
近年は、クラッチ操作なしで発進停止や有段変速ができるモデルや、いわゆるクイックシフターを装備していて発進停止以外はクラッチ操作がほぼ必要ない車種もあるけど、「やっぱりモーターサイクルの楽しさは、両手両足をすべて使って人間が操るところ!」なんて思っているライダーも少なくないはず。そんな“マニュアル”の魅力を、リーズナブルに楽しむなら……。
目次
原付一種クラスはMT消滅も、原付二種なら選べる
バイクを操る楽しさを味わうなら、やっぱりマニュアルクラッチ変速で。生活や移動の“道具”として使われることが多いクルマの場合、公道を走る大半の車両が現在ではオートマチック変速となりましたが、乗ることそのものが“趣味”となるバイクの場合、生活道具の役割が強いスクーターを除けば、まだまだマニュアルクラッチが主流です。
そこで今回は、“操る楽しさ”を新車でなるべくリーズナブルに堪能できるバイクを検証。海外ブランドなら台湾のSYMや現在は中国企業傘下のベネリ、タイのGPXなども格安の小排気量帯モデルを日本でも発売していますし、タイホンダなどのいわゆる並行輸入モデルにも安く楽しめるマニュアルクラッチモデルは多いのですが、今回は国内4メーカーが日本で2022年9月現在に正規販売している現行モデルに絞り、諸経費やランニングコストなどは無視して車両価格のみで考えてみました。
コストパフォーマンスでは、スズキ強し!
メーカー・車名 | 価格(円) | 排気量(㏄) |
---|---|---|
スズキ・ジクサー150 | 352,000 | 154 |
ホンダ・グロム | 385,000 | 123 |
スズキ・GSX-S125 ABS | 420,200 | 124 |
ホンダ・モンキー125 | 440,000 | 123 |
スズキ・ジクサー250 | 448,800 | 249 |
スズキ・GSX-R125 ABS | 453,200 | 124 |
ホンダ・CB125R | 473,000 | 124 |
スズキ・ジクサーSF250 | 481,800 | 249 |
ホンダ・CB250R | 564,300 | 249 |
ヤマハ・MT-25 | 632,500 | 249 |
※赤字数字は同タイトルのベスト3になります。
ホンダのエイプ50やモンキーが2017年に生産終了となったことから、新車購入できる原付一種(50ccクラス)の国内メーカー製マニュアルクラッチモデルは消滅。このクラスは日本の免許制度に特化した排気量帯という意味合いが大きく、グローバルモデルとして今後新機種が開発される望みは薄い状況です。
一方で排気量125cc以下の原付二種は、欧米やアジア圏では比較的メジャーなクラスです。海外で販売されているバイクと同様のモデルが、日本国内にも導入される例が数多くあります。これは排気量125cc超250cc以下の軽二輪クラスも同様で、環境規制強化への対応や部材高騰などのネガティブな要素は多数ありますが、各メーカーは海外生産化やグローバルモデル化などによる開発・生産コスト削減を図りながら、エントリーライダーにも向くリーズナブルなマニュアルクラッチモデルの生産を続けています。
その中で、とくに低価格に強さを発揮しているのがスズキ。全体でも、原付二種勢を抑えて軽二輪クラスのジクサー150が、現行型マニュアルクラッチ車の最安値を実現しています。そして、ランキングトップ3からは漏れるものの、驚くべきはジクサー250。軽二輪クラスですが、原付二種クラスとほぼ並ぶ価格が実現されています。なお、カワサキのZ125プロは、ジクサー125と並ぶ35万2000円の低価格で、現在もWEB製品カタログに残っていますが、2020年が国内最終導入で店頭在庫のみの扱いなので今回はランキングから除外。またヤマハは、WEBカタログ上ではすでに生産が終了された58万8500円のセロー250ファイナルエディションが最安値ですが、現行モデルではMT-25がもっともリーズナブルなマニュアルクラッチ車となっています。

2013年に登場したグロムはこの10年で価格も上昇。しかし、規制に対応できず生産終了を告げるモデルが少なくないなか、グロムは数少ない小排気量マニュアル車として継続され、ライダーの裾野を広げてくれている
スズキ・ジクサー150
日本では若年層エントリーライダーがターゲット
2014年にインドで生産と販売が開始されたジクサー150は、その後にアジアや中南米でも製品展開。日本にはちょっと遅れて2017年に導入されましたが、そもそもこのときに「若年層のエントリーライダーに最適なリーズナブルモデル」というのが、大きなテーマのひとつでした。2020年型でモデルチェンジを受けて、LEDヘッドライト&テールランプの採用などでより流麗なルックスに生まれ変わりましたが、若者でも購入しやすい廉価設定はキープ。現在の価格は35万2000円で、原付二種勢を抑えて国内メーカー製国内仕様マニュアルクラッチモデルの最安値となっています。
ゴージャスな装備はなく、エンジンもOHC2バルブの154cc空冷単気筒ですが、「どこか楽しい」と多くのライダーが口をそろえるのがジクサー150。その要因としては、車重139kgに抑えられた取り回しやすい軽量スリムボディやアップライトなライディングポジション、低中回転域トルク重視のエンジンがもたらす扱いやすさなどが考えられます。原付二種と比べてランニングコストは少し高くなりますが、代わりに高速道路も走れるのが魅力です。
ホンダ・グロム
遊び心にも満ちたスモールホールの原付二種スポーツ
原付二種クラスのオンロードスポーツモデルは、前後17インチのフルサイズホイールを履いたモデルと、前後12インチのスモールホイールを採用した車種がメジャーな存在。123cc空冷単気筒エンジンを搭載したグロムは後者で、前後12インチホイールを装備したコンパクトなボディを特徴としています。モデルチェンジが施された2021年型で、変速機が4→5速に。もちろんこれにあわせて変速比が最適化されていて、積極的なシフトチェンジによりこれまで以上にスポーティな走りを楽しめるようにもなりました。
40万円に迫る価格設定とはいえ、バイクの価格高騰が続く現代ではリーズナブルな部類。フルデジタル液晶表示メーターやLEDヘッドライトも採用しています。カスタムパーツも多く販売されているので、「車両購入代金を抑えた分をカスタム費用に……」なんて考えるのも楽しいバイクです。
スズキ・GSX-S125 ABS
フルサイズ125ccでホンダ勢を抑える
2022年9月現在、国内市場の原付二種クラスにフルサイズホイールのロードスポーツモデルを導入しているのはホンダとスズキのみ。その中で最安値となっているのが、フルカウルスーパースポーツのGSX-R125 ABSと、車体基本部が共通化されたストリートファイター的なネイキッドのGSX-S125 ABSです。エンジンは高回転高出力型となるDOHC4バルブの水冷単気筒で、最高出力は1万500回転で15馬力を発揮。6速トランスミッションを搭載していて、シフトチェンジの楽しさを存分に味わえます。
セルスイッチをワンプッシュするだけでエンジン始動までセルモーターが回転を続けるスズキイージースタートシステムや、シャッター付きのキーシリンダー、10本スポークのアルミ製キャストホイール、LEDヘッドライト&ポジションランプなど、基本の装備も充実。ジクサー150とデザインや機能は異なりますが、こちらもメーターはフル液晶デジタル表示式です。
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ジクサー250のインドモデル並行輸入版が信頼性とコスパで見て最強だと思う。
んー、国内版との価格差が5〜10万円としても
・ダンロップタイヤ(並行はインドタイヤ)
・ユアサバッテリー(並行は無名バッテリー)
・メーカー2年保証&リコール対応
がある限り国内版の方が信頼性は上のような…
近所で購入出来て面倒見の良いお店があれば別だけど
なんでGSX250Rが無いの?コスパ良いよ…