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今や絶滅危惧種CB1100Fの欠品を根気よく探し出して完調以上の性能を与える
フレディ・スペンサーが豪快なライドでデイトナ200マイルを制した際のチャンピオンマシン、そしてマンガなどの影響もあって長らく人気を博してきたCB-Fシリーズ。そのうちのフラッグシップモデルにして最大排気量のCB1100Fをベースとしたのが、このRCM-525と呼ばれるサンクチュアリー本店製作のコンプリートカスタムマシンだ。
現在、CB-Fシリーズを取り巻く環境は年々悪化する一方だ。もともとCB-Fシリーズは70年代末〜80年代に生産されたモデル。最終型でさえすでに30年以上の年月が流れている、歴としたビンテージモデルだ。ゆえに今から入手するには中古車を購入するしかないが、程度は年々悪化し続けている。
とくにエンジン内部のパーツが一部入手困難、あるいは欠品となっていることもあり、オーバーホールが難しくなってきているのも実態。一部の専門ショップがリプロ製品の開発・販売に力を注いでいるが、CB-Fシリーズを乗り続ける、あるいは新規に完調なマシンを作り上げるのが難しいのも事実と言わざるを得ない。
サンクチュアリー本店を旗艦店とするサンクチュアリーグルーブが製作するRCMとは、かつてのフラッグシップモデルに現代的な走行性能を与え、かつての輝きを取り戻すことを意図したカスタムプランともいえる。そのためカスタムマシン製作時にはエンジン内部も可能な限り完調を目指すが、それを一気に行なうのが非常に難しくなっている。車両メーカーやリブロパーツを製作するパーツメーカーに注文を入れれば必要なパーツがすぐさまそろうわけではないからだ。
そこで根気よく、文字どおり世界中から新品パーツを探し出し、長い年月を経てこのマシンは製作されている。そして近年活況になってきたリブロパーツも用いてエンジンをオーバーホールし、完調を取り戻している。
むろん、カスタムマシン製作なのだから単にオーバーホールしました、という話では終わらない。ピストンはノーブレスト・ヴォスナーで1,123㏄とし、クランクのダイナミックバランスやジャーナルのラッピング処理といった加工を経てモアパワーを獲得。さらにヨシムラTMR-MJNキャブレターとナイトロレーシング製エキゾーストとの組み合わせで、ストリートでのパワフルかつ扱いやすい特性を追求している。
足まわりはというと、スカルプチャーのブラケットとスイングアームで前後17インチ化に適した車体姿勢を構築し、オーリンズ製ショックユニットとO・Zレーシング製アルミ鍛造ホイールをおごる構成。こういったパートにはレースシーンでも通用する第一級品を投入し、あらゆるシチュエーションでの乗りやすさを与えるべく、同社のノウハウも投入されている。
今でもたまに「豪華絢爛なパーツなんてストリートでは不要」という話を耳にすることがある。ただシートに座ってA地点からB地点に移動するだけなら、このような第一級のパーツなど要・不要でいえば不要だ。カスタムすら不要かもしれない。しかし「現行車に匹敵する走行性能」という高い次元を目指すのであれば、最良のパーツを注ぎ込むことが合理的だ。そしてその副産物としてハイレベルなシチュエーション以外でも快適性を得やすくもなる。ツーリングユーザーにもホイールの軽量化やショックユニットの高性能化、意のままに止まれるブレーキの恩恵は大きい。安定した車体、意のままにパワーを発揮するエンジンを備え、あらゆるシチュエーションでも高い走行性能を発揮可能なマシン。豪華絢爛な構成には理由があるのだ。
カスタムポイント
長い時間をかけて世界中からかき集めた新品パーツと、近年活況になってきたCB-F系リブロパーツを駆使してオーバーホール&チューニングを実施したエンジン。しかし、その多大な苦労を経た結果、今後CB-F系RCM製作には多大な困難を感じた部分とのこと。「もしかしたら同社最後のCB-F系RCMになるかもしれない…」という思いも強かったとか。
カスタムパーツギャラリー

ブレンボ製ラジアル4ポットキャンパーにサンスター製RCMコンセプトローター、O・Zレーシング製アルミ鍛造ガスRS-Aホイールといった世界第一級のパーツで構築されたフロントまわり。それだけに高い信頼性と高次元での性能発揮が期待できる構成とした

同社ではオーリンズ製正立(倒立)フロントフォークとフロントフェンダーと天吊り用ステー、キャリパーサポートというフロントフォーク交換時に必須となるパーツをセット販売するE×M(エクスチェンジモード)パッケージを展開中。同社でも大人気製品で、一般ユーザーの利用率も高い

ステップはナイトロレーシング製をチョイス。シンプルな造形と可動部のベアリング内蔵により操作性を高めた製品だ。荷重をかけてのコーナリングにも十二分にこなす剛性を持たせた。こちらも高い人気を誇る

エキゾーストシステムはウェルドクラフト製法で製作されたナイトロレーシング製チタン。エンジンに近付けるレイアウトとしつつ、急角度にしてもパイプが潰れてしまわないようにするためエキゾーストパイプを輪切りにし、溶接でレイアウトするという手の込んだ一品だ。独特の溶接痕も美しい

リヤブレーキはサンスター製φ250㎜ローターとブレンボ2ポットキャリパーを組み合わせ、踏みしろを大きくし、コントロール性を高めた組み合わせだ。ふた昔前のコーナリング時にリヤブレーキを使わない乗り方ならともかく、現在はリヤブレーキの重要性が増すばかり。こういった組み合わせは参考にしたい

リヤショックのオーリンズはブラックラインをチョイス。足まわりをそっくりブラックにすることで車体の赤色を鮮やかに強調させる効果も期待してのチョイスでもある。もちろん性能面では文句なし

スイングアームはスカルプチャーをチョイス。スイングアームとは精密機器でもあり、その車種ごとに最適なサイズと剛性が必要だとは同社・中村博行代表の言だ。ゆえにCB-Fシリーズに最適な、専用のスイングアームを開発し、適正な車体姿勢を構築している。市販品とは別にスタビライザーを追加し、RCM専用のチェーン引きを採用

CB-F系のアイコンといえばヘッドライトとホーン、そしてウインカーとの位置関係。これらを純正で維持するオーナーも多いはずだ。ウインカーは小型タイプに変更されているが、CB-F系の雰囲気を損ねないように、この位置関係にも細心の注意を払って設定されている。同社製作マシンはこういった細かい配慮が行き届いているのも特徴だ

メーターの位置関係にも細心の注意を払ってスカルプチャー製ブラケットに装着されている。なおメーターは純正新品がすでに廃番。良好な状態のモノを求めることが非常に困難なパーツの一つだ

ブレンボのラジルアポンプマスターに装着されているレバーは、ZETAを展開するダートフリークが、RCMをイメージして製作・販売するRCMコンセプトフライトレバー。300㎞/hを超える高速域でブレーキレバーが風圧で押されないようにホールを設けたほか、360度全面切削加工で仕上げられた高い質感が魅力
「CB1100F by サンクチュアリー本店」の主なカスタム内容
エンジン総排気量 | 1,123cm3 |
---|---|
ピストン | ノーブレスト・ヴォスナーφ72mm |
キャブレター | ヨシムラTMR-MJNφ38mm |
エキゾーストシステム | ナイトロレーシング |
電装系 | ASウオタニ SPⅡ |
オイルクーラー | ナイトロレーシング×アールズ |
ホイール | (F)O・Zレーシング ガスRS-A 3.50-17 (R)O・Zレーシング ガスRS-A 6.00-17 |
タイヤ | ピレリ ディアブロ |
Fブレーキ | キャリパー:ブレンボ ラジアル4ポット ローター:サンスター マスター:ブレンボ ラジアルポンプ レバー:ZETA ホース:アレグリ |
Rブレーキ | キャリパー:ブレンボ2ポット ローター:サンスター |
Fフォーク | オーリンズ |
ブラケット | スカルプチャー |
Rショック | オーリンズ |
スイングアーム | スカルプチャー |
ハンドルバー | ポッシュ |
ステップ | ナイトロレーシング |
情報提供元 [ カスタムピープル ]
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