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“リアルコンプリートマシン”最後のシリアルナンバーを冠したZ1000MkⅡ
2000年以降、サンクチュアリー本店製作のフルカスタムマシンはRCMと呼ばれている。これは同社製作のカスタムマシンを某誌がリアルコンプリートマシンと呼称したことから、以後サンクチュアリー本店やグループ店が製作するフルカスタムマシンの通称として使用されるようになったという経緯がある。ただ、最近ではリアルコンプリートマシンという呼び方はほぼされなくなり、RCMが一体何の略称なのか知らない人もいることだろう。そもそもの発端はそういう話だ。
ただ、現在同社が販売しているオリジナルフレームA16の製造元となる、アメリカのロサンゼルスにあるRCM USA社を2016年に設立した際、現地関係者にReal Complete Machineという読み方は日本語英語的だとの指摘を受け、RCM USA社のRCMとはRadical Construction Manufactureの略称として登録。その後、北米や欧州、台湾など世界中から注文を受けることも増え、RCMの知名度が世界的になったことから、呼称面での統一を図るべく「Radical Construction Manufacture」を略称してRCMと呼ぶことに決定したとのこと。Radical Construction Manufactureとは「根本的な建設・製造」とでもいえばいいのだろうか? フレームを含めて根幹的なところから旧世代のフラッグシップをカスタムして現代的な走行性能を与える、という同社の根幹部分を表した言葉ともいえるだろう。
そういった理由で、通常はシリアルナンバー入りプレートがネック部分に装着される際のプレートも、このRCM-571ことZ1000MkⅡを最後にReal Complete Machineの文字ではなくRadical Construction Manufactureの文字が入ることになる。
とはいえ略称の内容が変わったからといって同社のスタンスやカスタムメニューがいささかも変わったわけではない。同社の根幹は上でも書いたように、旧世代のフラッグシップをカスタムすることで現代的な走行性能を与え、現代でも快適に走れるマシンを提供することである。そのために車体を構成するパーツ選びも妥協せず、世界的に信頼性が高い社外パーツを中心にセレクト。とくに走行性能を大きく左右する足まわりは現行車の主流である最新ハイグリップラジアルタイヤを装着できる前後17インチとするのはもちろん、その17インチ化を直接達成させるホイールはO・Zレーシング製アルミ鍛造モデルとし、それを支える前後サスペンションはオーリンズ製と、空冷Z系を17インチ化した際の車体ディメンションを最適化させるべく同社で設計したスカルプチャー製ブラケットとスイングアームを組み合わせる。ブレーキはブレンボ製キャリパーとマスター、そしてサンスター製ローターだ。
さらにその足まわりに負けないようパワーアップも敢行。最近の傾向としては空冷Z系だとモアパワーというより長寿命化を主眼とするメニューが人気とはいうが、適切なチューニングは長寿命化に貢献する。スリーブが緩くなっていたことからスリーブ入れ替えを行なったうえで排気量は1,045㏄までアップし、カムシャフトもウェブST-1でハイカム化させたものの、それ以外は丁寧なバランス取りと対策部品の導入で適切な燃焼を追求している。吸排気もナイトロレーシングとヨシムラのTMR-MJNキャブレターで出力特性を整え、実用域で必要十分なトルクとパワーを獲得したとのこと。
空冷Z系はもう10年以上、高騰化が続いている。それでいて入手できる可能性がある中古車の状態は悪化していく一方だ。今やロマンとして乗っている人がほとんどだろう。ただ、ロマンだから低性能であったり見掛け倒しであっていいかというと、そんなことはないはずだ。ロマンを感じつつ現行車に肩を並べる存在であり続ける。そのサンクチュアリー本店の掲げる理念や情熱は、RCMの正式名称が変わろうと今まで通りにマシンに投入され続けるはずだ。
カスタムポイント
オイルクーラーはナイトロレーシングからリリースしている9インチ13段を採用。空冷Z系はオイルポンプの圧力が低く、むやみに大容量化させてもオイルが内部で滞留するばかりになるが、同社トロコイド式ハイプレッシャーオイルポンプを導入することで圧力を確保し、大容量化に対応。しっかりとエンジンを冷却させることは長寿命化にもつながり、同社空冷Z系カスタムにとっても欠かせないメニューとなっている
カスタムパーツギャラリー

ハンドルバーはデイトナのRCMコンセプト。サンクチュアリーグループ製作のRCMには"RCMコンセプト"というパーツがよく採用されるが、これはRCMをイメージソースとして各パーツメーカーが独自に開発したパーツとなる。ちなみにこのRCMコンセプトの文字列も現在は変更されている

ブレーキとともにクラッチ側もブレンボ製ラジアルマスターに変更。クラッチマスターはクラッチミートの感覚の掴みやすさや操作性といった部分で定評あるパーツであり、RCMに限らずカスタムシーンで人気のパーツだ

フロントフォークはオーリンズ製だが、同社ではフロントフェンダーやそのステー、キャリパーサポートなどフロントフォーク交換時に必要になるパーツをセットにしたE×Mパッケージとして販売中。こちらも人気を博している

ブレーキキャリパーはブレンボ4ポット、ローターはサンスターRCMコンセプト、ホイールはO・Zレーシング製ピエガと、世界でも第一級のブランドで足まわりは固められた。空冷Zに現代的な走行性能を与えるうえで高い理想を追求するためのチョイスだ

エンジンは経年でスリーブが緩くなっていたことからスリーブ入れ替えの上で排気量をアップ。以前なら純粋にパワーアップをねらうボアアップだが、2020年代の空冷Zカスタムにおいてスリーブ入れ替えはリフレッシュさせる意味合いも強く、同社でも定番化しつつあるという

ステップは良好な操作性を追求して同社で開発したナイトロレーシング製をチョイス。また、極力シンプルな形状を採用することでどんなマシンやカスタムスタイルにもマッチしやすい使いやすさもカスタムシーンで人気の理由だ

フレームのピボット周辺にザグリ加工をほどこし、スプロケットをアウト側にオフセットさせてリヤ180サイズタイヤにも対応させる。同社17インチ化メニューの中核ともいえるのが、このパートだ。スプロケットカバーはナイトロレーシングのタイプ1

美しい光沢を放つチタン製マフラーはナイトロレーシング製の手曲げとなる。サイレンサーは最近だとトライオーバルタイプも人気だが、このマシンでは古くから人気のメガホンタイプ(グレネードVⅢ)をチョイス

スイングアームはRCM専用スカルプチャー製をチョイス。RCM専用ではない一般販売用との違いはチェーン引き部分の違いだ。また、このマシンではオプションのスタビライザーとメンテナンススタンドフックの追加も行なっている

ホイールは前後ともO・Zレーシングだが、ZRX1200適合のモデルから流用。高年式車用を流用することで周辺パーツの流用のしやすさ、タイヤ選択肢の幅広さを確保している。リヤブレーキはコーナリング時でも操作しやすいよう小径ローターとブレンボ2ポットキャリパーの組み合わせとした
「Z1000MkⅡ by サンクチュアリー本店」の主なカスタム内容
エンジン総排気量 | 1,045㎤ |
---|---|
ピストン | ピスタルレーシング |
カムシャフト | ウェブ ST-1 |
キャブレター | ヨシムラTMR-MJNφ38㎜ |
点火系 | ASウオタニ SPⅡ |
オイルクーラー | ナイトロレーシング 9インチ13段 |
エキゾーストシステム | ナイトロレーシング |
ホイール | (F)O・Zレーシング ピエガ 3.50-17 (R)O・Zレーシング ピエガ 5.50-17 |
タイヤ | (F)ミシュラン パイロットパワー 2CT 120/70-17 (R)ミシュラン パイロットパワー 2CT 180/50-17 |
Fブレーキ | キャリパー:ブレンボ4ポット ローター:サンスター RCMコンセプト マスター:ブレンボ ラジアルポンプ |
Rブレーキ | キャリパー:ブレンボ2ポット ローター:サンスター |
Fフォーク | オーリンズ |
ブラケット | スカルプチャー |
Rショック | オーリンズ |
スイングアーム | スカルプチャー |
ハンドルバー | デイトナ RCMコンセプト |
ステップ | ナイトロレーシング |
シート | デイトナ RCMコンセプト |
情報提供元 [ カスタムピープル ]
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