スズキが新型GSX-S1000GTを海外で発表。従来のGSX-S1000Fの最新仕様となり、車名とともにコンセプトもGT(=一般的にグランツーリスモの略)となって生まれ変わった。今モデルから純正オプションにパニアケースも用意し、10月より世界各国で順次販売が開始される。

北米価格から予想すると従来のGSX-S1000Fからプラス40万円と大幅アップに?

GSX-R1000譲りのエンジンをスーパースポーツと同レベルのアルミツインチューブフレームに搭載したGSX-S1000Fは、価格が高騰していったスーパースポーツに比べて低価格と程よい性能で人気を集めたモデル。これがツーリング路線に舵を切るフルモデルチェンジを果たした。

日本での発売はまだアナウンスされていないが、9月末にはアメリカで価格を発表。現地価格は1万3149ドル(146万1563円)となり、アメリカでの新型GSX-S1000との価格差は116.3%。これに日本での販売価格をあてはめると税込み166万3090円になる。従来のGSX-S1000Fの120万7800円に比べて約45万5000円高となる。

GSX-S1000Fの準スーパースポーツ路線から装備を大幅に盛り込んでいることから、これまでの延長線上の価格からはみ出るのは致し方ないところ。それでも、コンセプトの近いカワサキのNinja1000SXの1万2899ドル(約146万円)と同等なので、北米では充分に魅力的な価格と言えるだろう。一方、日本でのNinja1000SXの価格は148万5000円となっており、国内ではこの価格帯に合わせることも十分考えられるだろう。日本での発売時期は2022年夏頃と予想される。

▲2022年の新型モデルとしてスズキが海外で発表したGSX-S1000GT。欧州でのカラーバリエーションは3種類で、このカラーは欧州のみのメタリックトリトンブルー。

▲パイプこちらはグラススパークルブラック。パイプ組のシートレールがむき出しになることで、印象が一変した。

▲米国では写真のパニア付きの+(プラス)もラインナップされており、価格は650ドル(7万3000円)高い。カラーはメタリックリフレクティブブルー。

▲従来型のGSX-S1000F。エンジンやシャーシの基本はGTにも踏襲されている。価格は120万7800円だ。

▲新型GSX-S1000はGTより一足先に発表され、国内では8月4日に発売された。価格は143万円で最高出力は150PSと欧州版より2PS低いスペック、価格は従来比27万7200円高だ。

新しいスタイルはジェット戦闘機にインスピレーション受けたデザイン

GSX-S1000GTは、2015年に発売されたGSX-S1000Fの実質的な後継機で、従来のフルカウルツアラー路線を継承しつつ、よりツーリング性能を高めている。また、車体の基本は兄弟車のネイキッドモデル・GSX-S1000と共通としており、スポーツバイクをベースにツアラー化しているのも特徴。快適なだけでなくエキサイティングさも兼ね備えているいいとこ取りのコンセプトと言えるモデルだ。

GTのスタイルはジェット戦闘機からインスピレーション受けたもので、従来の曲線基調から直線的ラインが多用されたシャープなデザインに様変わりしている。ヘッドライトはヤマハの新型MTシリーズでも使用されているモノフォーカスタイプのLEDヘッドライトにすることで小型化し、ノーズが突き出たアッパーカウルに横2眼配置として、先進的なスタイリングを印象づけている。

また、快適なツーリングを実現するためにウインドスクリーンは、防風性を最大限高めつつ可能な限りコンパクトに設計されている。形状は風洞テストを繰り返して完成したもので、スクリーン両サイドの折り返しはライダーの肩の部分を風から守る形状となり、長時間のライディングでも疲労やストレスが溜まらないように配慮されている。

▲LEDの光を反射させずに照射するモノフォーカスLEDライトヘッドライトは、ハイ/ロー切り替えなしで、ローが左のみでハイビームは両目点灯となる。中央のV字がポジション灯だ。

▲高速域でのウインドプロテクション性能は自社の風洞トンネル設備で実践開発。こちらは230km/hの風圧を受けるテストを実施中の写真だ。

▲スクリーンサイドの折り返し部分は、ライダーの肩に当たる風を軽減してくれる。

▲フロントタイヤの上に取り付けられていたカバーも再設計された。スクリーンの前で渦巻く風をそらすために可能な限り延長している。

▲空力性能の追求は、カウルマウントのミラーステーにまで及び、ミラーを横切る空気の流れを効率化し、ライダーの手の甲に当たる風も和らげるようにしている。

▲ネイキッドのGSX-S1000ともタンク容量は従来の17Lから19Lに増量された。GTらしく航続距離を伸ばす変更だ。

スポーツバイクの基本はそのままにツーリング性能を大幅アップしたGT

2015年に発売されたGSX-S1000シリーズは、2005年型GSX-R1000のエンジンを低中速寄りにリファインして搭載。新作のアルミ製ツインチューブフレームは、GSX-R1000を開発中にできた試作品がベースとも言われており、ストリートモデルではあるが中身はスーパースポーツという生まれのモデルとなる。

当時のGSX-R1000やハヤブサが導入していないトラクションコントロールなどの先進電子制御や快適なアップハンドルが装備されており、スーパースポーツに疲れていたライダーの受け皿として支持されていた。

新型GSX-S1000シリーズは、従来型をベースに電子制御スロットルを採用するとともに、エアクリーナーボックスやカムシャフト、マフラーを変更してユーロ5の排出ガス規制をクリア。同時に最高出力を向上させ、クルーズコントロールやアップとダウンに対応したクイックシフターも新採用している。

シャーシはシートレールを新設計し、オプションのパニアケースが装着できるよう剛性が高められ最適な取り付け位置を確保。また、シートレールの高さを低くし、パッセンジャーの快適性を向上させるために後席シートの厚さが増している。

ハンドルはラバーマウントされ、GSX-S1000Fより23mmワイドに14mm近く設定された。また、ステップバーにもラバーが配されるようになり、より長距離ライディングでも疲れにくいよう設定されたGT専用の装備にも注目だ。

▲エンジンは従来型をベースにしつつもカムシャフトなど黄色の部分のパーツを改良し、排ガス規制に対応しながら150PS/10000rpm→152PS/11000rpmにパワーアップ。

▲エキパイはバイパスパイプを変更し、集合部から後ろにキャタライザーを2個(従来は1個)設置している。排気バルブの位置も変更された。

▲スロットルは電子制御式となりボアサイズはø44mmからø40mmに縮小。また、A:アクティブ、B:基本、C:快適の3つのモードを選べるSDMSも新導入された。エアクリーナーボックスも改良。

▲従来のパイプ構造だったシートレールを新設計。スイングアームもGSX-S1000シリーズ誕生時よりGSX-R1000と同じものを使っており、スポーティなシャーシが基本にある。

▲KYBのø43mm倒立フォークはフルアジャスタブル。フロントブレーキはø310mmWディスクにブレンボ製モノブロックラジアルマウントキャリパーを採用。

▲タンデムシートは厚さや形状を見直しグラブバーも装備することで、二人乗りも快適になっている。従来のGSX-S1000Fとライダーの着座およびステップ位置は変わっていない。

▲トップブリッジとハンドルバーブラケットに採用されたラバーマウントは、ライダーの手に伝わる振動の量を減らし快適さが向上。ハヤブサにも採用されている方式だ。

▲GTのステップは従来のGSX-S1000Fのラバーなしから変更。ネイキッドの新型GSX-S1000はソリッドタイプのままだ。

スマートフォン機能をメーターに表示させるボッシュのmySPINを日本メーカー初採用

GSX-S1000GTは、最新プレミアムモデルで常識となる6軸姿勢角センサーやそれに伴うスライドコントロールや高機能ABSなどをを盛り込んでいない。これらは新型ハヤブサやVストローム1050XTでは採用されているが、GTはボッシュのmySPINの導入を優先したと思われる。

現実、ツーリングレベルの走りで高機能のトラコン/スラコンやABSの機能が必要になる場面はほどんどない(通常のトラコン、ABSは装備している)と思われるが、スマートフォン機能をバイクのメーターに表示し、ハンドルスイッチで操作できるようにするmySPINはかなりの使用頻度になるだろう。天秤にかけた場合、mySPINが当然優勢となる。

mySPINは6.5インチTFT液晶ディスプレイをスマートフォンを連携させる機能で、iPhoneとアンドロイドともに使用可能。SUZUKI mySPINアプリをスマートフォンにインストールすると連絡先、電話、地図、音楽、カレンダーの5つの機能にアクセスできる。使用されるアプリはバイク用に開発されており、左側のハンドルスイッチで直感的な操作が可能だ。

▲GTは、スズキ初のカラー液晶メーターを採用。スマートフォンとはブルートゥースで接続し、SUZUKI mySPINでは5つの機能を使用できる。

▲社外のアプリを使用するとナビゲーション、ルーティング、目的地までの時間機能、天気情報などの機能も追加可能だ。

▲ブルートゥースインカムを使用して電話の受発信が可能。またスマートフォンの音楽ライブラリは、パッセンジャーもインカムを装着していれば一緒に聴くことができる。

▲メーターの左側にあるUSBアダプターを使用してスマートフォンを充電しながら使用できる。

▲SUZUKI mySPINの操作はハンドル左側スイッチで行う。

2022年型スズキGSX-S1000GT欧州仕様主要諸元

・全長×全幅×全高:2140×825×1215mm
・ホイールベース:1460mm
・シート高:810mm
・車重:226kg(乾燥)
・エジンン:水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 999cc
・最高出力:152PS/11000rpm
・最大トルク:10.8㎏-m/9250rpm
・燃料タンク容量:19L
・変速機:6速リターン
・ブレーキ:F=Wディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70ZR17、R=190/50ZR17
・北米価格:1万3149ドル(146万1563円)

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