公道のワインディングロードで俊敏な走りができるようなバイクというのがルーツで、その後にレースベースモデルとしての役割も担うようになったのが、リッタークラスのスーパースポーツ。現在は再び、レースレギュレーションを考慮しない排気量のモデルも製造されていますが、やっぱり一番の目的は“速く走ること”です。では、多々あるスーパースポーツの中で最速はどれなのでしょうか?
目次
あくまでも“ライダーの腕次第”ではあるけれど……
どのリッタースーパースポーツがイチバン速いのか? これに対するもっとも正しい回答は、「ライダーのレベルと乗り方によって異なる」だと思います。そもそも、最近のリッタースーパースポーツは200PS超が当たり前。いくらトラクションコントロールシステムなどの電子制御が満載とはいえ、その性能を信じ切ってサーキット走行のコーナー立ち上がりでスロットルをワイドオープンして、ストレートで開け切り、エンジンのレブリミットまで使えるライダーというのは、とても限られています。性能を完全に発揮できていないのに、“どれが速いのか”を考えるというのは、ちょっとナンセンスな気もします。
とはいえ、それでも「どれが速いの!?」となるのが、スポーツバイク好きなライダーの心理というもの。そこで今回は、その性能を使い切れるのかという根本的な問題は棚に上げ、「どの現行リッタースーパースポーツが最速なのか?」を馬力に注目して考えてみます。
●対象車両
ホンダ ・CBR1000RR-R ファイアーブレード/SP ヤマハ・YZF-R1、YZF-R1M スズキ・GSX-R1000R カワサキ・ニンジャZX-10RR、ニンジャZX-10R/KRTエディション BMW・M1000RR、S1000RR Mパッケージ、S1000RR ドゥカティ・パニガーレV4 SP2、パニガーレV4S、パニガーレV4 アプリリア・RSV4ファクトリー
もはや200PSは“常識”のレベルに!
車名 | 最高出力(PS) | 車重(kg) | パワーウエイトレシオ(㎏/PS) |
---|---|---|---|
CBR1000RR-R ファイアーブレード/SP | 218 | 201 | 0.922 |
RSV4ファクトリー | 217 | 202 | 0.931 |
パニガーレV4 SP2 | 215.5 | 194.5 | 0.903 |
パニガーレV4S | 215.5 | 195.5 | 0.907 |
パニガーレV4 | 215.5 | 198.5 | 0.921 |
M1000RR | 212 | 198 | 0.934 |
S1000RR | 212 | 200 | 0.966 |
ニンジャZX-10RR | 204 | 207 | 1.015 |
ニンジャZX-10R/KRTエディション | 203 | 207 | 1.020 |
YZF-R1 | 200 | 201 | 1.005 |
YZF-R1M | 200 | 202 | 1.010 |
GSX-R1000R | 197 | 203 | 1.030 |
※車重は装備重量で表記、燃料90%の状態の車両も一部含まれます。
※最高出力はPSで表記。メーカーサイトでkw、またはhpで表記されている場合はkw表記をPS換算しています。
※赤字数字は同タイトルのベスト3になります。
2022年8月現在の日本で正規販売されている、メジャーなメーカーのスーパースポーツを調べてみると、最高出力200PS超が多数。その中でもっともパワーがあるのはホンダのCBR1000RR-Rファイアーブレードで、最高出力218PSを叩き出します。ちなみに、現行の一般量産二輪車でもっともパワフルなのは、スーパーチャージドエンジンを搭載したカワサキ・ニンジャH2カーボンの231PS。こちらは、スポーツバイクであることは間違いないのですが、トレリス構造の鋼管フレームを採用しており、純粋に“速さ”を追求したモデルとは少しタイプが異なるため、今回のランキングからは抜きました。
また、ドゥカティは2019年モデルとして、レース参戦のホモロゲーションモデルとなるパニガーレV4Rを発売し、こちらは998cc水冷V4エンジンで221PSでしたが、現行モデルではないため割愛。ちなみに、これをベースとしたスーパーレッジェーラV4という特別な台数限定生産モデルも2020年に発売され、こちらは224PSでした。
ところで、いくら馬力があっても車重がありすぎれば、そのぶん加速力は鈍ります。そこで、車重(基本的には燃料満タンの装備重量だが、一部機種は燃料90%の状態)を最高出力で割った「パワーウエイトレシオ」についても、参考までに調べてみました。すると、20年ほど前は燃料などが搭載されていない乾燥重量の状態で「1」を切ったらスゴいとされていましたが、現在は装備重量でも0.9kg/PS台がたくさん。このパワーウエイトレシオでは、ドゥカティのパニガーレV4シリーズが強く、これにCBR1000RR-RとアプリリアのRSV4ファクトリーが続いています。
<最高出力 第1位>ホンダ・CBR1000RR-Rファイアーブレード/SP
優等生のホンダがブチ切れた意欲作!
かつて“エンジン屋”と言われてきたホンダが、劣勢状態を打開すべくCBR1000RRの後継として2020年に導入したのが、最高出力218PSを誇るRR-R。スーパーバイクレースで使用することも前提に設計されているため、水冷4スト並列4気筒エンジンの排気量は999ccですが、より大きなエンジンを積むRSV4ファクトリーやパニガーレV4シリーズに勝っています。
もちろんライダーの操作をアシストしてくれる電子制御システムは満載されていますが、ライディングポジションを含め、優等生イメージがあるホンダらしからぬスパルタンかつレーシーな雰囲気がたっぷり。一般ライダーがこの性能を“使い切る”のは、かなり難易度が高いかもしれません。
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<最高出力 第2位>アプリリア・RSV4ファクトリー
レース参戦を考えない排気量設定
世界最高峰ロードレースのMotoGPでも2022年は好成績をマークしている、イタリアのアプリリア。そのフラッグシップモデルとなるRSV4ファクトリーは、2021年モデルで水冷V型4気筒エンジンの排気量が1099ccに高められました。最高出力は217PS、最高速度は305km/hと発表。ウイングレットと2層構造フェアリングにより空力効率も高められ、以前から開発に力が入れられてきた電子制御システムにより、操縦性も高められています。
スーパーバイクレースのベースモデルとして使用する場合、4気筒エンジンは1000cc以下でなければいけませんが、こちらのモデルはレース参戦を視野に入れず、サーキットとワインディングでの扱いやすさと速さを求めて、独自の排気量設定がされています。
<最高出力 第3位>ドゥカティ・パニガーレV4/S/SP2
パワーウエイトレシオもかなり優秀!
ドゥカティのパニガーレV4シリーズは、レース参戦を目的とした998cc仕様のV4Rもありましたが、それ以外のモデルは1103cc水冷V型4気筒エンジンを搭載。パワーとトルクを高めて速さにつなげています。一方で車重は、燃料タンク容量90%の装備重量(EU規則に基づく数値)でシリーズすべてのモデルが200kg以下。ガソリンがあと2L入ったとしても、V4SとV4SPなら200kg以下に収まりそうです。
最高出力は、2022年型でのマイナーチェンジによりスタンダードタイプも1.5PS増の215.5PSに。もう少しでホンダやアプリリアを抜けるところまで高められています。
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なにこのしょうもない数値比較w
某メーカーに忖度してて草
EUメーカーの1000ccに拘らないのは良き