
こんにちは! 今週の「WebikePlusスタッフが勧める意外とイイよ」のコーナーです。前回のZZR250はカッコよかったですよね!? 今週もカッコいいモデルを推しますよー!
安くてカッコいいバイクを買ったので、意気揚揚と仲間に見せたら「ああ……コレ買ったのか……」なんて言われ、その言葉どういう意味!? と思いつつネットで調べたら「壊れやすい」だの「不人気」だのひどい言われよう。

そんな経験ありませんか? だからってさっさと買い替えるのはちょっと待った。キラキラした大人気車ではなくても、どんなバイクも個性の塊。メーカーが「これは売れるぞ!」と意気込んで開発したバイクたちは、それぞれ独特の魅力を持っているもの。
そこで、人気はどうあれイイものはイイぞ! とゴリ押ししていくのがこのコーナー。人気モデルに乗ってりゃエライ時代は過去のもの、現代こそマイナーバイクを全力でお勧めしたい! と「マイナーバイク好き(自称)」のWebike+スタッフ・西田が独断でピックアップしたモデルを紹介していきます!
前回記事はコチラ!
世間的には「空冷ビッグシングルの真骨頂」といえばヤマハ「SR400」! という雰囲気、あるのではないでしょうか。2021年のファイナルエディション発売の際は全国のファンが涙しましたね。しかしそのほかにも、さまざまなメーカーから「打倒SR!」とでもいうべき同クラスのモデルは登場していました。しかしいずれもSRの牙城には歯が立たず消えてゆき……今回紹介するホンダ「CL400」もその中のひとつ。モデルチェンジもせずに、たったの3年で消えていったこのモデルの生産終了年を知っている人がどれほどいるのか。涙した人はいるのか?
もちろんマイナーで、中古車市場でももはや少ないこのモデル。でもよく見てみると実に渋い、いいバイクなんです。今週はこのCLを紹介していきましょう。
話は戻ってヤマハ「SR400」。1978年発売から2021年まで、空冷シングルモデルのお手本として君臨した超有名モデル。トライディショナルなスタイルを生かすもよし、カスタムするもよしで、初心者からベテランまで幅広く魅了していました。
しかし90年代、にわかに巻き起こったクラシックブームの中でホンダが400ccの同クラスに投入したのが、1998年に発売のスクランブラーモデル「CL400」です。
1998年登場のCL400。この「400cc空冷単気筒」のカテゴリでは唯一無二のスクランブラー。無駄にスカしたカッコつけがないシルエットはとにかくシンプルで、他のスクランブラーモデルとはどこか違う国産ネイキッドのにおいを感じるデザイン。
目次
スクランブラー「CL」シリーズとは
そもそも「CL」はこれが初登場というわけではありません。1962年にホンダが発売した「ドリームCB72」を、オンロードとオフロードを両方走れるモデルにしよう! と登場した「ドリームCL72」がその最初。まだオフロードマシンという専用車両はなく、オンロードモデルにアップハンドル、アップマフラー、フォークブーツ、エンジンガードなどを装備し、ブロックタイヤを履いた「オフロードでも走れる」オンロードモデルという「スクランブラー」でした。
ロードモデル「CB72」のスクランブラーモデル「CL72」は1962年発売。ホンダ初のオフロードモデルでした。
当時は高度経済成長期の真っ只中とはいえ、舗装道路がまだまだ少ない時代で(1970年の時点で、全国の道路舗装率はなんと15%! 国土交通省より)、ただツーリングや買い物に行くだけでもオフロード走行が必要だったころ。スクランブラーモデルは人気となり、ホンダCLも排気量ごとに新モデルが投入されました。下駄替わりの50ccからスポーツライディング用の450ccまで幅広くカバーされ、オンのCB、オフのCLという存在感を発揮していたのです。
その後本格的なオフロードモデルが登場し、モトクロスやラリーが盛んになるにつれて衰退していったスクランブラーモデル。「CL」も消滅していたわけですが、このネーミングを復活させたのが「CL400」でした。
往年のデザインを継承しつつリファイン。エンジンはオフモデル譲りの扱いやすさ
1997年の第32回東京モーターショーに参考出品されたCL400は、好評を受けて1998年に発売。空冷ビッグシングルの心地よい鼓動を感じながら市街地やワインディング走行を楽しもうというコンセプトで、オフロード走行は想定せず。ですから本格的なオフ装備はまったくありません。
しかしスクランブラーだった先祖のデザインを汲み、完全なアップではない「セミアップ」ツインマフラー、丸っこいシンプルな燃料タンク、フォークブーツなどを装備し、前後フェンダーはメッキのスチール。シルバーとブラックをベースとしたカラーリングはド派手な主張こそありませんが、過去の栄光を背負ったモデルらしい落ち着きです。
特にマフラーの美しさは特筆もの! こんなにカッコいいマフラー配置のバイクってなかなかありません。スクランブラーのラインナップが充実してきている現代にあっても、排気系統は「アップならいいんでしょ?」といわんばかりのものもある中、直線基調でシリンダーヘッドからスーッと伸びるエキゾーストパイプといい、キャブトンマフラー風のくびれのあるサイレンサーといい、洗練度合いは並ぶものなし!
CL72を思わせる丸いタンク、ハードユースに耐えるフォークブーツ、そして独特の曲線を描くエキゾースト。
単気筒4バルブのヘッドから延びる2本出しのエキゾーストは、他にこんなのあるか!? といいたくなる個性的デザイン。サウンドは歯切れのよい単気筒らしさ。
キャブトン風のくびれるサイレンサー。ガード付きですがそんなに派手ではないので、むしろシティコミューター的な雰囲気。
オンからオフへ進化したご先祖のドリームCL72とは逆に、CL400はエンデューロレース用モデル「XR400」のエンジンをベースとしたもので、空冷SOHCの4バルブ。ホンダ製の空冷単気筒エンジンとしては1985年発売の「GB400」以来のもの。29PS/7,000rpmの出力を発揮。ボア&ストロークは85.0mm×70.0mmで、SRよりもロングストロークのトルク感の強い性質。低中回転を扱いやすくコントロールした、街乗りにピッタリの性能です。始動はキックスタートオンリーながら、キックを軽くするオートデコンプを搭載。シート高も高すぎず低すぎない795mmと、使い勝手のよさはバッチリでした。
空冷単気筒SOHC4バルブのエンジン。始動はキックオンリーでした。そこをSRと同じにする必要はあったんでしょうか? というのは疑問。後のCB400SSではセルがつきました。
メーターはスピードのみで、インジケーターもウィンカー、ニュートラル、ハイビームの3つだけと非常にシンプル。数字はイタリック体でオシャレ感を出しており、90年代風のファッショナブルさだなあとも思いますが、今見ると逆に新鮮。最近こういうフォント見かけましたか?
残念! 当時から人気はいまひとつ……
というわけで「デザインカッコいい」「使い勝手もよし」とイイとこ尽くしだったハズのCL400。ホンダはこのコンセプトに自信があったのか、同時期に50ccでも「CL50」を発売してスクランブラー復権の雰囲気を形作ったものの……スクランブラーブームには早すぎたのか、SRの対抗馬と呼べるほどの人気は出ず。おまけにホンダ自身から、CL400をベースとしたロードスポーツモデル「CB400SS」が2001年に登場するに至り、CL400はモデルチェンジもカラー追加もされることなく2002年にはそっと生産終了しました。
CL400から派生したCB400SSは、シンプルなロードスポーツとして人気モデルとなり2007年まで販売。「CL? ああ、CB400SSのオフロードモデルね……」と時系列を逆に覚えられることもあり、スッカリCLは陰に隠れてしまいました。
つまり意外とイイよ「CL400」
というわけでCL400の魅力(と悲しみ)を説明してみたわけですが、要するにCL400は

・綺麗なデザインは唯一無二で、とくにエキゾーストには注目!
・街乗りで活躍する低回転の力強さ!
という素敵バイクなんです! しかし後発の「CB400SS」はSRと戦える同じコンセプトのモデルとしてヒットしたものの、対してCLはもはやレア車のたぐい。しかし、最近こんな記事を発見してしまいました。
https://news.webike.net/motorcycle/230603/
なんとCL復活とは。これが実現すれば、今度こそCLの雪辱を拭う名機になるかもしれません。とはいえ、とはいえです。「空冷単気筒の、美しい二本出しマフラー」のアーバンスクランブラーはやっぱりCL400だけ。新型CLが話題になりそうなこれからこそ、あえて選んでみたいモデルです。
CL400諸元(1998)
全長 (mm) | 2175 | |
全幅 (mm) | 825 | |
全高 (mm) | 1135 | |
シート高 (mm) | 795 | |
重量 (kg) | 155 | |
エンジン種類 | 水冷4ストロークOHC4バルブ単気筒 | |
総排気量 (cm3) | 397 | |
最高出力 (PS/rpm) | 29/7,000 | |
最大トルク (k-gm/rpm) | 3.5/5,500 | |
燃料タンク容量 (L) | 12L | |
変速機形式 | 5速/リターン式 | |
タイヤ | 前 | 90/100-19 |
後 | 110/90-18 | |
ブレーキ | 前 | 油圧式シングルディスクブレーキ |
後 | 機械式リーディングトレーディング |
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