国内4メーカーはいずれも、フルカウルを装備した250ccクラスのスーパースポーツを展開中。現行モデルとしては、カワサキが2機種あるので5機種から選ぶことができます。ではその中で、どのバイクがよりスポーツ走行向きなのか? 公道ではなにかと制約も多いので、走行会参加レベルのサーキットユースと仮定しつつ比べてみました!

250ccクラスはサーキットデビューにも最適!

愛車のポテンシャルを100%解放して走らせるなら、いわゆるサーキットなどのクローズドコースがイチバン。日本の法定速度だと、かなりマイルドな性能のバイクだとか、高速道路で敢えて低いギヤを使うなどの走り方を除けば、合法的にエンジン性能を使い切って走ることはまず不可能。でもサーキットなら、基本的に速度リミットはありません。公道でバイクを“トバして”走ると怒られますが、速く走らせると褒められるのがサーキットなのです。

さて、そんなサーキット走行には250ccクラスのスーパースポーツで参加している一般ユーザーも多くいます。このクラスの魅力は、ある程度の広さがあるサーキットなら、本当にエンジン性能を使い切って走れるところ。200馬力超のリッタースーパースポーツをフルスロットル……なんて、サーキットでも一部の上級者に限られますが、35~45馬力程度の250ccクラスなら多くのライダーが可能です。それでいて、速すぎないのでコワさはありません。

また、リッタークラスと比べて車重は軽めでタイヤは細く、高速域でも軽快に操れるというメリットも。サーキット走行ではタイヤやブレーキパッドが早く減りがちですが、250ccクラスはリッタークラスと比べてランニングコストも低めです。

そんな250ccクラスのスーパースポーツでサーキット走行を楽しむなら、どのバイクが楽しいのか。2022年7月現在で現行モデルの中で候補に挙がるのは以下の5台になります。
ホンダ・CBR250RR
ヤマハ・YZF-R25
スズキ・GSX250R
カワサキ・Ninja ZX-25R SE
カワサキ・Ninja250

ここでは、性能と装備と価格に着目してベスト3を紹介します!

各車の数値や装備をグラフ化してみると……

  最高出力(PS) 車重(㎏) 価格
Ninja ZX-25R SE 45 184 93万5000円
CBR250RR 41 168 82万1700円~
Ninja250 37 166 65万4500円
YZF-R25 35 169 66万8800円
GSX250R 24 181 56万9800円~

上の表を見てまず分かるのが、クイックシフターやトラクションコントロールを装備して最高出力もライバルを上回るNinja ZX-25R SEと、2気筒勢ではもっともパワフルでオプションによりシフターを装備できるCBR250RRが、このクラスではちょっと抜きん出た存在だということ。

3番目のモデルとして選ぶのにNinja250とYZF-R25は迷いどころですが、より馬力がありわずかながら軽くて廉価なNinja250のほうが、僅差ながらサーキットで楽しめる要素は多そう……という結論に至りました。

GSX250Rはスタイルこそスーパースポーツですが、開発コンセプトがライバルとは違いスポーティさよりも扱いやすさに重点が置かれたモデル。フラットな特性のエンジンでまったりツーリングするのにはとてもいいバイクですが、車重もあるのでサーキットでは加速に物足りなさを感じるかもしれません。

<おすすめ1>カワサキ・Ninja ZX-25R SE

フォ~ン……と回る超高回転型エンジンと快感シフター

45馬力の最高出力はクラス最高レベルですが、それ以上に注目したいのは現行モデルではクラス唯一の4気筒エンジンを搭載しているところ。サーキットでそのポテンシャルを解き放てば、それほど速いレンジでなくても、レーシーな甲高い4気筒サウンドを楽しめます。

上級仕様のSEなら、シフトアップ&ダウンの双方向に対応するクイックシフターを標準装備。ダウン側はもちろんオートブリッパー機能付きで、チェンジペダルを踏むだけで「フォン、フォ~ン……」とスムーズなシフトダウンが可能です。この快感、サーキットで味わったら病みつきになりますよ!

またZX-25Rは、スタンダード仕様を含めて3段階+オフに調整できるトラクションコントロールを標準装備。45馬力なのでスロットルをワイドオープンしてもリヤタイヤが滑るシーンはかなり少なめですが、サーキット走行でも少し介入するようにしていると安心感を得られるアイテムです。

<おすすめ2>ホンダ・CBR250RR

実質的な速さはクラストップ!? 軽さとツインの力強さ

スロットルバイワイヤシステムの採用と、これを活かしたライディングモード(3タイプ)の搭載、倒立フロントフォークやより本格的なスーパースポーツに近い車体ディメンションなどで、2017年5月にデビューしてこのクラスのレベルを引き上げる立役者となったのがCBR250RR。さらに2020年9月には、Ninja ZX-25Rの登場に対応すべく最高出力が3馬力アップの41馬力に引き上げられ、アシストスリッパークラッチが新搭載され、オプションパーツにはアップ&ダウンの双方向に対応するクイックシフター(2万5300円)も追加されました。

超高回転域で伸びてパワーを絞り出す4気筒エンジンに対して、CBR250RRは水冷並列2気筒エンジンなのでもう少し低中回転寄り。トルクは4気筒のZX-25Rよりも太く、このような点からシフトミスなどに対する許容度はZX-25Rよりは少し大きめとも考えられます。

ちなみに、全日本ロードレース選手権で併催されているMFJ CUP JP250という250cc市販スーパースポーツをベースとしたレースでは、CBR250RRが圧倒的に有利な状況が続いてきました。

<おすすめ3>カワサキ・Ninja250

価格控えめ。セカンドバイクにも向く軽量ツイン

かつての2ストVツインや4スト4気筒の“レーサーレプリカ”が、環境規制強化の影響で全滅した後に、新時代のフルカウル250ccカテゴリーを切り開いたのがニンジャ250R。その進化版となるのが現行のニンジャ250です。2018年型でのモデルチェンジにより、大幅なパワーアップを達成。同じ水冷並列2気筒レイアウトのエンジンを積むCBR250RRには届きませんでしたが、ヤマハのYZF-R25を超える37馬力の最高出力を達成しました。

このモデルチェンジでは車体も完全刷新され、先代比8kgの軽量化も達成。現行の国内メーカー製250ccスーパースポーツでは最軽量で、これもサーキットでの楽しさにつながります。軽さは運動性能向上につながりやすいからです。

また、ライディングモードやクイックシフターなどの電子制御を省いたシンプルな設計により、新車価格は2022年モデルで65万4500円と、CBR250RRよりも約17万円、SE仕様のニンジャZX-25Rより約28万円もリーズナブル。ツーリング用のバイクとは別に、サーキット&スポーティツーリング用のセカンドバイクとして購入することを検討しやすい価格設定なのも魅力です。

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