9月9日、ホンダが欧州で新型ホーネットに搭載される新しい並列2気筒エンジンを正式発表。755ccのパワーユニットと開発メンバーによる新しいエンジンを解説する動画が公開された。

コンパクトなユニカムヘッドのツインエンジンは91.8PS

以前からWebike Plusで新型ホーネットや新型トランザルプの記事を公開してきているが、ついに実際に搭載される新エンジンの詳細が明らかになった。ホーネットと言えば並列4気筒エンジンを期待する声も大きいが、発表されたエンジンは情報通りの並列2気筒。バルブ機構はSOHC4バルブのユニカム方式を採用していることも判明した。

最高出力は91.8PS(67.5kW)/9500rpm、最大トルクは7.65kg-m(75Nm)/7250rpmで、270度位相クランクによる不等間隔爆発の755cc。DOHCヘッドを採用していないことからも、単に最高出力を狙わず、中回転域の力強いトルク特性の実現に主眼を置いたものだ。

公開された動画でテストプロジェクトリーダーの細川冬樹氏はこのように語っている。

「ホンダにとってホーネットは、ストリートファイターの代名詞。ホーネットらしい高回転の力強さ、パワーフィールは外せませんでした。同時に今の時代に合わせたニュージェネレーションホーネットとして低回転、中回転のトルクフィールやパルスフィール、街中を含めた軽快性を最大限に引き出したいと考えました。新しい世代のホーネットを実現するために全く新しい750ccLツインエンジンが必要だったのです」

最後に「Lツイン」と表現しているが、直4=L4と表現されることがあるので、直2=L2と言いたいのか、ドゥカティなどに見られる90度Vツインエンジンの事を指すのかは明確ではない。だが、これはどちらも正解で、270度クランクの並列2気筒(直2)エンジンは実質90度V2と同じ爆発間隔になるのだ。ドコドコとしたパワーフィールも楽しめるだろう。

ホンダが公開した755ccツインエンジン。NC750Xの745ccツインと排気量やエンジン型式が近いが、シリンダーヘッドが直立していて前後長がコンパクトなので、車体設計の自由度が高いだろう。

こちらは、NX750Xの並列2気筒エンジン。ホーネットは「ショートストローク」と発表されているので、ロングストロークのNC系とは出力特性が大きく異なるはずだ。

こちらはアフリカツインのユニカムヘッドの画像。吸気側のカムは直押し、排気側はロッカーアーム式となる。ヘッドの小型化、部品点数の削減、DOHC並みのコンパクトな燃焼室形状にできるなどメリットは多い。

こちらもアフリカツインのクランクシャフト。コンロッド大端のピン位置を270度(90度)ずらすことで、実質90度Vツインエンジンと同じ爆発間隔となる。

新型ホーネットや新型XL750トランザルプはEICMAでの発表が濃厚、国内での発売は?

NC750とは異なる直立シリンダーヘッドを採用した並列2気筒755ccエンジンの新シリーズの登場が確実となった状況だが、このエンジンを搭載するのは今回発表になった新型ホーネットだけではなく、XL750トランザルプも同時デビューが噂されている。2車種とも11月に開催されるイタリア・ミラノショー(EICMA)での正式発表が濃厚だ。

気になる日本国内での発売は、XL750トランザルプのみという情報で、現状では新型ホーネットは導入されない模様だ。トランザルプの国内発売時期は2023年後半になるだろう。

オートバイ誌2021年11月号掲載のトランザルプのCG。フロント21インチスポークホイールを装着したオフロード重視のアドベンチャーツアラーで、テネレ700に対抗するだろう。

オートバイ誌2022年2月号掲載の新型ホーネットのCG。ホンダによるモックアップの形状をベースにCGに起こしたものだ。

ホンダが欧州で公開した新型ホーネットのデザインスケッチ。かなり攻めたストリートファイタースタイルになりそうだ。

この記事にいいねする