
大阪モーターサイクルショーでホンダがホーク11(イレブン)を世界初公開し、東京や名古屋のモーターサイクルショーにも展示された。東京には開発メンバーも集結したので緊急インタビューを決行。気になる質問を投げかけてみた。
ホンダのホークといえば1977年のホークIIを思い出すベテランライダーが多いが、今回のホーク11は国内ではそれ以来のモデル。当時と佇まいの異なる姿に賛否両論が巻き起こっている。
目次
2気筒のオンロードスポーツモデルが「ホーク」の定義です
Webike:まず、ホーク11の狙いを教えて下さい。
吉田:ベテランライダーの方々に数値とか出力ではなく、純粋に乗る喜びを味わってもらいたい。また、乗るだけではなく、バイクを眺めたり磨いたりという喜びも感じていただきたいと思いホーク11を開発しました。
写真右からホーク11デザインPLの田治健太郎氏、開発責任者代行の吉田昌弘氏、国内企画営業領域担当の常松智晴氏に話を聞いた。
Webike:ネーミングの由来を教えて下さい。
吉田:昔の話になりますが、ホンダの2気筒のロードバイクに評価の高かったホークIIがありました。そのネーミングを復活させることによって、今回も2気筒のロードバイクということをアピールしたいと考えました。
Webike:2気筒というところが大きいのですね。
常松:日本でホークはネイキッドの歴史がありましたけど、海外ではツインのロードスポーツに使われるネーミングです。アメリカですとスーパーホーク996、日本ではファイアーストームですが、そういった歴史からもバイクの形がホークの条件ではなく、「2気筒のオンロードスポーツモデル」がホンダではホークというところがあります。
歴史がずっと続いていた訳ではないですが、大切にしたいプロダクトブランドとして、日本でもこのタイミングで発売に至りました。
日本名「ファイアーストーム」は、北米では「スーパーホーク」というネーミングで1997に発売されたモデル。エンジンはV型2気筒995cc(995.7cc)。ホーク11はこれに近い存在と言えそう。
ホーク11は、外観からアフリカツインの1082ccと思われる並列2気筒エンジンを搭載。同車は102PSの最高出力となるが、ファイアーストームの93PSと近い。ファンライドを楽しむには十分だ。
ホーク「11」はホーク「II」に寄せてませんか?
Webike:日本のベテラン層ではホークIIのイメージが大きいですよね。なので、ホーク「11」と表記して「II」に寄せてるのでは?
吉田:それはデザイナーの遊び心ですね! ロゴを担当したデザイナーの狙いでもあります。「11」の書体も鷹(ホーク)のクチバシをイメージした形にして拘っています。目も入れようかというアイディアもありましたが、それはなくなりました。
常松:11(イレブン)自体は排気量の表記ですけど、「II」っぽく見えると現場では盛り上がっていましたね!
ホーク11のサイドカバーのロゴはこのようにデザインされており、11がIIにも見えるように狙っていることが判明。さらにクチバシ形状になっていたとは…。
ベテランライダーにアピールするためにロケットカウルを採用しました
Webike:ロケットカウルにしたのは何故ですか?
田治:ベテランライダーの方が乗っていてアピールできるスタイルにしたかったので、ロケットカウルという昔からあるバイクのスタイルを持ってくることにしました。
Webike:大変失礼な表現になりますが、おじさんホイホイ的な…?
常松:否定はしません…。若者向けに業界を挙げて色々な施策をやっていて、製品もたくさんありますが、今の日本のバイク業界を支えて下さっているのは、50~60代の世代の方々です。そういったベテランの方々に向けた提案がホーク11になります。
単に速ければいい訳ではなく、排気量が大きければいい訳でもなく、それでも走る楽しさは必要。このバイクに乗っている人はこういう方なんだろうなという、感じさせるのがロケットカウルのスタイルだと思います。
Webike:ロケットカウルの形にモチーフはありますか?
田治:モチーフは特にありません。ロケットカウルのスタイリングというと昔ながらのバイクを彷彿とさせると思いますが、水平基調は凄く重要にしたポイントです。単純に昔っぽいバイクを作ってしまうとレトロなバイクだと思われてしまうので、モダンな面質を与えることで現代風にアレンジしています。
ロケットカウルと言えば丸目のヘッドライト。シルバーに塗られた部分が水平基調になっている部分となる。ミラーはバーエンドマウントとせず、カウルステーに固定されている。
モダンな面質はタンクにも与えらえれており、燃料キャップ部分はタンク本体だが、エッジの効いた両サイドはタンクカバーになっている。
DCTのラインナップや価格、発売時期は?
Webike:DCT仕様は用意しないのですか?
吉田:まずは、ベテランライダーの方に原点に返っていただきたいと考えています。クラッチ操作をする楽しみを味わって欲しいですね。
Webike:マニュアル(MT)専用機?
吉田:今はそうですね。
常松:軽くしたいというのもありました。価格も上がりますし。
Webike:価格面でも期待できそうですね。発売時期はいつ頃ですか?
常松:価格はご期待下さい。発売時期もそれほどお待たせいたしません。
ライダーの身長は170cm。セパハンはトップブリッジの下にマウントされているため、ライディングポジションは前傾気味。スーパースポーツほどきつくはない。
ライダーの体重は65kg。両つま先が接地するので不安感はない。
こちらは同じライダーのNT1100での足つき写真。NT1100のシート高は820mmとなるが、同程度の印象だ。
ホーク11製品概要
ホーク11は、ベテランライダーに向けた新たな提案となる日本向けの大型スポーツバイク。
エンジンには、6速MTの並列2気筒1082ccユニットを採用。低速から幅広く使えるトルクと高回転までスムーズに回る特性に加え、ダイレクトなレスポンスに寄与するスロットルバイワイヤや、走行状況や好みに合わせて出力特性を選択できるライディングモードなどの電子制御を搭載している。
車体は、セミダブルクレードルフレームに前後17インチホイールを組み合わせ、セパレートハンドルによる前傾姿勢のライディングポジションとすることで、ワインディング走行を楽しめるディメンションとした。
スタイリングは、一体成型FRP製のロケットカウルを採用。ボディー前後方向にわたる水平方向のラインとタンクとシートを分ける垂直方向のラインとの交差を基調としたデザインで、これまでのホンダにはないスタイル重視の仕上がりになっている。
フロントフォークはSHOWAのSFF-BPを採用するが、NT1100と同じ装備となる。
リアサスペンションのプリロード調整はダイヤル式でこれもNT1100と同じ装備となる。前後ともセッティングはホーク11に合わせたものだろう。
フロントホイールは17インチでタイヤは120/70ZR17を装着。NT1100と同じサイズとなる。
リアホイールも17インチでタイヤは180/55ZR17を装着。スイングアームもNT1100と同じアルミキャスト製のようだ。
シート下にはETC2.0がセットされていた。標準装備になるだろう。
ナンバープレートはテールカウルにマウントされている。
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