こんにちは! 今週の「WebikePlusスタッフが勧める意外とイイよ」のコーナーです。

安くてカッコいいバイクを買ったので、意気揚揚と仲間に見せたら「ああ……コレ買ったのか……」なんて言われ、その言葉どういう意味!? と思いつつネットで調べたら「壊れやすい」だの「不人気」だのひどい言われよう。

(人気ないってマジかよ……だから安かったのかっ!?バイク屋はいいバイクって言ったのに……)

そんな経験ありませんか? だからってさっさと買い替えるのはちょっと待った。キラキラした大人気車ではなくても、どんなバイクも個性の塊。メーカーが「これは売れるぞ!」と意気込んで開発したバイクたちは、それぞれ独特の魅力を持っているもの。

そこで、人気はどうあれイイものはイイぞ! とゴリ押ししていくのがこのコーナー。人気モデルに乗ってりゃエライ時代は過去のもの、現代こそマイナーバイクを全力でお勧めしたい! と「マイナーバイク好き(自称)」のWebike+スタッフ・西田が独断でピックアップしたモデルを紹介していきます!

けしてマイナーではないけれど……

今回紹介するのは、2012年に発売されたスズキ「GSR250」。2017年にカタログ落ちするまで5年間、スズキの250ccネイキッドモデルの筆頭として販売されました。絶版車とはいえ最近(5年前ですが)のモデルなので、見かける機会はけっこうあります。販売台数も少なくはなく、中古車市場にもまだまだいい状態の車体がゴロゴロ。けして「マイナーバイク」ではないかもしれません。

ですが、「大人気車」として評価されているわけではないんですよね……「どんなバイクなんだろ?」とGoogle検索をしてみると、「重い」「遅い」「ダサい」とヒドい関連語句が並び、「不人気」扱いされてしまっているのです。こんな評価に対して全国のGSR250ライダーは怒るべきなのですが、確かにGSR250はクラスの中では大きく重いのは事実。スタイリングも特徴的で、オーソドックスなネイキッドではなく万人受けはしないのかもしれません。

しかし、5年間の間販売が継続され、かつ海外展開もするグローバルモデルとなり、フルカウルの「GSR250F」、ハーフカウルの「GSR250S」というバリエーションも登場したGSR250。スポーティで軽快ではないにせよ、独特な魅力を放つモデルだったことは間違いないのです。その魅力の正体はなんだったのでしょうか。

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2012年、スズキから中国市場向けに発売されたGSR250は、水冷4サイクル並列2気筒の24PS/8,500rpmの出力を発揮するエンジンを搭載。扱いやすいスペックに加え、価格は43万8,900円とリーズナブルでエントリー層にも身近なモデルだった。2017年に販売を終了。

 

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クラストップの怪物を引き継いだデザイン

GSR250のかなり個性的なデザイン。その要素をなしているのは大型の異形ヘッドライトや、前傾がきつめに見える背の高いタンク、やけに大きいフロントフェンダー、そして250ccではもはや珍しい2本出しのマフラー。
これらの特徴はストリートファイターのようでもあり、スポーツネイキッドのようでもあり……非常に個性的。そのデザインのベースにあるのは2006年に登場した「GSR600/400」、そして2008年に登場した「B-KING」でした。

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それまでのスズキのスポーツモデルとは一線を画した近未来的シルエットを持つGSR600は、SSである「GSX-R600」のエンジンをベースとしたハイパワーなエンジンをアルミツインスパーフレームに搭載したスポーツネイキッド。国内向けには600ccモデルと同フレームに400ccエンジンを搭載したGSR400が販売されていたが、こちらもスズキ400cc初のフューエルインジェクションを採用。「SDTV」による高効率な燃料機能といった最先端の技術が惜しみなく投じられていた。

 

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「ハヤブサ」のエンジンをベースとした排気量1340cc、183PS/9,500rpmのエンジンを、ネイキッドスタイルに搭載してしまった異色のモデル。2001年にコンセプトモデルが発表されてのち、長い期間を経て2008年に発売された。圧倒的な走行性能に加え、宇宙戦艦的な超巨大サイレンサーやハヤブサを上回る200mm幅のリヤタイヤなど、インパクト抜群のスタイリングを誇った。

 

こうして並べてみると、GSR250のスタイルはGSR600やB-KINGと共通しています。特徴的な異形ヘッドライトが目をひきますが、タンクの盛り上がりやテールカウルのデザイン、ウィンカーのレイアウトまで統一されたデザインなのがわかります。
また性能面でみても、もちろんエンジンや排気量がぜんぜん違うので単純な比較はできないのですが、走行時のハンドリングを決定するキャスター角やトレール量も似通っており、車重やパワーを抜きにしても、一貫性のある雰囲気を感じることができるのではないでしょうか。
そして似ているのはスタイルだけではなく、その大きさもでした。GSR250の車体長は「2145mm」、B-KINGは「2245mm」と、わずかにGSR250のほうが小さいものの、その差はわずか100mm。これはB-KINGが小さいのではもちろんなく、GSR250がでっかいのです!(ついでに言えばGSR600/400は2090mmで、むしろ250ccよりも小さい……)ちなみに同クラスの現行車、スズキ「GSX250R」の車体長は2085mm、「ジクサー250」は2010mmと、いずれもGSR250以下のサイズです。
また車体幅も760mmもあり、車体重量は183kg。確かに大きいバイクなのでした。

ツーリングに必要な機能と、ビッグバイク的なビジュアルのパンチを合わせ持つ

さて、そんなGSR250が搭載するエンジンは水冷4サイクルOHCの並列2気筒、出力24PS/8,500rpmで、スポーツモデルに比較すれば出力は抑えめ。しかしロングストロークのパラレルツインはトルクフルで、2.2kgf/6500rpmのピークトルクを発揮しました。
このトルク値は現行の「レブル250」と同じ。構造的にトルクを稼ぎやすい、単気筒のレブルと同じ値のツインエンジンという点にはなかなか渋い魅力があります。このエンジン特性は先述した大きな車体、重量をしっかり加速させることには十分でしょう。
そしてこのエンジンの大きな強みは、「燃費がめちゃくちゃいい」こと。カタログ値でも40.0km/Lという高数値で、ライダーインプレッションからは30.0km/L程度の燃費は安定して発揮できるとのこと。 13.0Lのタンクも相まって、航続距離の不安はありません。

 

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エンジンは特殊な機構などを持たないOHC並列2気筒ながら、シンプルゆえに故障が少ないというインプレッションも。 ボア53.5mm×ストローク55.2mmロングストロークエンジンは低中回転時のパワーに寄与し、初心者はありがちなエンストや加速の不安をしっかりサポートしてくれる。同系のエンジンは現行車である「GSX250R」でも採用が続いており、スポーツライディングにも耐えるポテンシャルを秘める。

 

細部を見ていくと、まず注目すべきポイントは左右2本出しのサイレンサー。旧車にはよくある複数出しですが、近年のモデルではほとんど見ることがありません。だからこそ後ろから見たときのインパクトは大きく、車格も合わせてビッグバイクそのものといっていいシルエット。
また、大きく視認性のいいヘッドライト、サイドカウルに埋め込まれたフロントウィンカーといった、GSRファミリーに共通するデザインの灯火類も視認性は高く、スタイルの特徴となっています。

 

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2本出しのストレート形状のサイレンサー。メッキ仕上げとなっており、なおかつキズがついても交換が容易なガード付きを採用している。このスタイリングは250ccクラス、それも2010年以降のモデルでは唯一ではないだろうか? 重量や車体サイズを大きくする理由でもあるが、所有感はまるでビッグバイクだ。

 

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GSR600/400、B-KINGとデザインの共通性がある異形マルチリフレクターヘッドライト。ヘッドライトケースはメーターケースとも一体化しており、シリーズを象徴するデザインだ。さらにヘッドライトのサイドにはポジションランプも装備。

 

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センターにタコメーター、シフトインジケーター、左に各種インジケーター、右の液晶にデジタルスピードメーターを配したコクピット。タコメーターには13,000rpmまでを印字している。デジタルメーターにはスピードメーターのほか、燃料計、トリップメーターといった主要な機能を備える。「メンテナンス」と書かれたインジケーターはオイル交換注意を教えてくれる!

 

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容量13.0Lのタンクはサイドカウルにより実際の容量よりも大きく見える。こういったサイドカウルも、オーソドックスなネイキッドにはあまり見られないデザインではあるが、スズキは1989年発売の「コブラ」にもこういった大型のカウルを採用していた。

 

大きいがゆえのメリット

GSR250の特徴は、何度も言いますがワンクラス上の車格を持っていること。なにせ大型並みの車格を持っているわけで、見た目のインパクトは強烈です。また車重も400ccクラスに匹敵するもので、これをネガティブにとらえる人もいます。
確かに、小中排気量のバイクでは、小型軽量な車体が選ばれることが多いのも事実。これは軽量なほうが加速やコーナリング性能を発揮しやすく、限られたエンジンパワーを使い切るために重要な指標となっているからですが、運動性能がよい、というのは「安定していない」ということと同義でもあります。高速道路の直線をまっすぐ走りたい、といったとき、軽量なスポーツバイクはけして有利ではありません。

そこでひときわ大柄なGSR250を見てみると、車体長も車重もすべては安定感に直結している、ということができます。大型バイクに目を移せば、GSR250より大きく、重いモデルは沢山存在していますが、250ccならではのメリット(おもに金銭面での)を享受しつつ(自動車保険も安く、消耗パーツも安く、車検もありません)を享受しつつ、大型バイクの安定性を持つ……
さらに車体の大きさはシートの大きさにもつながっています。ワイドな肉厚のシートは座り心地もよく、荷物をタンデムスペースに積載しても窮屈になりません。また、GSR250が純正で装備している大きなグラブバーは、タンデムの際にも役立ってしまいます!

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大型並みの車格、二本出しのマフラーといった特徴により、同クラスのネイキッドよりもひときわ重いGSR250。しかし全体的な重心は低く、取り回しの苦労は大型4気筒モデルほどはない。重さは高速走行時の安定性に寄与し、積載スペースにも困らないときたら、スポーツ性能を問わないロングツーリングにおける無二の相棒と言えるのではないだろうか。

つまり意外といいぞGSR250

大きく、遅いと言われるGSR250ですが、それをデメリットと感じる人にはハッキリ言ってGSR250は向いていません。その特徴は250ccツアラーとして最適なものといえ、ツーリングマシンとして扱うライダーにとっては非常に心強いものとなるでしょう
実際そういった声があったものか、2014年には大型のハーフカウルを装備した「GSR250S」が登場。よりツーリングへの最適化がはかられました。さらにアンダーカウルも装備してフルカウルとなり、ハンドル位置等が見直されスポーティになった「GSR250F」も発売され、GSR250はそのスタイルを気に入った人にとって、万全のバリエーションを展開したわけです。

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大型スクリーンが特徴的なGSR250S、そしてフルカウル化したGSR250F。B-KINGのスタイルはないが、よりツーリングライダーを見据えたスタイルに進化したといえるだろう。

このため、2017年に絶版となりつつ、まだまだ中古市場にはたくさんの車両が残っているのもいいところ。おまけにかなりお手頃な価格で取引されている状態。スポーツ走行を楽しみたい! というライダーには不向きなモデルとはいえ、その真価を理解できるツーリングライダーにとっては、マスターピースになり得るモデルといえるでしょう!

つまりGSR250は、

・GSR600/400、B-KINGの系統を汲むスズキの次世代ネイキッドスタイル

 

・車体サイズ、重量ゆえの安定感はツーリングライダーにピッタリ。

 

・コスパ抜群!ネガティブ評価をされているうちがチャンスか?

という、「意外といい」バイクなのでした。そしてネガティブな声を受けつつも、シッカリ5年間販売が続き、そして現在も「GSX250R」にその系統が残されているGSR250。その魅力を理解している人は、意外に多いのかもしれません。

GSR250諸元(2012)

全長 (mm) 2145
全幅 (mm) 760
全高 (mm) 1075
シート高 (mm) 760
重量 (kg) 183
エンジン種類 水冷4ストロークOHC並列2気筒
総排気量 (cm3) 248
最高出力 (PS/rpm) 24/8,500
最大トルク (k-gm/rpm) 2.2/6,500
燃料タンク容量 (L) 13.0
変速機形式 6速/リターン式
タイヤ 110/80-17
140/70-17
ブレーキ 油圧式シングルディスク
油圧式シングルディスク
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