※当記事はカワサキバイクマガジンvol.136掲載記事(2019年2月1日発売)に掲載されたものです。

80年代のマシンベースでスーパースポーツを追撃する

GPz1100をベースに、カーボンパーツを多用して徹底的に軽量化。目指したのは現行のスーパースポーツの走行性能に迫る究極の80年代マシンだ。全身にカーボンをまとうGPz1100を紹介していこう。

カーボンを圧着して素材の強度を向上させる

GPz1100をベースにPMCがカスタムをほどこしたこのマシン。車両オーナーからの要望は、GPz1100を現行のスーパースポーツの走行性能に迫るマシンに仕上げてほしいということ。30年以上も前に生産され、さらに空冷エンジンの旧車を、PMCはどのようにカスタムし依頼に応えたのか。

80年代のマシンでスーパースポーツに対抗できるようにするため、PMCがとった方法は徹底的な軽量化だ。すでに部品の入手も難しくなっているGPz1100だけに、エンジンをハードにチューニングすることは、トラブルが生じた場合に修復が難しい。そのため、エンジンはライトチューニングに留め、車体の軽量化でパワーウエイトレシオを上げて走行性能をアップさせることにしたのだ。そこで採用したのがカーボンホイールやアルミタンク、そしてカーボンドライプロテックというカーボンを素材に圧着させて強度を上げる方法だ。
カーボンホイールはイギリスのBSTを採用。アルミ鍛造ホイールやマグネシウム鍛造ホイールも上回る軽量ホイールであり、車体重量の軽減はもちろんのこと、バネ下重量の軽減により、ハンドリングをはじめ、加速や制動力などの運動性能の向上をもたらしてくれる。ホイール径は現行のハイグリップタイヤが装着できる前後17インチとして、それに合わせて足まわりを構築している。また、車体上部の重量物であるガソリンタンクを純正のスチール製からビーター製アルミタンクに換装することで、車体重量の大幅な軽量化も行なう。車体上部が軽くなったことで、マスの集中化にも貢献している。

そのアルミタンクは、カーボンドライジャパンが施工するカーボンドライプロテックがほどこされている。このマシンではアッパーカウルやサイドカバーに軽量化のためにカーボン製が採用されているため、アルミタンクもカーボンを圧着することで、外装をカーボンで統一している。さらに、このカーボンドライプロテックをフレームにもほどこしており、フレームの剛性アップにも一役買っているのだ。カーボンドライプロテックは金属や樹脂の表面にカーボンを圧着させて素材そのものを保護するとともに、強度を向上させることができる技術である。フレームに施工することで、フレーム本体を飛び石などから守ることができるうえに、剛性もアップする。こうして、現代のハイグリップタイヤにも十分耐えられる車体剛性が得られているのだ。

アッパーカウルをノーマルの取り付け位置よりも下げたことで、小径の17インチホイールを装着したことでできるフロントフェンダーとアッパーカウル間の隙間を埋め、全体的に整ったフォルムに仕上げている。高いレベルでの完成度を見せるこのGPz1100。今回は機会がなかったが、ぜひその走りを間近で見てみたいマシンだ。

カスタムパーツギャラリー

フロントホイールに18インチを標準装備しているGPz1100。17インチに変更したことで、アッパーカウルとの間隔が大きく空くため、アッパーカウルの取り付け位置を下げて、見た目をよくする



カワサキ GPz1100 全体画像

アッパーカウルを下げたことで、外観のフォルムもまとまった印象を受ける。車体全体はカーボン地をそのまま活かしたカラーとなるが、マフラーは派手目な色にすることでアクセントをつける



アッパーカウルはオーナーが持ち込んだモノで、メーカー名は不明だが、カーボン製となる。ミラーはマジカルレーシングのカーボンミラーだ



メーターは永井電子のステッピングタコメーターウルトラをセンターに配置し、エースウェルのデジタルスピードメーターなどを備える。マウントパネルはワンオフ品だ



ブラケットはマッコイのステムキットを採用する。フロントフォークは倒立タイプのφ43mmだ。ハンドルバーは調整範囲が広いギルズツーリングを装着する



ガソリンタンクはビーターのアルミタンクで大幅な軽量化を行なう。タンクにはカーボンドライプロテックをほどこして、カーボン外装との調和を図っている



シート下はワンオフで小物入れのスペースなどを製作。点火ユニットはダイナ2000を使って、エンジンの仕様に合わせた最適な点火時期調整を行なっている



エンジンはφ76mmハイコンプピストンで1,197ccへとボアアップ。クラッチはアゲインがリリースしている乾式クラッチコンバージョンキットを使用する



ゴールドのマフラーはケイファクトリー製だが、車種専用品がないため他車用を流用し、一部加工を施して装着している。エキゾーストパイプの美しさが特徴だ



ブレーキマスターシリンダーはアクティブのゲイルスピード・エラボレートを装着。ハイスロキットやバーエンドはPMCオリジナル商品を装着している



アッパーカウル内に収める形でYSSのステアリングダンパーを装着している。高速走行時の不意なフロントの切れ込みを防ぎ、サーキット走行でも活躍する



フロントブレーキはサンスター・ワークスのφ320mmローターにAPレーシングのラジアルマウントキャリパーCP7853の組み合わせで制動力とコントロール性を両立



ホイールはイギリスのBSTカーボンホイール、ブラックダイヤモンドを装着している。車体重量の軽量化だけでなく、運動性能向上にも貢献している



ステップはウッドストック製で、極限まで肉抜きをほどこした美しいデザインが特徴で軽量化にも貢献。色はマフラーと同じくゴールドを選択している



リヤショックは同社が扱うYSSのMG506だが、GPz1100は車種設定がないため、リンクはワンオフで製作して、取り付けている



スイングアームはケイファクトリー製だが、GPz1100用はないため、長さや幅などはオーダーした特注品となっている。チェーンは520サイズを使う


「GPz1100 by PMC」の主なカスタム内容

エンジン総排気量 1,197cm3
ピストン アニーズφ76mm
カムシャフト ウェブカム
エキゾーストシステム ケイファクトリー
キャブレター ヨシムラTMR-MJNφ38mm
電装系 ゼファー750
ホイール (F)BST ブラックダイヤモンド 3.50-17 (R)BST ブラックダイヤモンド 6.00-17
タイヤ (F)ブリヂストンS20 120/70-17 (R)ブリヂストンS20 190/55-17
Fブレーキ キャリパー:APレーシング、ローター:サンスター、マスター:ゲイルスピードラジアルポンプ
Rブレーキ キャリパー:APレーシング、ローター:サンスター、マスター:ニッシン
ブラケット マッコイ
スイングアーム ケイファクトリー
Rショック YSS
ハンドルバー ギルズツーリング
ステップ ウッドストック
チェーン D.I.D
スプロケット XAM


問い合わせ
ピーエムシー
電話番号 : 0799-60-0101
Webサイト: https://www.win-pmc.com/


情報提供元 [ カスタムピープル ]

この記事にいいねする


コメントを残す

今回紹介したブランドはこちら

カワサキ GPz1100の価格情報

カワサキ GPz1100

カワサキ GPz1100

新車 0

価格種別

中古車 1

本体

価格帯 ―万円

万円

諸費用

価格帯 ―万円

万円

本体価格

諸費用

本体

43.8万円

価格帯 43.8万円

諸費用

9万円

価格帯 9万円


乗り出し価格

価格帯 ―万円

万円

新車を探す

乗り出し価格


乗り出し価格

52.8万円

価格帯 52.8万円

中古車を探す

!価格は全国平均値(税込)です。

新車・中古車を探す