ドイツ・フランクフルトにて開催されたBMW Motorradのメディア向け発表/試乗会に参加しました。そこで披露されたのは『R18B(アール・エイティーン・ビー)』そして『R18トランスコンチネンタル(TC)』。同社ではしばらく見られなかったクルーザータイプのニューモデルです。実車を目の当たりにすると、その堂々たる姿と上質感に思わず圧倒されてしまうのでした。

文/青木タカオ 画像/BMW Motorrad

新境地でトップ目指す!

▲左(上):R18B、右(下):R18トランスコンチネンタル。

「これ、ハーレーじゃないの?」
日本で乗ったら、バイクに詳しくない人が聞いてくるに違いありません。「BMWですよ」と胸を張って言おう。
「これ、なんシーシー?」
1800の水平対向2気筒と自慢気に言おう。張り出したシリンダー、大型フェアリング、手の込んだ塗装、威風堂々とした姿。これがBMW Motorrad渾身の新作です。

▲BMW MotorradのクルーザーR18シリーズ。

BMWのクルーザーバイクは昨年『R18』が発売され、今春にはバリエーションモデルとして『R18クラシック』が登場。これらに続くR18シリーズ、つまりクルーザーカテゴリーへの第2弾として『R18B』と『R18TC』はデビューしました。これでラインナップは4機種に。新セグメントへ攻め込むのに強力な布陣が整いました。

BMW Motorrad 広報部長のティム・ディールシエールさんは「世界で最も大きい市場であるクルーザーセグメントへ参入するのは自然なことです。私たちはクルーザー用に(エンジン/車体のすべてを)開発・設計してきました」と言います。10万7610台のモーターサイクルおよびスクーターを販売し、前年比40.3%増しと販売好調なBMW Motorradが、追い風を受けて新たなカテゴリーでシェア獲得を目指すのです。

シェア獲得へ向け万全の備え

発表会では「プレミアムモーターサイクル市場で、世界ナンバーワンを目指す」と、BMW Motorrad代表マルクス・シュラム上級副社長が、各国から集まった報道陣の前で宣言しました。

大排気量エンジンを積むこのセグメントは、価格帯から見てもハイエンドユーザー向け、高級志向なのは説明不要でしょう。同社の得意とするところで、BMWの高い技術力とブランド力があれば、今後シェアを一気に伸長させるのは間違いありませんが、最大の市場のひとつとなるのが北米です。

そこで確固たる地位を確立しているのが、アメリカンブランドであるハーレーダビッドソン。車体は低く長く、サーキットを走るバイクから生まれてくるモデルと比べれば重く、操作感も独特としか言いようがありません。

▲今回、試乗会で乗ったのは『R18B』。大型フェアリングを備え、テールエンドをスムージングするバガー(BAGGER)カスタムスタイルで、米国ではレースも開催されるほど熱気を帯びるカスタムトレンドにインスパイアされたモデルです。

ひとつ言えることは、アメリカンクルーザーを好むユーザー層はパワーなどスペックではなく、フィーリングを重要視し、走っているだけで心地良いと感じるエンジンの味わい深さ、鼓動感、そして美しい車体であるかどうかなど、スポーツバイクファンとは少し異なる視点でニューモデルの出来栄えを評価します。

1923年にモーターサイクルの生産を開始して以来、史上最大となる1.8リッターのOHV空油冷ボクサーツインエンジン、そしてロー&ロングな車体を形成する剛性の高いフレームもR18シリーズのために開発しました。ダウンサイジングが叫ばれるこの時代に、史上最大の排気量でOHV方式、空油冷というトラディショナルすぎるパワーユニットを誕生させたのには驚きますし、同社の意気込みを感じずに入られません。

全米のハーレー乗りたちが集結する一大イベントとして知られる「スタージスラリー」(サウスダコタ州、8月)で、R18BそしてR18TCは発表され、つまり敵陣の中でBMWは自らの新作クルーザーをコアなユーザーたちにしっかりとアピールしたのでした。

▲OHV方式はハーレーやインディアンでも採用される伝統のバルブ駆動方式でBMWも新たに採用。過去のOHV方式とは異なりプッシュロッドカバーをシリンダー上側に持ってきてあえてライダーにも見えるようにしています。

▲開発担当のローランド・ストッカーさん。

足つき性抜群、リバースシステムで取り回しも不安なし

今回、試乗会で乗ったのは『R18B』。大型フェアリングを備え、テールエンドをスムージングするバガー(BAGGER)カスタムスタイルで、米国ではレースも開催されるほど熱気を帯びるカスタムトレンドにインスパイアされたモデルです。

クルーザーでは両足を前へ投げ出すフォワードコントロールなるものもありますが、水平対向エンジンではシリンダーが邪魔してこれはできません。『R18B』および『R18トランスコンチネンタル』では自然に足をおろしたところにステップが待っていてくれ、下半身もゆとりがあります。

▲シート高は720mmと低く、身長175cmの筆者がまたがると両足カカトまで地面にベッタリ届きます。黒いハンドルはグリップがライダー寄りに引き寄せられるよう、持ち上げられたところから絞り込まれた形状。ゆったりとしたアップライトなライディングポジションで、両腕は肘を張るようなこともなく自然にハンドルを握れます。

フォワコンはそもそも体格に恵まれた欧米人に合わせたもので、少なくとも「座高一」と学生時代にクラスメイトから呼ばれた足の短い筆者からすると、ヒザが伸びきってしまい体勢的に厳しいのが正直なところ。ミッドコントロールでありがたいと安堵するのでした。今回乗った欧州仕様では、ステップの太いワイドペグを備えますが、日本仕様ではより自由度の高いフットボードが標準装備となります。

スペックを見る限り、398kgもの車体重量があり、引き起こしも気合いが入りますが、スッと起き上がります。車体が低重心であること、両足でしっかり踏ん張れることで重さを感じさせないのでしょう。

▲ちなみにオプションで、シリンダーの上に装着するフットレストも用意されています。なかなかにしてワイルド、カスタムパーツも豊富に揃っています。

▲取り回しで困ることがないよう、リバースシステムも備わっているから親切です。バックで上り坂を押すなんてことは、このクラスではかなり辛い。取り回しに慣れれば、そうならないよう停車位置を考えて動かしますが、もしものときにリバースシステムがあると助かります。

五感を刺激するビッグボクサーに思わずうっとり

スターターボタンを押すと、ビッグボクサーツインがブルンっと左右に車体を震わせつつ目覚めます。ギヤを1速に落とせば、あとは握ったクラッチレバーをリリースしていくだけで巨体が発進していく。伝統のボクサーツインはビッグボアによる圧倒的に大きい排気量のおかげで、極低回転域から図太いトルクを発揮し、従来のRシリーズとは一線を画したより潤沢な低中速のトルクフィールです。

たとえば、ハイスピードツアラーである『R1250RT』では空水冷DOHC4バルブ可変カムシャフト1254ccとし、7750rpmという比較的高い回転で最高出力136PSを発揮しますが、R18シリーズの空油冷OHV4バルブ・ビッグボクサーは4750rpmで91PSを出し、150Nmものトルクを2000~4000rpmの低い領域でいつでも引き出せます。

▲エンジンを始動した瞬間のトルクリアクションは大きめです。

マルクス・シュラムさん(BMW Motorrad代表 上級副社長)は発表会で「始動するだけでエモーショナルです」と言いましたが、その言葉通り、力強い鼓動感と重厚な排気音を伴いつつ規則正しい爆発間隔で回転を上げていくエンジンフィールは官能的で、五感を刺激する“エモい”ものでした。

ハーレーとの違いはこの燃焼間隔にあり、人がスキップするように「タタンッ、タタタンッ!」っと不等間隔で爆発するVツインに対し、フラットツインは「トコトコ」「ゴゴゴー」っと左右の気筒が交互に爆発し、滑らかなフィーリングとなります。

また、シリンダーをフラットに配置した水平対向2気筒エンジンは、クランクシャフトより上に重いエンジン機構がないことから地を這うかのような低重心で、安定性の高さも際立ちます。コーナーエントリーでは低い姿勢のまま、スッと車体が素直に寝ていき、旋回中はオン・ザ・レールのような安定感。切れ込みやアンダーステアのない軽快性と落ち着きを両立したハンドリングは、専用開発したステアリングジオメトリーによって実現されました。

▲通常なら、フロントフォークは操舵軸より前へオフセットされ取り付けられますが、ライダー寄りに後退させた逆オフセットで装着し、トレール量を稼ぎつつフォークアングルを立ててステアリングフィールを最適化しています。これはハーレーでもツーリングファミリーに見られる手法です。

ACCはクルーザーにこそ欠かせない装備となりそう

『R18B』そして『R18トランスコンチネンタル』にはフレーム・バックボーンの剛性を高めた専用のツーリングシャシーが与えられ、スピードレンジが上がっても不快な微振動もなく車体は落ち着いています。大型フェアリングが走行風から乗り手をしっかり守ってくれ、風の巻き込みも感じません。『R18トランスコンチネンタル』では標準装備するレッグシールドがバガーカスタムの『R18B』にはありませんが、張り出すシリンダーが風よけになって足もとに風が当たらないことも報告しておきましょう。

また、ワインディングで感じたハンドリングの軽快感は、高速道路でのレーンチェンジでも応答性の良さで味わえます。今回試乗で走った都市部のハイウェイは交通量も多く、臨機応変な車線変更が必要でしたが、素早く向きを変えて思うがままに車体を操れるのでした。もちろんブレーキも重要です。レバーを握った際は前後ブレーキが同時にかかり、ペダルを踏むとリヤのみが効くインテグラルABSはBMWではお馴染み。タッチに違和感がなく、十分な制動力を持ちつつ高いコントロール性も持ち合わせます。

搭載する「ヒル・スタート・コントロール」は巨体なクルーザーに有益です。停止時にレバーやペダルに強く入力するとインジケーターに「H」マークが表示され、サイドブレーキをかけたような状態に。ライダーはこれを意識せず、再発進すれば自動解除され、あるいはもういちどブレーキを握って自らの意志でリリースすることもできるから、坂道などでありがたかったことも付け加えておかなければなりません。

▲クルージング能力が高く、流れの早いアウトバーンの追い越し車線も悠然と流していけます。ウインドプロテクションに優れるフェアリングの中央、ヘッドライトの上にはレーダーセンサーが備わり、「アクティブ・クルーズ・コントロール(ACC)」をセットすれば前走車との距離を検知し、自動的な加減速もおこなってくれるから、高速巡航はなおさら快適です。

▲セット後の車速設定も1km刻みででき、操作に慣れればとても重宝します。欧州のハイウェイを走ると、ACCはクルーザーバイクに欠かせない装備となっていくと確信が持てます。ライバルより先に導入したのは、アドバンテージとなっていくでしょう。

視線独占必須の高い完成度

R18BそしてR18TCにはフレーム・バックボーンの剛性を高めた専用のツーリングシャシーが与えられ、さらにステアリングジオメトリーも見直されました。通常、フォークオフセットはステムヘッド(操舵軸)より前にしますが、ライダー側に逆オフセットされているのです。トレール量を増やしつつ、フォークアングルを立てて、軽快感と安定性を両立したハンドリングを得ています。

リヤサスペンションはオートレベリング機能付きで、荷物の積載やタンデム時などの荷重増減に自動で減衰力を調整。デイライト付きの最新式アダプティブヘッドライトをはじめ、スマートフォンとのコネクティビティやマーシャルとの共同開発によるオーディオシステムなど、ハイエンドクルーザーに相応しい装備の数々も見逃せません。

シート&グリップヒーターを標準装備し、ファーストエディションではコントラストカットの前後ホイールやクロームメッキ仕上げのパーツが奢られ、さらにピンストライプが施され、上質感がいっそう高くなっています。

BMW Motorrad代表マルクスさんが言う通り、たしかに正真正銘のプレミアムモーターサイクルです。唯一無二の存在感があり、クラシックバイクファンも新しいモノ好きも問わず、多くのバイクファンから注目されること間違いありません。もちろんその熱視線の中には、ハーレー乗りたちからのものもたくさんあるに違いありません。

発表会の様子

足つき、試乗およびインタビューの様子

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