GPXジャパンが主催する2022モデルの試乗会が4月22日に桶川スポーツランドで開催されたのでその模様をレポート。そんなGPXの2022年の目玉となるモデルは、LEGEND250TWIN III(レジェンド250ツイン III)。従来のキャスト製からスポークホイールとよりクラシカルな装いで登場した。

photo by AtsushiSekino

GPXはタイ国内で第3位のバイクメーカー

GPXとは、タイのバイクメーカーで歴史こそ10年と浅いものの、登場以来目覚ましい成長を遂げている。タイをはじめとする東南アジアでは、近年バイクが“日常の足”としてだけでなく、趣味の乗り物として大きな盛り上がりを見せている。そんななか、GPXはタイ国内において、なんとタイホンダ、タイヤマハに続く第3位シェアを誇るメーカーに成長しているという。

日本国内へは2019年から、月木レーシングが母体となるGPXジャパンが輸入をスタート。ひと昔前に比べて随分、ベースの価格が上がってしまったバイクをもっと多くの人に手軽に楽しんでもらいたいと、“品質”と“価格”のバランスの良いモデルをチョイスして国内導入している。そんなビギナーのファーストモデル、またリターンきっかけとしてのスタンスが受け入れられて、販売拠点は現在全国に取り扱い店舗を含めて30ヶ所まで増えている。

そんなGPXの2022年の目玉となるモデルは、LEGEND250TWIN III(レジェンド250ツイン III)。既存のレジェンドシリーズの進化版で、従来モデルのレジェンド250ツイン“II”からブラッシュアップされ、キャストホイールからスポークホイールとなってよりクラシカルさがアップ。この他、メーターの耐候性を高めたり、クラッチの強化&操作性アップのためにクラッチスプリングを4本から6本に改変するなど基本性能が向上している。なお、そんな製品の品質向上のためのフィードバックも、月木レーシングが培ってきたサーキットノウハウを生かし、積極的に行っているそうだ。


レジェンド250ツインIIIのカラーバリエーションは、ホワイト、ブラック、ガンメタの3色展開

ブリティッシュスタイルを感じるレトロなスタイリング

スポークホイールにティアドロップタンク、空冷フィンの美しいエンジンにツインショックなどなど。クラシックの王道ともいえるスタイリングにまとめ上げられている。しかも感心するのは19インチサイズのフロントホイールではなく、前後17インチホイールを採用しているところ。

走りは現代的なロードスポーツディメンションを採用しながら、クラシカルな雰囲気には一切の妥協がない。250ccクラスで、なかなかここまでの“正統派”を貫くクラシックモデルはなく、特にスチール製の前後のフェンダーには並々ならぬこだわりを感じる。

【販売価格】533,500円(税込/7月発売予定)
【全長/全幅/全高】 2,040mm/785mm/1,120mm 【車両重量】156kg
【軸間距離】 1,340mm 【最低地上高】 180mm

コンパクトで扱いやすい車格


【シート高】790mm
前後ホイールをロードサイズをクラシック系の定番である19インチではなく17インチとすることで、コンパクトな車格を実現。現行の250ccモデルのなかでも扱いやすい車格にまとまっている。シートの跨り部分はそれほどスリムというわけではないが、790mmの低めのシートのおかげで、172cmの筆者の場合踵がぎりぎり両方つくくらいの足つき性だった。写真は、レジェンド250ツイン IIIと同形状のレジェンド250ブライトン。

本格クラシックながら走りも良かった! -実走インプレッション

分厚い中低速トルクとコーナーも楽しめる車体

エンジンをかけてちょっと驚いてしまったのは排気音の野太さだ。最近の250ccクラスは、単気筒だけでなくツインエンジンも増えてきたが、どうも排気音が軽いというか“音の質感”に欠けるモデルが多い。ところがこのレジェンド250ツインIIIはどうだ。サウンドに重低音が効いているというか、厚みがあるというか、なかなかに心地よいエキゾーストノートを奏でてくれる。

走り出すと、この野太いサウンドをそのままエンジンキャラクターにしたような、力強いトルクが感じられた。なかなかテイスティな空冷エンジンで最高出力発生回転域も8000回転と低め。走りのキャラクター的にも最高出力発生回転域あたりを常用して楽しむスポーティなエンジンではなく、あくまで2000~5000回転くらいの低めの常用回転域で力強い加速を楽しむタイプのエンジンになっている。クラシカルな見た目どおり、トコトコと流して走るのが楽しいクラシカルなキャラクターになっている。

...のだが、今回の試乗はクローズドコース。しかもバイクを右へ左へこねくり回して走るようなタイトなコーナーが続くミニサーキット。自ずと周回するごとにペースが上がり、目が吊り上げてレーコードラインを狙い始めてしまうのは致し方ないだろう(笑)。ただびっくりしたのは、このレジェンド250ツインIIIというクラシックなスタイリングのバイクは、こんなミニサーキットを走らせても結構楽しめてしまったのである。

確かにちょっとコーナリングスピードを上げればステップを擦り始めるし、もともとの車体キャラクターがサーキット向きではないのは重々承知。...ではあるのだが、前後17インチのロードセクション向きのホイールサイズ。それに前後のサスペンションが乗り心地重視というよりは若干スポーツ寄りのセッティングが施されているからだろう、思いの他こんなテクニカルなコースが楽しく走れてしまう。これ見よがしに取り付けられている倒立フォークとリザーバータンク付きのリヤショックは伊達ではないというわけだ。


しっかり腰を落としてバンクを稼ぎ、そのぶん車速を上げてみる。当然フレームにはより大きな応力がかかるのだが、意外に車体が音を上げないのである。フレームはクラシカルなセミダブルクレードルタイプであり、がっつり遠心力をかければ大きくしなりはするものの、へこたれることなくしっかり応力を受け止めている。

これだけの力強い低中速のエンジントルクに、コーナリングでへこたれないスポーツ性の高い車体が与えられていれば、エンジントルクにものを言わせてワインディングを駆け抜けるのが、さぞかし楽しいことだろう。

クラシカルな見た目と、扱いやすさからくる意外に高いスポーツ性。レジェンド250ツインIIIは、その値段の安さばかりに目を奪われがちだが、安かろう悪かろうの“ひとまず”のエントリーモデルではなく、きちんと味わいのある“趣味の乗り物”として作り込まれているのを感じた。

ディティール


クラシカルなデザインと先進性をミックスしたLED光源の丸目ヘッドライト。マルチリフレクターではあるが反射部をうまくカットレンズ風にしてクラシカルテイストアップ。


シンプルなメーターには、速度計、タコメーターといった基本的な装備に、時計や燃料計を組み合わせた。“II”から“III”ではメーターパネルの耐候性がアップしている。


ハンドル幅785mmのシンプルなコックピット。ポジションはクラシカルな見た目どおりアップライトに設定されており、丸一日走り回ってもポジションで疲れることはないだろう。



タンクは250ccクラスとしては大容量の14.5lを確保。クラシカルの王道であるティアドロップ形状とし、サイド部分のエンブレム&ラバーパットでレトロな雰囲気をさらにアップ。


エンジンはバーチカル(直立)ではなく、若干前傾した並列2気筒エンジンを採用。低速から力強いトルク感が味わえる一方で、意外と伸びもよくミニコースレベルのサーキット走行なら十分に楽しめる。
【エンジン形式/排気量】水冷4ストSOHC並列2気筒/234cc
【最高出力】16ps(12kW)/8,000rpm
【最大トルク】15Nm(1.53kg-m)/6,500rpm


6速エンジンは、“II”から“III”へのモデルチェンジでクラッチ周りを強化。クラッチスプリングを4本から6本にしたことで、クラッチの耐久性と操作性をアップさせている。


フロントタイヤは17インチサイズを採用し、なんと倒立フォーク&ダブルディスクも装備。レーシングスペックではないが、ファンライドレベルのスポーツ走行ならそこそこ楽しめてしまう。
【フロントタイヤサイズ】110/90-17


ダブルディスクは型押しタイプの2ポットキャリパーをダブルで装備。コーナー減速で心置きなくフロントブレーキを握り込めるのは、剛性面に優れる倒立フォークならではの恩恵。
【フロントブレーキ】片押し2ポット/ダブルディスクφ276mm



前後一体型のシートは、パイピング加工が施されたクラシックスタイル。グラブバーも標準装備し、二人乗り時はもちろん荷物を積載する際にも非常に便利そうだ。


クラシックスタイルのツインショックだが、ショックアブソーバーは別体タンク付きのYSSブランド品を採用し、プリロード調整も可能。セッティングも若干スポーツ寄りの印象を受けた。


フロントフェンダー&リヤフェンダーはスチール製で非常に雰囲気がある。とくにリヤ部分にプラスチックを極力使わないこだわりは、もはやあっぱれとしか言いようがない。


メガホンタイプのマフラーが奏でるサウンドは、野太いものの決してうるさくなく耳障りがいい。しかも、これでサウンド通りの太いトルク感が味わえるのだから申し分なしというところ。
【リヤブレーキ】片押し1ポット/ディスクφ220mm
【リヤタイヤサイズ】130/90-17

国内150台限定の“ブライトン”は発売中


レジェンド250ブライトンのディープブルー

レジェンド250ツインIIIよりも一足先に発売されているGPX・LEGEND250 Brighton(レジェンド250ブライトン)。性能については、今回紹介した“III”と全く同じながら、ツートーンカラーにゴールドフロントフォークアウターチューブといった特別仕様で、国内150台限定のモデルとなっている。価格はレジェンド250ツインIII比で、わずか8800円アップでこの上質装備であればかなりお買い得といえよう。なお、GPXジャパンのサイトでは、ブリティッシュグリーン、ディープブルーのカラーリングごとの在庫残数チェックが可能だ(2022年4月25日現在)。


黒、白、ガンメタと、おとなしめのレジェンド250ツインIIIの配色に比べ、レジェンド250ブライトンには鮮やかなブリティッシュグリーン、ディープブルーが採用されている。
【販売価格】542,300円(税込)


タンクカラーがツートーン仕様となり、給油口の前に“Brighton”のペイントが入る。ちなみにブライトンとはイギリス南部にある海浜リゾート地の名前。写真はブリティッシュグリーン。

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コメント一覧
  1. カフェレーサーに憧れて より:

    惜しむらくはメーカーの名前だ。ハーレー、ホンダなどと聞けば即座にバイクをイメージするというネームバリューがこのGPXにはない。これからはそれで損をするだろう。世界に打って出る知名度の低い今こそまだ変更が効くと思うので誰か(ウェビックさん)が提案してネーミングの重要性を検討した方がいいと思う。世界戦略的には神話からの引用がいいと思う。ケンタウルスモータースとかアキレスとか二輪に相応しくて速そうな名前がいい。

  2. とら より:

    結構価格が上がってきたなぁ……このご時世だからしょうが無いとは思うけど。

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