文/Webikeスタッフ:リュウ

【ホンダ PCX160】
ディテール&試乗インプレッション

2010年に登場してからスクータークラスにおいて根強い人気を誇るPCXシリーズ。2018年にフルモデルチェンジが行われましたが、それから約3年ほどでまたしてもフルモデルチェンジが行われました。今回のモデルチェンジでは、125ccの「PCX」をはじめ、さらに排気量がアップした「PCX160」とハイブリッドエンジン搭載の「PCX e:HEV」の3車種をラインナップ。

初期型に始まりハイブリッド、EVまで全てのPCXに乗る機会があり、毎回「こんなに進化するのか!」と驚かされている私ですが、今回も例に漏れずかなりの驚きがありました。先日行われたメディア向け試乗会ではPCXとPCX160を試乗する機会がありましたので、まずは新登場のPCX160のインプレッションをお届けします!

よりハイクラスを表現した進化

【全長/全幅/全高】

1,935mm/740mm/1,105mm

【車両重量】

132kg

まずPCXの感想として毎回感心させられるのが、取り回しの軽さ。車両のボリューム的には原付二種のスクーターとしては比較的大柄な方だと思うのですが、まったく重さを感じません。これは軽量化と剛性の両立をめざし、フレームを構成するパイプ系や材質の見直しが行われた新設計フレームの影響が大きいです。
特にセンタースタンドを上げる際のスムーズさは別格です。センタースタンドをかけた状態から下ろすのも当然ながら軽いので、無理に力を入れる必要がありません。普通に押し引きするのもとても楽で、撮影時に向きを何度も変えるのですがサクサク進めることができました。この軽さは狭い駐輪場などで出し入れする際にも役立つこと間違いなしでしょう。

スタイルでも、これまでのPCXシリーズのデザインを継承した流麗で伸びやかなフォルムとダイナミックな流れのエッジラインは、スタイリングコンセプトである「よりハイクラスを表現した進化」を体現しています。外装だけでなく、エンジンやマフラーといった機能部品もコンセプトに沿って、機能性と意匠性を高めたデザインとなりました。

足つき・ポジション

【シート高】

764mm

【足つき・ポジション】

さて、取り回し時点の好印象を覚えたまま跨ってみると、割とゆとりのあるポジション。私は身長180cmあるのですが、大体のスクーターは体が縮こまってしまい窮屈なポジションになってしまいます。ですが、今回のPCXでは窮屈な印象はなく、聞けばやはりフットスペースに関しては前モデルよりもゆとりのある造りになっているとのことでした。
また、シートの座面も広く使えるので、後ろめに座って足を伸ばしても良し、前に座って普通に着座しても良しで自由度の高い乗車姿勢はなかなか他のスクーターには無いものでしょう。

▲シート高:764mm(スタッフ身長180cm)
▲シート高:764mm(スタッフ身長180cm)
▲シート高:764mm(スタッフ身長173cm)
▲シート高:764mm(スタッフ身長173cm)

【ステップボード】

前述のとおり、フロアステップのフットスペース平面部を車体前方と外方向へそれぞれ30mm拡大。ゆったりとしたライディングポジションにより、“ワンランク上の乗車感”の更なる向上を実現しています。

試乗インプレ

以前150ccに乗った際も「速いなぁ」という感想だったのですが、今回は「うわ!速い!」という第一印象。驚き具合が前回とは違います。初速がとにかく150ccよりもパワーアップしているのを感じ、アクセルを一気に開けるとグン!と引っ張られるイメージ。開け続けるとどこまで加速するのだろうという気持ちにさせるこの感じはこれまで乗ったスクーターの中ではピカイチですね。それでいて125ccと何ら変わらない安定感があるので、加速をしても怖さを感じることがありません。

乗っていて特に感じたのは車体の軽さ。160ccになっても125ccとほぼ変わらない感覚で扱うことができるので結構楽しいです。これだけクイックかつ安定して走れると、通勤や街乗りでの普段使いだけに限らずツーリングでも楽しむことは十分可能でしょう。収納もありオプションのBOXを装着すればさらに積載量アップ。そしてタンデムも楽。使用用途は自然と広がっていきますね。
また、今回高速道路にこそ乗りませんでしたが、加速感や巡航速度に不満なく走れるだろうなぁと確信してしまうような仕上がりでした。
正直、結構欲しくなりました(笑)

ディティール紹介 灯火器&メーター

【灯火類】

ヘッドライトとテールライトには引き続きLEDが採用されていますが、ライトのデザインは従来モデルに対して、よりシャープなイメージを与えるものになっています。特にテールライトはこれまで「X」型に張り出していましたが、新しいPCXではカウルの形状に沿ったより一体感のあるデザインへと変わりました。

【メーター】

より見やすさと機能性を重視したメーターは液晶デジタルメーターを中央に、その左右に各種インジケーターを配置。インジケーターには新たにバッテリー警告灯とトラクションコントロール(HSTC)のインジケーターを搭載しています。

ディティール紹介 走行性能

【エンジン】

エンジン形式:水冷4ストロークOHC4バルブ単気筒
最高出力:12.0kW[15.8PS]/8,500rpm
最大トルク:15N・m[1.5kgf・m]/6,500rpm

新設計のエンジンとなる「eSP+」は、これまでの2バルブから4バルブへと変更。排気量が上がっていることもありますが、4バルブ化も相まってPCX150と比較しても大幅にパワーアップしているのが感じ取れました。他にもスロットルボディ径の拡大とエアクリーナーボックスの見直しにより、レスポンスの向上とスロットルがあまり開いていない時からでも力強い走りを実現しています。

【電子制御】

・アイドリングストップシステム
信号待ちなどの停車時に余計な燃焼消費や排出ガスを抑えるアイドリングストップシステムを引き続き搭載。右手のスイッチでON/OFFの切り替えが可能です。

・トラクションコントロール(Honda セレクタブル トルク コントロール)
前後の車輪速センサーから算出したスリップ率に応じて、ECUがスリップしたと判断した際に燃料噴射量を最適にコントロールする、トラクションコントロールを新たに採用しています。
「スクーターにトラクションコントロールは必要ないのでは?」という声も多くあったようですが、開発担当者の方に話を伺ったたところ、雨天時のマンホールや白線といった滑りやすい路面状況での補助を目的していて、「全天候に対応するためにエンジンパワーを落とすよりも、上がったパワーをどんなコンディションでも扱えるように搭載しました」とのことでした。特に通勤通学でのみバイクに乗るユーザーは運転技術が未熟な方も多くいると見越し、どんな方でも安心して乗れるようにという狙いもあるようです。

【ハンドル】

ライダーの手に伝わる振動を軽減するため、新たにラバーマウント構造のハンドルホルダーが採用されました。デザイン面でも、ハンドルとの統一感と車体の質感を高めるためにグリップエンドもシルバーにするなど、細かいこだわりが見て取れます。

【ブレーキ】

フロントブレーキにはABSを標準装備し、リアブレーキにはこれまでのドラムタイプから新たに220mmのディスクタイプを採用したことで制動力も格段に向上しています。

【サスペンション】

新設計のフレームと併せてリアサスペンションのストローク量も10mmアップ。路面の凹凸や段差を超える際の振動もよりマイルドに感じられ、乗り心地は間違いなく向上していました。

【ホイール&タイヤ】


フロントサイズ:110/70-14M/C 50P
リアサイズ:130/70-13M/C 63P

ホイールも新設計となり、新たに5本のY字スポークデザインを採用。ホイールの変更に伴いタイヤもCX150フのロント100/80-14、リヤ120/70-14サイズからさらにワイドとなりました。リアタイヤはインチダウンとサイズアップにより、これまでよりもエアボリュームが増えたことでハンドリングと乗り心地の両面を向上させています。

ディティール紹介 ユーティリティ

【スマートキー】

ポケットやカバンからキーを取り出さなくても始動やハンドルロック、シートと給油口の解錠が可能となるスマートキーシステムを引き続き採用。スマートキーのデザインは今回のモデルチェンジに合わせて変更となりました。

【タンク】

▲タンクキャップを置くことができる

タンク容量:8.1L

わずかではありますが、タンク容量も8.1Lへと拡大されています。タンクカバーには、新たに給油時に便利なタンクキャップを置けるスペースも完備。小さなことですが、こうした使い勝手の良さはライダーにとっても嬉しい部分ですね。

【シート】

シートはブラックとグレーのツートンカラーにすることで、より上質感を引き立てています。シート下の収納スペースは30Lに拡大されたことで、荷物の収納にもよりゆとりができました。

▲前方のスペースならフルフェイスも収納可能

【グローブボックス】

500mlのペットボトルが収納できるグローブボックスには、標準でUSB Type-Cソケットを搭載。移動中にスマートフォンの充電も容易に行えるようになりました。

▲USB Type-Cソケットを搭載

【タンデムステップ】

タンデムステップは収納式となり、車体のデザインを損なわないようになっています。

【スタンド】

スタンドはサイドスタンドとセンタースタンドの両方を採用。状況に応じて駐車時に使い分けられるのが嬉しいです。

気になる販売価格

メーカー希望小売価格(消費税10%込み)

407,000円
※2020年12月現在

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まとめ

前回モデルチェンジしてからわずか3年でのモデルチェンジでここまで良くなるのか!というのが率直な感想です。
前モデルも十分すぎる作りになっていたのですが、それよりもワンランクアップした仕上がりです。
装備品もどんどん豪華になっているのはもちろん、フレームやエンジンが変わって効果を如実に感じることができるのも凄いことだと思います。

開発担当の方に「今後の要望などありますか?」と聞かれて「これ以上どうすんだ!?」と思ってしまいました(笑)
特になかったのですが、苦し紛れに「せめて160ccはスクリーンを高く・・・」としか言えませんでした。

というくらいに完成度が高く良くできたバイクでした。
この性能はぜひ皆さんにも体感していただきたいです。

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ホンダ PCX160の価格情報

ホンダ PCX160

ホンダ PCX160

新車 350

価格種別

中古車 10

本体

価格帯 37.95~46.29万円

43.88万円

諸費用

価格帯 5.6~8.97万円

5.25万円

本体価格

諸費用

本体

36.71万円

価格帯 29.8~46.3万円

諸費用

5.16万円

価格帯 3.35~4.56万円


乗り出し価格

価格帯 43.55~55.26万円

49.13万円

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