でシャープ。これは1980年代の伝説的なDR-Zレーサーなどを意識したVストローム1050シリーズと同様だ。
電制系では、セルボタンを一押しするだけで始動できるスズキイージースタートシステムのほか、スマホ連動機能の「スズキライドコネクト」を搭載。ブルートゥース接続により電話着信や、矢印を表示できる簡易式のナビがメーター上に表示可能だ。もし日本にも導入されれば、国産250ccで唯一の装備となる。さらにメーター左横にはUSB充電ソケットも備える。
国内モデルではヤマハ セロー250が2020年に生産終了し、カワサキのヴェルシスX250ツアラーも今年10月発売の2023モデルでファイナルとなることが発表されたばかり。そこにトレール性能が高い万能クロスオーバーであるVストロームSXがデビューすることになる。
そして買いやすい価格にも期待したい。
インド現地での価格は日本円換算で約37万4000円。ちなみに、ジクサー250はインドで約31万7700円相当、日本仕様は44万8800円なので、価格差は約1.41倍となる。これをVストローム SXに当てはめると、52万7300円になるが、果たして!?

電話やSMSの着信、スマホのバッテリー残量を表示するほか、矢印によるターンバイターン式の簡易ナビを搭載。スズキはインド版の125スクーターにもスマホ連携機能を導入している

丸眼+バルブのVストローム250に対し、SXはジクサー250譲りと思われるスラントした異型+LEDを採用。テールライトもLEDだ

車体色はレーシーなチャンピオンイエローNO2のほか、街中に似合うグラススパークルブラックも用意

DR-Zレーサーを彷彿とさせるパールブレイズオレンジも設定。計3色から選べる
油冷スポーツのジクサー250も同時期にモデルチェンジ?
Vストローム SXのベース車であるジクサー250シリーズに生産終了の噂が流れていたが、どうやら存続する模様だ。
国内仕様としてラインナップするネイキッドのジクサー250、およびフルカウルのジクサーSF250とも油冷単気筒を搭載し、2020年に国内デビュー。40万円台という買いやすい価格も手伝って人気を博している。
国内の現行型は、11月1日から全面適用される令和二年二輪車排ガス規制に未対応だが、生産国であるインドの現地仕様は令和二年排ガス規制とほぼ同じ「BS6」に適合済み。これが新たに日本にも導入され、今後も存続するという。
モデルチェンジは来年1~2月にも実施される模様。恐らくVストローム SXと同時期に行われるはずだ。

26psを発生する油冷シングルと158kgの軽量な車体で、スポーティなジクサーSF250。48万1800円の価格も魅力的だ。昨年はネイキッドのジクサー250と合わせ、クラス7位の人気を獲得した

ネイキッド仕様のジクサー250は、アップライトなバーハンドルを採用し、カウル版より4kg軽い。44万8800円
なんと現行の2気筒モデル、Vストローム250も併売される見込み
2気筒を搭載する現行Vストローム250の去就に関しては、今だ正式発表がなく、生産終了の噂が流れている。こちらも11月1日から適用される令和二年排ガス規制に対応しておらず、このままでは11月以降の生産分は販売できなくなるためだ。
当Webでも生産終了の可能性を報じたが、最新の情報によると一転。モデルチェンジで排ガス規制に適合し、販売が継続される見込みだ。つまり2気筒のVストローム250と単気筒のVストロームSXが併売されるらしい。
またVストローム250と同系のロングストローク水冷2気筒を搭載するGSX250Rも新排ガス規制に適合していないが、同様にモデルチェンジし、今後も継続する模様だ。
これでスズキの250ccクラスは現在の4車種から5車種に増加する見込み。スクーターを除くフルサイズ250ccのラインナップ数で見れば、現在5車種で最多のホンダに並ぶ。ちなみにヤマハは2車種、カワサキは4車種(KLX230SMとKLX230Sを入れれば6車種)。
250クラスの一番人気は何と言っても4年連続ベストセラーのホンダ レブル250だ。これに対し、Vストローム250と並ぶ唯一のアドベンチャーモデルであり、購入しやすい価格帯が予想されるVストロームSXが猛チャージをかけそうだ!

2017年のデビュー以来、貴重な250アドベンチャーとして人気のVストローム250。ロングストロークの並列2気筒は粘り強く、ロングランに適した特性で、SXとはかなりキャラが異なる

油冷単気筒のVストロームSXと水冷2気筒の現行Vストローム250を比較。車重とピークパワーはSXが優秀で、価格にも期待できそう
旗艦1050と本格派のDEもVストロームSXとともに日本上陸か
ちなみにVストロームシリーズの旗艦である1050シリーズもモデルチェンジを受け、VストロームSXと同様に日本でも発売されるようだ。
今年9月、海外向けのVストローム1050がマイチェンされ、同時に新グレードの「Vストローム1050DE」が追加された。
クラッチを操作せずにシフトアップ&ダウンが可能な双方向クイックシフトシステムのほか、5インチ大画面カラーTFT液晶メーターを新採用。様々な走行シーンに対応する電子制御システムS.I.R.S(スズキインテリジェントライドシステム)の機能を充実させた。
新たに設定したVストローム1050DEは、STD仕様よりも左右に20mmずつワイドになったハンドルを採用。トラクションコントロールに専用の「G」(グラベル)モードを追加し、リヤ側のABSがキャンセル可能になった。そして、フロント19&リヤ17インチのキャストホイールを履くSTDモデルに対し、大径のフロント21インチとリヤ17インチのワイヤースポークホイールを導入している。
全てはオフロード性能をアップする装備で、高い走破性が期待できそうだ。
ストローム(strom)は、ドイツ語で「奔流」を意味する。スズキはVストローム攻勢で250ccクラスに加え、アドベンチャーのジャンルにも怒涛の流れを生み出す!?

新グレードのVストローム1050DE。オフ向けのモードやフロント21&リヤ17インチのスポークホイールを採用し、ディメンションも専用だ

水冷90度Vツインを搭載する旗艦のVストローム1050(標準仕様)。海外で発表された2023年型は電脳が充実し、従来型に設定されたスポークホイールのXTは廃止に
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油冷単気筒のオフ車 DR250Rの復活を願う
車重130kg以下ならKLX230を食ってスマッシュヒットするのでは
軽ければ軽いほどいいので110kg前後だと嬉しい
250の充実はすばらしいですが300~400くらいの排気量のVストが欲しいな
「新型Vスト一台で大攻勢♪(キリッ)」って言われてもねぇ…(-。-)y-゜゜゜