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ノーマルの延長線上に位置させつつ、軽快な走りを追求するGPZ900R
ニンジャカスタムの有名店の方向性に納得してのオーダー
1992年ごろから新車で購入していたGPZ900R。オーナーはつい最近までライトカスタムで楽しんでいたが、ブルドッカータゴスでフルカスタムを決意。そのキッカケは同社のデモ車に試乗したことだった。
「オーナーはカスタムピープルの愛読者で、昔から当社のこともよくご存じのようでした。そこで当社に遊びに来られた際に、当社のスタンスとか、実際に手がけたGPZ900Rなどを見ていただき、さらにデモ車に試乗されてから『自分もブルドッカータゴスで製作したマシンに乗ってみたい』という願望が大きくなったようです。そこでまずは吸排気系の手直しや足まわりの再構築を行なった状態で一度納車したんですね。その納車時はまず当社の周辺を試乗してすぐに戻ってくるという話でしたが、1時間経っても帰ってこない。『何かあったのでは?』と心配していましたが、戻ってくるとオーナーは『こんなに楽しく走れるとは思ってなかったので、ついつい遠出しちゃいました』とのこと。それで当社のことを信頼いただいたようで、さらに昨年末からフルカスタムに着手したという次第です」
このように語るのは同社代表の田子敏幸氏。二度となる入庫時にはファインカスタムだった足まわりも刷新されたほか、純正だったキャブレターもケーヒンFCRに換装し、車体色も一新するなど大変更が加えられている。
純正ライクを維持してGPZ900Rらしい気楽さを強化
なお、フルカスタムに着手する際にも『ノーマルライクながらも全体的にパフォーマンスを底上げして、ロングツーリングやスポーツ走行を楽しめるように』というオーナーの意図が注ぎ込まれている。この辺りは同社のスタンスそのものではあるが、実際にどのパーツを使うのか、どんな仕様にしたいのかを煮詰めるため、何度も意見交換を行ないオーナーとの意思疎通を図ったとのこと。この辺りはショップにオマカセという人もいるようだが、細部に至るまでオーナーのこだわりを再確認し、それを実現しつつ、よりよい状態を作り上げたいと田子氏も考えた結果だとか。
こだわった点は多岐に渡るが、ここであえて触れておきたいのはレストアメニュー+αによる点火系の刷新だ。この車両ではトレーディングガレージナカガワのHIRと新品イグニッションコイルで点火を最適化させているが、イグニッションコイルまわりは近年、同社でもトラブルが続出し始めたそうで、早め早めの新品交換で確実な点火とトラブルレスなマシンが作るうえでも重視したいポイントだとのこと。もとが古いほどこういったポイントも見逃さないようにしたい。
このような心配りも含め、ブルドッカータゴスの考えるGPZ900R、つまりはロングツーリングを快適にこなし、かつツーリング先のワインディングも楽々と、かつ軽快に楽しめるオールラウンダーとして生まれ変わったこのマシン。春になればオーナーの手足となり、あちらこちらを走り回ることだろう。
カスタムパーツギャラリー

[カスタムポイント]これは同社オリジナルステムキット“TAGOSクルーズステム”の新型試作品。前後17インチ化したGPZ900Rのディメンションの適正化を図られるようにと同社で開発したモノで、近年多く見られる、純正セパレートハンドルと同様のスタイルや操作性を重視するユーザーにはマストパーツになるはずだ

最終型でも2003年式とすでに17年が経過するGPZ900R。それゆえキーシリンダーのトップもキーとの接触で文字が消えていることも多い。そこで同社ではプロテクターシールも販売中

純正のままでは冷却性能に不安があるが、純正カウルはできるだけ加工したくない。そんな要望に応えるべくラジエターは石原ラジエター製に変更。さらに同社ラジエターカバーに表面を保護

オーナーの好みもあってサブフレームにはクラフトマン製を採用。またスライダーも装着するが、これも可能な限り純正カウルを加工しないように、とのオーダーで極力干渉を避けつつ加工装着

キャブレターはケーヒンFCRφ37mm。GPZ900Rカスタムだとパワーアップを意識してφ39mm以上も選ばれがちだが、ストリート主体で低中回転域の扱いやすさを考えるとφ37mmで十分なパワー感が得られる

ブレーキ、クラッチマスターはともにゲイルスピード製。軽いタッチ感はもちろん、ブレーキ側はレバーレシオも変更可能なのでオーナーの好みに追従させやすい適応力の広さも魅力

フロントフォークのインナーチューブはDLC加工し、ハイパープロ製スプリングを組み込んでセットアップ。ストリートでの路面追従性が向上するのはもちろんハンドリングも適正化

リヤショックはハイパープロだが、同社特別指定のスプリングを用いた同社特注品。動き出し初期はしなやかに、奥では踏んばる特性でツーリングでも疲れにくくなる仕様を追求した

リヤを17インチ化させると純正スタンドでは倒れるような姿勢になる。そこで同社では17インチ化GPZ900Rに最適な姿勢となるよう純正30mmロングのステンレススタンドを新発売

マフラーはKファクトリーフルチタン。アンダーカウルを大きく加工することなく装着できる数少ない集合マフラーだけに、フルカウル維持を重視するユーザーには定番チョイスの一つでもある

ブレーキローターはサンスターのプレミアムレーシングだが、フローティングピンは同社オリジナルに変更。黒に赤字でさり気ないドレスアップに寄与する。キャリパーはブレンボ製

前後ホイールともゲイルスピード・タイプC。リヤは6.0JでZZR1100(D)対応ホイールを採用する。またよく見るとアクスルシャフトはPEO製でゼファー1100用を使うことで大径化させた

スイングアームは純正ライクに見えつつZZR1100(D)用6.0Jホイールを装着させるため、ZX-10純正を加工装着している。アクスルシャフト変更と相まってリヤ剛性を高めて安定性もアップ
「GPZ900R by ブルドッカータゴス」の主なカスタム内容
エンジン総排気量 | 908cm3 |
---|---|
キャブレター | ケーヒンFCRφ37mm |
エキゾーストシステム | Kファクトリー |
ラジエター | 石原ラジエター |
電装系 | TGナカガワ HIR |
ホイール | (F)ゲイルスピード タイプC 3.50-17 (R)ゲイルスピード タイプC 6.00-17 |
Fブレーキ | キャリパー:ブレンボ4ポット ローター:サンスター マスター:ゲイルスピード ラジアルポンプ |
Rブレーキ | キャリパー:ブレンボ2ポット マスター:ゲイルスピード |
Fフォーク | スプリング:ハイパープロ |
ブラケット | ブルドッカータゴス |
Rショック | ハイパープロ |
スイングアーム | ZX-10 |
ハンドルバー | ブルドッカータゴス |
ステップ | Kファクトリー |
情報提供元 [ カスタムピープル ]
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