
目次
【MT-07 ABS】
ディテール&試乗インプレッション
基本的な車体構成は変わっておらずユーロ5への対応を主眼に外観を変更した…くらいに思っていたのだが? 乗ってみると新型のMT-07は随分味付けが変わったようだぞ!? 元初心者向けオートバイ雑誌編集長の谷田貝 洋暁が試乗レポート。
1.モノアイ化して精悍さを増したスタイリング
【全長/全幅/全高】2,085mm/780mm/1,105mm
【車両重量】184kg
【軸間距離】1,400mm
【最低地上高】140mm
全体的なスタイリングは、従来のイメージを踏襲するもののフロントマスクを一新。ロービームとハイビームを一体にした「バイファンクションLEDヘッドランプ」を採用した。また、ウインカーとポジションランプはMT-07では初めてLEDを採用。ポジションランプは左右に独立しており、コンパクトなヘッドライトまわりのデザインによって一目で新型MT-07と分かるデザインとしている。
【販売価格】
パステルダークグレー
ディープパープリッシュブルーメタリックC
マットダークグレーメタリック6
814,000円(税込)
2.ハンドルの高さが変わったポジション
【シート高】805mm
スリムな車体、絞り込まれたシート全部のおかげで、踵までベッタリつけられるだけの足着き性を確保。また今回のモデルチェンジでは、ハンドルポジションも見直され、従来モデル比で32mmワイドになり、高さも12mmアップ。よりMTシリーズらしいマシンを振り回しやすいポジションが与えられた。
3.ユーロ5対応で中低速が元気になった! -実走インプレッション-
ECUを新しくしてフューエルインジェクションのマネジメントをリセッティング
ユーロ5のエミッション対応。新型MT-07に試乗する前、今回のモデルチェンジはその程度の認識しかなかった。エンジンスペックで言えば、73馬力の最高出力は変わらず、発生回転域が9000回転から8750回転へ引き下げ。トルクに関しては発生回転数の9000回転に違いはないが、6.9kg-mから6.8kg-mへと若干落ちているくらいだ。一方、燃費はWMTCモード値で23.9km/Lから24.6km/Lへアップ。
…つまり、ユー5への対応で環境性能がアップして、それに合わせて外観も変更したのね…くらいに思っていた。トルク曲線も実際、滑らかになったらしいしね。
ところがである。実際に乗ってみたらちょっとびっくりした。低速から中速にかけてのトルクがむしろ増しているように感じたからだ。前作は、するするという滑らかな滑り出しで発進。パルスが強く感じやすい270度クランクのパラツインとはいえ、非常にスムーズな吹け上がる特性だった記憶がある。それが非常に穏やかで優しいトルクフィーリングを産み、個人的に非常に気に入っていた点でもあるのだが…。
一方、新作のMT-07はなんだか加速が男前なのだ。アクセルの開け始めからガツッとしたトルクの手応えがあり、パルス感のあるサウンドとともに力強く吹け上がっていく。
確かにサウンドの効果も大きそうだが、明らかに力強い感じがするのだ。気になって新型MT-07の開発者にお話をうかがってみれば、この味付けにはかなり苦労させrられた様子がありありとうかがえたのだ。
そもそもユーロ5へ対応するためには、従来モデルよりもかなり混合気のガソリンを薄くする必要があったらしい。ただそのままではパワー感が大きく損なわれることになる。そこで新型には、ECUを新しくしてフューエルインジェクションのマネジメントをリセッティング。よりMTらしいトルクを感じられるような加速感を得たというのだ。
しかもこれに加えて、2into1の新形状のエキゾーストパイプを採用。内部構造ではミッションドッグ角の変更したことで、2速、3速の再加速時のダイレクト感が向上しているという。
外観は他のMTシリーズ同様、精悍さを増したMT-07。しかも、ユーロ5への対応でパワーが落ちるかと思いきやそうではなかった。吸排気系変更、エンジンマネジメント、音の作り込みにギヤのフィーリング変更などなど、さまざまな要素の積み重ねで規制をクリアしてなお、パワフル感を増したというわけなのだ。しかも、これで燃費もかなり良くなっているというのだから、いやはやアッパレとしか言いようがない。
元来、大型初心者のエントリーマシンとして人気が高かったMT-07。持ち前の車体の扱いやすさ、乗りやすさはそのままに、しっかりとビックバイクらしいエンジンフィーリングが感じられるようになったことで、より幅広いライダーに受け入れられることになりそうである。
4.ディティール/改変ポイント
フロントマスク
低く構えた独特なスラント形状を引き継ぎながらも、ハロゲンだったヘッドライトはプロジェクタータイプとなりシリーズ共通のモノアイを採用。光源もLED化された。
テール周り
テールカウルもデザイン変更され、元々LEDだったテールランプの他、ウインカーなどもLED化。ただし、ナンバー灯のみバルブを使用している。
エンジン
【エンジン形式/排気量】水冷4ストロークDOHC 並列2気筒/688cc
【最高出力】54kW(73ps)/8,750rpm
【最大トルク】67N・m(9.8kgf・m)/6,500rpm
新型には、新しくエンジンマネジメントしなおした新ECUに加え、吸排気系の仕様変更を実施。2into1の新形状エキパイも採用され、サイレンサーはサウンドのパルス感が強調されることになった。同一エンジンを搭載する海外モデルのトレーサー700に準拠するような仕様変更を行なったそうである。ちなみに同系統のエンジンを搭載するオフ系のテネレ700とは根本的に味付けの方向性が違い、新登場するYZF-R7にはスリッパークラッチが組み込まれ、よりスポーティな味付けが追求されていそうだ。
メーター
ネガティブ表示のLCDマルチファンクションメーターを採用。明るさは4段階で変えられる他、ギヤポジション、平均燃費なども表示。燃料計は最後のバーが点滅した時の残量は約2.7L。
【表示項目】
スピード/エンジン回転数/ギヤポジション/燃料計/時計/オドメーター/トリップメーター×2/フューエルトリップ/瞬間燃費/平均燃費/水温/気温
強化されたブレーキ
フロントブレーキが強化されディスクがサイズアップ! 従来のφ286mmから新型YZF-R7と同じφ298mmとなり、フォークアウターチューブもこれにより形状変更。また、タイヤもミシュランのパイロットロード4から5にアップデートされている。
アルミテーパーハンドル
745mmだったハンドルが35mmワイドになり780mmになるとともにアルミテーパー形状を採用。モタード遺伝子を持つMTシリーズらしくワイド化され、より押さえ込みがしやすくなった印象だ。またエンド部分の高さで12mmアップしている。
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