
「フォーン、フォーーーン、ファオーーン……」と、甲高くて滑らかな排気音。並列4気筒エンジンを搭載した車種こそがバイクらしいと感じているライダーは、ベテラン勢を中心として少なくないかもしれません。一方で、とくに小中排気量帯では、昔と比べて4気筒モデルが大きく減少。価格も高騰しています。ではそんな現代において、お買い得感のある4気筒モデルとは?
目次
新車で買える4気筒の最安値はニンジャZX-25Rだけど……
度重なる環境規制強化や、それに伴う生産コストの増加、バイク生産のグローバル化などさまざまな要因が複雑に絡み合って、とくにミドルクラス以下では4気筒エンジンを搭載するバイクが以前と比べて激減。かつては、「並列4気筒こそバイクを象徴するエンジン」と考えるライダーが多くいましたが、現行モデルの新車で4気筒を選ぶのは、バリエーションが少なく価格的にも厳しい傾向となっ
てきました。
現在、一般的に日本で新車販売されているバイクのうち、4気筒エンジンで最安値となるのはカワサキのニンジャZX-25R。ただし、84万7000円~という価格設定は250ccクラスとしてはお高めで、しかも上下双方向クイックシフターやフレームスライダーなどを標準装備したSE仕様だと93万5000円と、多くのライダーに選ばれている上級版は100万円のラインにかなり近い状況です。
単純に価格で比較すればZX-25Rは最安値ですが、排気量を考えたときには心情としてやや微妙。そこで、「排気量1ccあたりの価格」にフォーカスして、今なら新車で買えるバリュープライスの並列4気筒モデルについて考えてみました。
Z1000のお手頃感がかなり高め!?
車名 | 排気量(cc) | 価格(円) | 1ccあたり価格(円/cc) |
---|---|---|---|
ZX-25R | 249 | 847,000 | 3402 |
CB400SB | 399 | 1,040,600 | 2608 |
CB400SF | 399 | 884,400 | 2217 |
CB650R | 648 | 979,000 | 1511 |
CBR650R | 648 | 1,056,000 | 1630 |
GSX-S750 ABS | 749 | 987,800 | 1319 |
Z900 | 948 | 1,144,000 | 1207 |
GSX-S1000 | 998 | 1,430,000 | 1433 |
Z1000 | 1043 | 1,188,000 | 1139 |
CB1300SF | 1284 | 1,562,000 | 1217 |
FJR1300A | 1297 | 1,540,000 | 1187 |
グラフは2022年9月現在のメーカー情報をもとに編集部で作成。価格はメーカーサイトで掲載されている消費税込みのメーカー希望小売価格となります。仕様違いがある場合は最も価格の安いモデルを基準としています。赤字数字は「1㏄あたり価格」が安いモデルのベスト3、青字は高いモデルのベスト3となります

上のグラフをバブルチャートにしてみました。バブル(円)の大きさは価格で円が大きいほど価格が高くなります。X軸は排気量で、Y軸は1㏄あたりの価格になります。この表からは、小排気量車は1㏄あたりの価格は高く、逆に大排気量車は1㏄あたりの価格が安い傾向にあることがわかります。たとえば、ZX-25R、CB400SF&SBは左上に位置していますが、逆に400㏄以上は車体価格は高いものの1㏄あたり価格が2000円以下と割安に感じるかもしれません。
日本国内で現在新車購入できる並列4気筒エンジンを搭載したバイクで、カワサキ・ニンジャZX-25Rの次に価格が低いのはホンダ・CB400スーパーフォア。しかしこちらも、普通二輪免許クラスで88万4400円~と、昔を知っているライダーからすると割高感があることは否めません。同じ車体でハーフカウルを装着したCB400スーパーボルドールだと、104万600円~と、100万円を超えてしまいます。
一方、100万円を切る並列4気筒モデルとしてはこのほかに、ホンダ・CB650Rやスズキ・GSX-S750 ABSがあります。ネイキッドのCB650Rや、共通の車体を使用するフルカウルのCBR650R(こちらは100万円を少しオーバー)もリーズナブルな価格設定ですが、同じ価格帯でさらに排気量が大きいGSX-S750のほうがお得感はあります。
さらにこの上の排気量帯では、カワサキのZ1000に注目。大きな変更がないまま長年販売されているから……ということもありますが、排気量1043ccで118万8000円と1ccあたりの価格では他車を圧倒する安さです。ちなみに、“排気量あたり”で考えたらヤマハ・FJR1300AもZ1000に迫るリーズナブルさ。ただし、支払う車両金額としてはあくまで154万円なわけで、100万円前後の車種と比べてどちらをバリュープライスと感じるかは、人によって異なりそうです。
スズキ・GSX-S750 ABS
ナナハンクラスでヒャクマンエン
2011年型として登場した先代のGSR750からモデルチェンジされ、2017年から販売されているのがGSX-S750です。エンジンは、先代同様にスーパースポーツのGSX-R750用がルーツの749cc水冷並列4気筒で、低中回転域重視にリセッティングしてネイキッドモデルにマッチする特性に。一方、フレームはスチール製で、しなやかさを求めつつ生産コストを下げ、全体的なバランスによりスポーツ性を高めてあります。
GSX-S750に進化したときに、ラジアルマウントのニッシン製フロントブレーキキャリパーや3モード+オフのトラクションコントロールを装備し、外装類に加えて前後ホイールやスチール製スイングアームのデザイン性も向上されるなど、商品性は大幅アップ。それでも、税込み車両価格は2022年モデルでも98万7800円と、100万円を切っています。ただしこのモデル、新排ガス規制の施行により日本では今秋で生産終了。このままだと、国産最後の4気筒ナナハンということに……。
カワサキ・Z1000
1ccあたりのコストパフォーマンス抜群
2003年に初代が登場したスポーツネイキッドのシリーズで、2007年に2代目、2010年に3代目、2014年に現在まで続く4代目に刷新。日本では2017年から国内仕様として販売されてきました。2014年型で登場して以来、カラー&グラフィックを除けば大きな変更がなく、なおかつライディングモードやトラクションコントロールをはじめとする電子制御機構はほとんど装備していないため、2022年現在でも118万8000円というリッタークラスの4気筒モデルではリーズナブルな価格を維持できています。
この価格ですが、フレームは軽量高剛性なアルミ製で、最高出力141馬力を発揮する1043cc水冷並列4気筒エンジンにはアシスト&スリッパークラッチも装備。フルアジャスタブルとなるショーワ製SFF-BPフロントフォークや、ラジアルマウントの対向4ピストンモノブロックフロントブレーキキャリパーなども採用しています。排気量1ccあたりの価格は現行の4気筒モデルでもっとも低く、基本設計が古いとはいえ狙う価値のあるバイクです。
ヤマハ・FJR1300A
1ccあたりの価格はけっこう安め
1297cc水冷並列4気筒エンジンを搭載するヨーロピアンツアラー。初代FJR1300が登場したのは2001年で、2003年にはABS仕様(FJR1300A)の追加、2006年には外装類刷新、2013年には電子制御スロットルやトラクションコントロールやクルーズコントロールなどの新装備、2016年には5→6速化を含む変速機の改良や灯火類のフルLED化などが施されましたが、基本設計はこの20年で大きく変わっていません。そんな理由もあり、国内仕様が新設定された2013年のFJR1300Aが“税抜き”で135万円だったのに対して、2022年でも140万円と、9年間で5万円の価格上昇にとどまっています。
現在の税込み価格は154万円ですが、排気量が大きいため、1ccあたりに換算すると約1187円でZ1000に次ぐ安さ。国内向けのFJR1300A/ASは、2022年2月発売の20周年記念車をもって生産が終了されることがアナウンスされているので、リーズナブルなリッタークラスの並列4気筒スポーツツアラーを狙っている人はお早めに!
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ただZ1000にはKawasakiのディーラー車につく、Kawasaki careがつかないのが難点。
Z900は?
装備は削っていいから昔みたいに安いバイクを出せ!って大声で騒ぐ人も多いけど、ここで紹介されてる所謂排気量あたりのコスパが良いバイクって街で見かけないし、販売台数も鳴かず飛ばずなんだよな。
結局は買わない人が「(現行最新の装備てんこ盛りでハイスペックな)安いバイクを出せ!」って言ってるに過ぎないんだなぁと。
大型入門のパラツインで安い車両or出先でマウントが取れる高性能高価格車両に売れ行きが集まってるのもわかる。
1ccに対する価格って何?。乗りたいのあれば自分の持ち合わせで乗りたいの買う。1ccなんぼやから買うってないな。そういう考え
kawasakiか…
くだらない
パワー、排気量、最高速、ラップタイム、コスパ、そういう視点もあって良いけど、極めて幼稚な考え方だと思う
こういう事を気にしていると2000ccで250馬力で350km/h以上出せて筑波0秒台なのに燃費抜群で100万円のバイクがあったら買うのか?って話になっちゃう
「そんなの買うにきまってるだろ!」って思うかもしれないけど、違うぞ
何故に並列4気筒に注目なのかよくわかんない。250cc並列4気筒の高回転バイクと1000ccの並列4気筒では全然違うと思うし。
1cc当たりの値段なんか誰が気にするんだよボケ!
アホくさ