こんにちは! 今週の「WebikePlusスタッフが勧める意外といいぞ!」のコーナーです。

安くてカッコいいバイクを買ったので、意気揚揚と仲間に見せたら「ああ……コレ買ったのか……」なんて言われ、その言葉どういう意味!? と思いつつネットで調べたら「壊れやすい」だの「不人気」だのひどい言われよう。

(人気ないってマジかよ……だから安かったのかっ!?バイク屋はいいバイクって言ったのに……)

そんな経験ありませんか? だからってさっさと買い替えるのはちょっと待った。キラキラした大人気車ではなくても、どんなバイクも個性の塊。メーカーが「これは売れるぞ!」と意気込んで開発したバイクたちは、それぞれ独特の魅力を持っているもの。

そこで、人気はどうあれイイものはイイぞ! とゴリ押ししていくのがこのコーナー。人気モデルに乗ってりゃエライ時代は過去のもの、現代こそマイナーバイクを全力でお勧めしたい! と「マイナーバイク好き(自称)」のWebike+スタッフ・西田が独断でピックアップしたモデルを紹介していきます!

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かつてはストリートで人気だったバンバン

かわいいバイク」ってなかなかないカテゴリーなんですが、今回紹介するスズキ「バンバン200」は紛れもなくかわいいバイクと言いたいモデルです。のべーっとした妙に長い車体、やけに大きなマフラーとタイヤ。どんなバイクにも似ておらず、ちらっと見かけただけでも「あっバンバンだ!」とわかる個性的なスタイルながら、「すごく速いぜ!」「イカついぜ!」みたいなマッチョな押しはぜんぜんなし。そんなバンバン200はけして知る人ぞ知るマイナー車ではありません。むしろオシャレなストリートバイクとしてけっこうな人気がありました。2002年から2016年までという、14年もの間生産が続いたこともその証拠です。


2002年発売のバンバン200。太いタイヤに細身のボディで「トラッカースタイル」に似ているが、デザインの源流はその30年前に登場したバンバンシリーズから。ポップなデザインと足つきのよさは女性ライダーにも人気を博したモデルながら、2016年に生産終了。現在はトラッカースタイル自体が下火ということもあり、中古車相場も比較的安価だ。

ところがこのバンバン200、やはり「かわいい系」ということで性能重視なバイク乗りにとってはあんまり注目されないモデル。まあ確かに速そうでもタフそうでもありません。そのためか中古相場もかなり安めで、かつての人気モデルとはいえ現代ではなかなか注目されません。しかし、よくよく見てみればこれが意外とあなどれない! そのスペックや装備には、かわいいだけでは終わらない実戦的機能も備えているモデルなのです。今こそ「あえて」バンバン200を選ぶ、そんな理由を紹介していきましょう!

ストリートトラッカーブームに紛れ込んだ70年代のレジャーバイク

バンバン200の発売された2002年、バイクの世界には「ストリートトラッカー」のブームが到来していました。これはトラッカースタイルのヤマハ「TW200」が人気ドラマに登場したことで火が付いたブームで、TW200だけでなくホンダ「FTR223」、スズキ「グラストラッカー」といった、トラッカースタイルのミドルバイクが各メーカーから登場していた時代。そもそもトラッカーとは、アメリカで人気のダート(フラット)トラックレースに向けたカスタムを施されたマシンのことで、カウルのないスリムなボディに前後同径のホイールを装備、太い専用タイヤを履いた特徴的なスタイルのバイクのカテゴリーです。とはいえ、ドラマにあこがれてトラッカーを購入したライダーがこぞってダートトラックコースでレースをしていたわけではなく、あくまでトラッカー風マシンを街中で乗りこなすブームでした。このため「ストリートトラッカー」というジャンルが生まれたのです。

トラッカーブームの火付け役、ヤマハTW200はドラマにも登場し大人気となった。シンプルな車体構成からカスタムにも気軽に挑戦でき、サイドカバーやエアクリーナーボックスを撤去した「スカチューン」も流行。TWとは「トレイルウェイ」を意味しており、オフロードをトレッキングすることもできるモデルだった。

このようなブームの中、一見するとまさにトラッカーというべきデザインで登場したバンバン200。しかしそのルーツは70年代に存在していた「バンバン」シリーズにあり、トラッカーではないんです。巨大バルーンタイヤ(バギーなどに採用される、砂に埋まらない低圧タイヤ)を履いた2サイクルの小排気量レジャーバイクのシリーズであるバンバンは、モンキーやダックスといった他のレジャーバイクと同じく個性的なデザインがとてもポップで愛らしく有名になりました。バルーンタイヤを履いていることからもわかる通り、オフロード走行ができるというコンセプトのバンバンは、ブレース付きのワイドなハンドルやアップマフラーを採用しており、おまけにどこでも空気圧調整ができるハンディ空気入れもフレームに装備していました。

1971年発売のバンバン90が人気を博し、50cc、125ccと3つの排気量ラインナップで展開したバンバン。すべて空冷2サイクルのモデルで、50ccモデルは3段ロータリー4PS/6,000rpmとオフロードへ乗り込むにはやや頼りないパワーだったが、125ccでは5段リターンの11PS/6,000rpmを発揮。2サイクルエンジン特有の軽量さも相まって取り回しもよいレジャーバイクだった。

個性は残しつつ実用性は十分!

そんな70年代のバンバンシリーズのデザインを踏襲しつつ、モダンにアレンジがなされたのがバンバン200。ワイドなハンドル、極太タイヤ、アップマフラーといった装備に、アンダーボーンのような細身のボディも再現するべく、タンク位置も低く細長いものを採用しています。エンジンはオフロードモデル「SX200」に搭載された4サイクルの199cc空冷OHC単気筒をベースとした出力16PS/7,000rpmのもの。独特なデザインや装備のほかには特に複雑な特徴はなく、シンプルな構造により装備重量125kgとかなり軽量で、シート高770mmという低さで足つきも良好。初心者でも扱いに困るような部分はぜんぜんなく、見た目のかわいさで選んだエントリーライダーにも不安なく乗りこなせるスペックでした。

199cc、空冷OHC単気筒のエンジン。同系統のエンジンを搭載する「SX200」「ジェベル」などと同様に小型のオイルクーラーも装備している。出力は16PS/7,000rpmで高速走行は苦手だが、下道をとことこ行くには十分なパワーを発揮する。

非常にシンプルなメーターまわり。スピードメーターとオドメーターのほかはインジケータランプのみを装備。メーターのデザインはクラシカルでファンシーだが、トリップメーターや燃料計はないため、残燃料の管理は必要だ。

バンバン200の特徴のひとつである大きなサイレンサー。オフロード志向であった旧バンバンと同じアップマフラーだが、バンバン200では独特の丸い形状をしており、太いタイヤサイズも相まってリア周りの存在感を高めている。

しかしここで注目したいのはバンバンの実用的な側面です。ストリートトラッカーであるTW200やFTR223と比較されがちなバンバンですが、明らかに他モデルと違って素敵なのは巨大シート! たかがシートとあなどるなかれ、ロングツーリングにおいて常に体重がかかるシートのデザインは非常に大事。トラッカースタイルだとどうしても薄く小さいシートを志向することが多いのですが、その場合乗り心地や尻の痛みは犠牲となり、ロングツーリングにはとても不向きに。しかしバンバンのシートは分厚いワイドなもので、年式によってはステッチが入ったタックロールシートはお尻にやさしいデザイン。さらに全長もかなり長いので、体形や荷物のサイズに合わせて着座位置を変更しても違和感はありません。

ロングシートは発売当初こそステッチのないフラットな形状だったが、バンバン200Zというオプションモデルではタックロールシートを採用。厚みもあり着座位置を選ばないロングシートは、タンデムから荷物積載までなんでもこなせる。

タンク容量はやや小さ目の7.5L。旧バンバンではシート下に配置されていた燃料タンクだが、そのスタイルに近づけるための小型化か。ただし燃費はよいため困るほど航続距離は短くなく、ロングツーリングもこなすことができる。重心の低下にもメリットがあるデザインだ。

そしてエンジンはシンプルなオフロードモデルベース。これはツーリングマシンの名機として有名な「ジェベル200」にも同系列のエンジンが採用されていることからも、機械的信頼性とトルクの太さは折り紙付きです。残念ながらワイドタイヤの大きな抵抗の影響もあり、最高速度は伸び悩む部分があるようですが(ユーザーの声からは、100km/hも出すといっぱいいっぱい!とのコメントも……)80km/h程度の速度なら問題なく出せるパワーはありますし、むしろタイヤのおかげでフラットなオフロードなら走行も大丈夫。そして軽量な車体のおかげで燃費は49km/L(カタログ値)を発揮でき、スタイルのために犠牲となった小ぶりな7.5Lの燃料タンクでも長距離移動を可能としています。これはむしろ、スピードを出したくなるパワフルなエンジンではないからこそ、自然と快適な回転数を維持して走るようになるのが理由かもしれません。車体サイズはちょっと大きめの2100mm(全長)となっており、これはちょっとしたクルーザー並み。180/80-14というリアタイヤのサイズや、シート横に飛び出したでっかいサイレンサーも相まって、200ccとは思えないほどの存在感があります。しかし、特徴的デザインによって重心が低いため取り回しはラクラクです。

下道ツーリングにはピッタリの特徴を持つバンバン200。そのシルエットには威圧的なところがなく、どこへ行っても溶け込めるのも強みだろう。こんなにファンシーな風景も似合う!

つまり意外といいよ「バンバン200」

というわけで、「スタイルがかわいいストリートトラッカー」というカテゴリにはとどまらない特徴をもつバンバン200。下道ツーリングの相棒としては文句なしの性質を持っていると思います。確かに初心者でも心配のない優しい特性を持っていますが、「初心者向けモデルでしょ!」なんて決めつけてしまうのはあまりにもったいない。

つまりバンバン200は、

・「かわいい」風ながらツーリングでは信頼できるスペック!

 

・でっかい見た目に反して軽量で取り回し良好!

 

・「トラッカー」でもない「バンバン」という個性のかたまり!

という「意外といい」モデルなのです。ところでこの「バンバン」って名前もまたかわいいですよね。「オフロードもばんばん走ろう!」という意味合いなのかもしれませんが、こういう(ちょっと安直な)覚えやすいネーミングのバイクって最近あんまりありません。そんな名前の似合うかわいい系バイクの後継モデル、ばんばん登場すると嬉しいんですが。

バンバン200諸元(2002)

全長 (mm) 2100
全幅 (mm) 855
全高 (mm) 1120
シート高 (mm) 770
装備重量 (kg) 125
エンジン種類 空冷4ストロークOHC2バルブ単気筒
総排気量 (cm3) 199
最高出力 (PS/rpm) 16/8,000
最大トルク (k-gm/rpm) 1.5/7,000
燃料タンク容量 (L) 7.5
変速機形式 5速/リターン式
タイヤ 130/80-18
180/80-14
ブレーキ 油圧式シングルディスク
機械式ドラム
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