
日本でも海外でも、バイクジャンルのひとつとして認知されるようになった「ストリートファイター」。簡単に説明するなら、超スポーティかつアグレッシブなネイキッドスポーツ系のことですが、近年はこれまで以上に過激なストリートファイターが国内外のさまざまなメーカーから発売されています。ではその中でも、とくにスゴいのはどの車種なのか? 最高出力をベースに比較します!
目次
ストリートファイターってどんなバイク?
ストリートファイター(日本では略して「ストファイ」とも……)は、レーサーレプリカ(現在のスーパースポーツ)のフェアリングを取り去った欧州での1980年代カスタムがルーツというのが定説。そこから発展して、1993年にドゥカティ・モンスター900、1994年にはトライアンフ・スピードトリプルがデビューして、量産車として新たなジャンルを切り開いていきました。
では「ストリートファイターとはどんなバイクのことなのか?」というと、じつは明確な定義はありません。そもそも公道はサーキットじゃないので、「公道で戦う(競争する)バイク」と言われても……。実際、現在のストリートファイターと呼ばれているバイクを見てみても、下は250ccクラスから上はオーバーリッタークラスまで、排気量もエンジンやフレームの形式も多種多様です。
でもまずは、フェアリングがほとんどなくネイキッドに近いスタイルであることがひとつの基準。また、リヤサスはシングルショックで、スポーティな車体構成が施され、攻撃的なルックスであることなどが、多くのストリートファイターに共通する特徴として挙げられます。
どのストリートファイターがスゴいのか?
ストリートファイターは、「公道走行を主題としながらスポーツ性を高めたカテゴリー」とも考えることができます。となると当然気になるのが、「じゃあ、どのバイクが速いのか?」とか「もっとも過激なのか?」という点。そこで今回は、国内外のメジャーなバイクメーカーが日本国内で2022年に新車発売しているストリートファイターをピックアップして、最高出力を基準にベスト5を選出しました。もちろん、馬力があれば必ず速い……というわけじゃありませんが、少なくともひとつの参考にはなるはずです。
ちなみに今回は、参考として車重も比較。「軽さは武器」とはよく言われる言葉で、バイクは軽いほうが運動性能には有利です。ランキングはあくまで馬力ベースですが、車重にも注目してください。なお、同じ車種に複数のバリエーションがある場合、基本的には限定モデルなどを除く上位グレードをチョイス。今回ピックアップしたモデルは、いずれもバリエーションによる最高出力の差はありません。
最高出力勝負では、“ストリートファイター”というまさにそのままの車名を冠したドゥカティがトップ。さらに、超高価なMVアグスタのブルターレが同じく208馬力で並び、カワサキのZ H2が200馬力で続いています。3位以下は混戦で、トライアンフとKTMが180馬力で並んだ状態。日本車勢2位はヤマハのMT-10です。なお、ホンダのCB1000Rは開発コンセプトがネオスポーツカフェなので含めていません。
【今回の対象車種】※2022年8月10日時点の情報をもとにしています
●ドゥカティ・Streetfighter V4S ●MVアグスタ・BRUTALE1000RR ●カワサキ・Z H2 SE ●トライアンフ・SPEED TRIPLE 1200RS ●KTM・1290 SUPER DUKE R EVO ●アプリリア・TUONO V4 Factory ●ヤマハ・MT-10SP ●ドゥカティ・Streetfighter V2 ●スズキ・GSX-S1000 ●カワサキ・Z1000
最高出力 | エンジン形式 | 車重 | 価格 | |
---|---|---|---|---|
Streetfighter V4S | 208ps/13000rpm | V型4気筒 | 199kg | 287万9000円 |
BRUTALE1000RR | 208ps/13000rpm | 並列4気筒 | 186kg(乾燥重量) | 539万円 |
Z H2 SE | 200ps/11000rpm | 並列4気筒+SC | 241kg | 220万円 |
SPEED TRIPLE 1200RS | 180ps/10750rpm | 並列3気筒 | 199kg | 203万円 |
1290SUPER DUKE R EVO | 180ps/9500rpm | V型2気筒 | 198kg(燃料を除く) | 249万9000円 |
TUONO V4 Factory | 175ps/11350rpm | V型4気筒 | 209kg(燃料90%搭載時) | 231万円 |
MT-10SP | 166ps/11500rpm | 並列4気筒 | 214kg | 218万9000円 |
Streetfighter V2 | 153ps/10750rpm | V型2気筒 | 200kg | 204万円 |
GSX-S1000 | 150ps/11000rpm | 並列4気筒 | 214kg | 143万円 |
Z1000 | 141ps/100000rpm | 並列4気筒 | 220kg | 118万8000円 |
<過激度ナンバー1>DUCATI・Streetfighter V4S
エンジンだけでなく車体や電子制御もスーパースポーツ譲り
スーパースポーツのパニガーレV4からフェアリングを取り除き、ワイドなバーハンドルを装着。1103cc水冷V4エンジンの最高出力をほとんど落とすことなくリセッティングして、上下2段で構成されるバイプレイン・ウイングなどで武装したのが、ドゥカティのストリートファイターV4シリーズです。
台数限定受注生産でベーシックグレードのV4やよりゴージャスなV4SPも存在しますが、日本でスタンダード仕様となっているのはオーリンズ製の電子制御サスを搭載したV4SP。コーナリングABSやトラクションコントロール、ウイリーコントロールやスライドコントロールなど、電子制御システムも精度に定評あるパニガーレ譲りです。
ちなみにバイプレイン・ウイングは、270km/hでの走行時に28kgのダウンフォースを発生するとのこと。カウルレスで270km/hの風圧に一般ライダーが耐えられるのか……と思わず考えさせられる公表数値です。
<過激度ナンバー2>MV AGUSTA・BRUTALE 1000RR
馬力もスゴいが、美しさと価格もかなりスゴい!
「モーターサイクル・アート」を標榜するのが、イタリアのMVアグスタ。美しいネイキッドの代表格となってきたブルターレシリーズの最新作として、2021年にデビューしたブルターレ1000RRは、伝統のラジアルバルブ(放射状配置バルブ)を継承した998cc水冷並列4気筒エンジンを搭載しています。このエンジンはチタン合金製のコンロッドや吸排気バルブ、DLCコーティングのタペットなどを採用し、最高出力はドゥカティのストリートファイターV4シリーズと並ぶ208馬力。車重は乾燥重量のみ発表されていて、こちらはストリートファイターより6kg重い186kgとなっています。
メインフレームはスチール製トレリス構造ですが、8段階+オフのトラクションコントロールや第3世代に進化した上下双方向対応のクイックシフター、コーナリングにも対応するABSなど、電子制御も充実。RSがメカニカルサスなのに対して、RRは電子制御式のオーリンズ製サスペンションを装備しています。
<過激度ナンバー3>KAWASAKI・Z H2 SE
スーパーチャージドエンジンで200馬力の大台に!
モーターサイクル部門だけでなく、航空宇宙部門やエネルギー・環境プラントカンパニーなどと綿密な共同研究を続けることで設計された、完全自社製のスーパーチャージドエンジンを搭載。公道走行に最適化された“バランス型”を名乗りつつも、998cc水冷並列4気筒エンジン+スーパーチャージャーで最高出力200馬力を叩き出します。
車体はスーパースポーツ由来ではなく、専用開発された鋼管トレリスフレームを採用。上級版のSEは、ショーワ製のセミアクティブサスペンションを搭載しています。もちろん電子制御も充実していて、6軸IMU(慣性計測装置)からの情報を制御に活用。車体はしなやかさも大切にしているため、サーキットでのポテンシャルはライバル勢に一歩譲るかもしれませんが、スーパーチャージドエンジンが放つサウンドも含めて過激さはたっぷり!
<過激度ナンバー4>TRIUMPH・SPEED TRIPLE 1200RS
※SPEED TRIPLE 1200RSの写真について誤った掲載があったため写真を変更しております。-2022/08/12-
中回転域トルクが太く、高回転域でも適度に伸びる3気筒
メーカー製ストリートファイターのパイオニア的な存在となってきたのが、英国トライアンフのスピードトリプル。最新型の1200RSは、1160cc水冷並列3気筒エンジンが最高出力180馬力を発揮します。スーパースポーツと直接的な関係性はありませんが、車体はアルミ製ツインスパーフレームと片持ち式スイングアームによる構成で、ハイグレードなオーリンズ製の前後サスやブレンボ製の前後ブレーキキャリパーも搭載。4気筒と比べて中回転域のトルクに厚みがあり、4気筒ほどではないものの上の伸びも十分で、電子制御も充実していて車重も軽め……と、実際の走行環境における戦闘力はかなり高めです。
<過激度ナンバー5>KTM・1290 SUPER DUKE R EVO
やや低めの回転域で180馬力を絞り出す!
挟角75度の1301cc水冷V型2気筒エンジンは中高回転域の瞬発力に優れ、なおかつ最高出力は180馬力。フレームはKTM伝統のクロモリ鋼管トレリス構造ながら、2020年型以降は剛性がかなりアップされています。EVOは2022年に追加されたモデルで、WP製の前後セミアクティブサスで武装。最高出力はスピードトリプルRSと同数値ですが、車体の軽さでは一歩譲ります。ちなみにDUKEシリーズは、1994年にスーパーモタード的なモデルとして620cc単気筒で歴史をスタートしましたが、その後にストリートファイター系にシフト。うまく世界のトレンドに乗っています。
この記事にいいねする
SpeedTriple写真違ってますよ
1290 SUPERDUKE R EVOの写真もEVOじゃないですね
B-KINGは?
カタログの数値比較するだけで記事書けるなんで羨ましい
えー面白い記事だけどなあ、少くともカタログスペック並べただけには見えないけど
よかったらミドルクラスとか低排気量ラインのも書いて欲しい